前回のボクのブログ記事はかなり反響があった模様で、mixmag Japanサイト内でのヒット数もダントツだった模様です。多くの方にご拝読いただきありがとうございます。
少し補足したいのですが、あの記事でお伝えしたかったのは、クラブの環境でテクノをプレイする際には、320kbps mp3とWAV / AIFFを明確に聞き分けることはほとんどできないという事実のみです。
だからと言って、mp3を「推奨」しているつもりは毛頭ありません。WAV/AIFFファイルをプレイすることにこだわりを持っている方は、全くもって正しいです。
そもそもボク自身もmp3だけを使っているわけではありませんし、WAV/AIFFも多く使っています。手元にある曲のファイルフォーマットに関係なく、いい音がする(いいマスタリングがされた)曲を選んでプレイしているだけです。肝心なことはファイルフォーマット以外の部分にあります。
で、そんな流れの話になりますが、今回は「DJが交代したら出音が変わった」事象について書きたいと思います。
たまにありませんか?DJが交代した時に音が変わったと感じること。
ボクも言われることがあります。Q’HEYさんに変わったら音が変わったからすぐにわかったって。あれって何なんですしょうね。
幾つか考えてみましょう。
まず、出音が変わったと思われた場面で、そのDJが流石のテクニックをもって、DJミキサーで場に合った最適なイコライジングをしたのでしょうか?
正直言って、そんなケースはほとんど無いと思います。
確かに出番前にフロアで聞いていたら、ハイがキツすぎるから、あるいはローが出過ぎているから少し下げようとか、心掛けてブースに入ることはあります。
かと言って、DJミキサー上のイコライザーでやれることはかなり限定的です。耳に痛い感じのハイが出てる時、PAに対してグライコで5kHz辺りをガッツリ下げてくれとリクエストすることはあります。そのようなイコライジングはDJミキサーではできませんから。でもそれってDJが変わった瞬間音が変わったという風になりづらいです。
一番ありがちなのは、DJを交代した時に、それまでプレイされていた音よりもレベルを下げるということです。そしてミキサー上のEQも、全て±0にする。
非常にシンプルな話ですが、これが出音に変化を与える結果となったケースがよくあります。
前のDJのプレイ中、DJミキサー上でレベルメーターが真っ赤になっていたりとか。ヨーロッパの著名DJとかでも全然やっちゃってたりします。イコライザーでも、ハイもミッドもローもプラス方面に上げた状態だったり。これ、DJミキサー上で音を悪くしちゃってます。そうなるとWAVとかmp3とかって話なんか完全に吹っ飛びます。
DJミキサー側では適正なレベルのはずだけど、PA側でシステムのキャパを超えた入力になっちゃってて、コンプがかかった状態の時もあります。曲のブレイクやフィルのタイミングではスッキリ聞こえて、キックが入った途端「モコン!モコン!」ってなったりするので一聴瞭然です。
前のDJがアゲアゲでプレイしているのに、自分の番になって音が小さくなったと思われるのは嫌だから、そのままのレベルでプレイするというのではなく、勇気を持って手元の音量を下げる。
これが一番音を良く聞こえるようにするケースが多々あると感じています。
出音のレベルを落としたくなくて、システム側に余裕がありそうな場合は、事前にPAに「DJミキサー側で出し過ぎてるから、交代したらレベル下げます。PA側で上げてバランス取ってください」とリクエストすることもよくあります。
もう1つあるのは、これは冒頭に書いたように、いい出音のする曲を選ぶ。あるいはそれまでとは雰囲気をガラッと変えられるような音を選んでプレイする。DJが交代するタイミングでインパクトを与える面でも有効です。
以上、わかってる人には何当たり前の事言ってんだって話でしょうが、現場に出てるとホントあるあるなんです。
[PROFILE]
Q’HEY
レーベル「MOON AGE RECORDINGS」主宰。1998年にスタートした国内最長寿テクノパーティ“REBOOT”やレーベルパーティ“MOON AGE”をオーガナイズ。日本のテクノシーンをリードする存在として常に最前線で活躍している。
Official Site
Facebook
Twitter
SoundCloud
最新情報をお届けします
Twitter でMixmag Japanをフォローしよう!
Follow @mixmagjapan