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BLOG

月刊: ベストミックス6選

12月25日~1月31日までが対象。変わりゆく価値観の中でどんなミックスが生まれ、我々はどのように解釈してゆくのか?

Mixmag Japan | 3 February 2021

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今年からMixmag Japan編集部が粛々と選ぶ、「月刊: ベストアルバム&ミックス」をスタートさせます。本来Mixmagは雑誌媒体なので、名を月「刊」としました。先月公開した、日ごとに年間ベストを明らかにしてゆく「日刊: 年間ベストアルバム&ミックス」と同様にブログ記事として発表します。ポリシーとして、同じくこちらでも「ですます」調を守るつもりです。

さて、新型コロナウイルスの影響はダンスミュージックのあり方まで変えてしまいそうな勢いですが、変わりゆく価値観の中でどんな音楽が生まれ、我々はどのように解釈してゆくのでしょうか。音楽の内容だけでなく、様々な外的要因も含めて考えてゆきます。今回はミックス編。なお、対象は昨年12月25日以降に公開(収録)されたミックスとします。


LiveMix_Jigokluonsen@LiquidRoom20201226

パンデミックの影響によりダンスフロアが閉鎖されて以降、「楽曲をプロデュースできるDJ」が改めて評価されているように感じます。特に、配信で著作権をクリアできる可能性が出てくること、そしてフロアが機能してなくともプロデューサーとしてアピールできることの二点において。映画で言えば、監督(ミックス)、脚本(選曲)、役者(楽曲プロデュース)のスキルをいっぺんに求められているような状況でしょう。誰がいるだろうか…、と考えてみたところ、グザヴィエ・ドラン(tofubeats)とジョシュ&ベニー・サフディ兄弟(80KIDZ)らが思い浮かびます。御大、ロバート・レッドフォード(Ken Ishii)も忘れてはなりません。そして、この条件を考えたときに欠くことのできないのがクリント・イーストウッド(石野卓球)であります。石野卓球はイーストウッドだったのか…。あまつさえ、彼はカメラワーク(ミキサーエフェクトの類)の技術も光ります。上のミックスをお聴きください。ジャンルをスリリングに越境しながら、自身の楽曲である「Turkish Smile」や「DayLights」が要所でかかり、エフェクトもガンガン使って演出します。しかもこの調子で6時間近いロングセットを乗りこなすわけですからね。完全無欠。


Daniel Avery B2B Haai – Junction 2: Connections

ときおり企画されるB2Bに対しては、「一人ずつ聴かせてくれよ!」と内心思うこともあります。しかし反対に、手放しで歓喜する組み合わせもあるわけですね。それがこのDaniel AveryとHAAiのB2B。もうね、良いギグが約束されている。そして本当に良いギグでありました。UKのフェスティバル「Junction 2」のオンラインパーティ開催に際し、各所から名だたるDJが集結してパフォーマンスを行いましたが、このB2Bはそのうちのひとつ。UKらしいブレイクスが序盤の大部分を占め、そこからアッパーな4つ打ちに変化してゆく。これぞ、寄せては引いてゆくビートの波…! 作業用BGMには滅法向いていません。ノリます。なお、今回は「Junction 2」のギグをもう1本ピックアップしております。後半を刮目してお待ちください。


Closet Yi FeelMyBicep Mixtape 159

韓国のDJチーム「C’est Qui」のひとり、Closet YiがBicepのブログ「FeelMyBicep」に提供したミックス。彼女は日本のコレクティブ「CYK」とも関わりがあり、C’est Quiとして彼らが運営する「CYK TOKYO RADIO」にもミックスを提供しています。パンデミックさえなければ昨年3月にVENTでLicaxxxとCloset YiのB2Bも聴けるはずでした。こちらの組み合わせもDaniel AveryとHAAi同様、手放しで歓喜したくなりますね。ロウな質感のハウスを基軸に、独自のレイヴ観が紡がれるこのミックスを聴けば自明でしょう。序盤でかかるStones Taroの「Rabbits」にもはっとさせられます。


SlothBoogie Guestmix #266 – Cinthie

安心と信頼のレーベル〈SlothBoogie〉に、ベルリンのハウスシーンを代表するCinthieが登場。年明けすぐに彼女のミックスが公開されました。シンプルに「ハウス」であります。しかしだからこそ、選曲やミキシングのディテールが際立つわけです。キックの強弱やピアノのリフを巧みに操り、彼女は我々を恍惚へと誘ってくれます。ベースのニュアンスはフロアに向いていて、もはやノスタルジーすら感じてしまいますね。


YELLOWUHURU (Mutant Radio)

ジョージアはトビリシのオンラインラジオステーション「Mutant Radio」に、日本の人気パーティ「FLATTOP」のオーガナイザー・YELLOWUHURUが登場。ジャズとエレクトロニック・ミュージックの間を射抜くようなミックスであります。音数の少ないところから出発して、パズルのピースをはめるようにサウンドスケープが構築されてゆく。足し算と引き算を巧みに使いながら、1時間半のミックスが紡がれたわけです。DJは録音された音を組み合わせてゆく表現スタイルなのですけれども、彼の場合はどこか生楽器のインプロビゼーションのように聴こえるのですね。あたかもフロンティアを開拓しているようで、そのスタンスがまさに日本のクラブシーンを象徴しているようにも思われます。「ローカリズム」とは言いますが具体的にそれが何なのかはまだはっきりしていなくて、色々と実験しながら手探りしている状態。そんな気がします。先が見えない面白さは、経済が右肩上がりの国では体感できませんからね。


Ash Lauryn DJ set – Junction 2 Connections

DJの素晴らしさは、役割が流動的なところだと感じます。自分自身がアーティストになれるし、他の優れた才能や流行を発掘するトレンドセッターにもなれる。その両方の役割を意識的に担っているのが、デトロイト出身のAsh Lauryn。彼女はDJとして活動しながら、ライターやラジオMCとしても活躍しています。「Underground & Black」というブログも運営していて、同名のラジオ番組を月イチでNTS Radioから放送しています。ミックスの内容も素晴らしいのですが、彼女の場合その裏にある大きなメッセージも我々に伝えてくれています。それはブログの名前が示す通り、アメリカで生きる黒人女性としての矜持や経験。その切実さと真摯さは、さながらドキュメンタリーのようです。彼女を「Function 2」のような大舞台に送り出すデトロイトの胆力には脱帽しますね。心底リスペクトします。ちなみに、本イベントのラインナップはAsh Laurynをトップバッターに、DJ Holographic、Seth Troxler、Underground Resistance、Robert Hoodと続きました。


Text_Yuki Kawasaki

 

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