svgs_arrow-01-l svgs_close svgs_heart svgs_menu svgs_play svgs_stop svgs_arrow-02-b svgs_facebook svgs_instagram svgs_line svgs_search svgs_soundcloud svgs_twitter favorite player svgs_arrow-03-r svgs_setting svgs_slide-menu-bottom svgs_arrow-01-b more gift location recommended star clear

BLOG

【おさらい The December】 We Will Always Love You by The Avalanches

色濃く感じられる「死」の気配

Mixmag Japan | 1 March 2021

アヴァランチーズ, アヴァランチーズ アルバム, Avalanches We Will Always Love You, mixmag

“12月にリリースされる作品は軽視されがちである”とよく聞きます。年間ベストの候補が出揃い、あれこれ検討し始めるのが遅くとも12月の半ばだからであります。ほぼ完成されたリストの中に、当月にリリースされる作品は1週間程度の猶予で食い込まなければならない。したがって、それらの作品は多くの場合、翌年の12月に日の目を見る機会が先延ばしされる傾向にあります。レコード屋のバイヤーが書くポップや、間欠的にネットに上がるレビュー記事などによって評価される場合もありますが、世の中の流れとして年末の特集記事に比肩するのは難しい。

今宵は、そんな「評価を先送りされた名盤」に光を当てるべく筆を執った次第です。個人的にも、二か月経って味が染みてきたアルバムがいくつかありますし。この記事が間欠的にネットに上がるレビュー記事と差があるのかはまったくの未知数ですが、どうぞお付き合いください。本稿は、12月11日にリリースされたThe Avalanchesのアルバム『We Will Always Love You』について。


The Avalanches 『We Will Always Love You』

The Avalanches – 「Wherever You Go ft. Jamie xx, Neneh Cherry, CLYPSO」

3月26日にリリースされる、UNKLEのミックステープ『Rōnin』。本作発売に際し、本人からもプレスリリースにコメントが寄せられております。「最近リリースされた曲を聴いてみると、いくつかは現在の世相を大いに反映しているように思われる。けれども、それらの作品の多くは、パンデミックが起きる前に制作されたものだ。以前からこの世界には様々な葛藤や不確実性があったし、政変や社会不安だってあった」。これは極めて重要な指摘のように感じられます。

The Avalachesのサードアルバム『We Will Always Love You』も、当初想定されていた受容のされ方とは異なっているのではないでしょうか。これまで通り、今作でも膨大な量のサンプリングは健在です。参加アーティストの豪華さは前作『Wildflower』(2016年)を上回るかもしれません。ジャンルの多彩さにおいてもそれは言えるでしょう。「Gold Sky」に参加したKurt Vile、「Running Red Light」でヴォーカルを務めるRivers Cuomoはロック畑のミュージシャンです。そして全編通してうっすら漂う“サイケデリック”なニュアンス(実際にMGMTがJohnny Marrと共に「The Divine Chord」に参加しています)も、特筆すべきでしょう。そこへBlood OrangeやLeon Bridges、Denzel CurryやTrickyなど、ネオソウルやヒップホップを生業とする気鋭も名を連ねるわけですね。日本からはCorneliusもクレジット。参加アーティストを全員集めればフェスが出来そうですが、そんなアルバムから色濃く感じられるのが、「死」の気配なのです。

The Avalaches – 「Ghost Story」

SuperorganismのOronoが1曲目の「Ghost Story」に参加しているのですが、歌詞を読む限りでは、どうやらこの曲は既に死んでしまった少女のモノローグと解釈できそうなんですね。「Solitary Ceremonies」ではフランツ・リストの霊と交信していますし、「Dial D For Devotion」ではKaren Oが2019年に自殺したSilver JewsのDavid Bermanの詩を朗読しています。「私の人生の光は今夜消えていく 後悔の揺らぎもなく」と…。こう書くと、まるで故Ian Curtis(ex. Joy Division)のような危うさを感じるかもしれませんが、The Avalanchesの2人が悲劇的な道を選択するようには思えません。むしろまったくの逆で、「死」の匂いを放ちながら、クリスマスの夜のようなイノセントで神聖なバイブスを感じるのです。昨年末から今日に至るまで、COVID-19の影響により“不要不急”の移動や飲食店の営業が制限されています。その結果、帰省はおろか集まることすらためらわれ、身の回りのあちこちで断絶が発生しました。それがかえって心地よい場合もありえますが、孤独感に苛まれる人も多かろうと察します。個人的にも、「死」を身近に感じる1年でした。ウイルスの脅威だけでなく、経済的にも精神的にも危機のただ中にいる現在。そんなときに、「死」に向き合う力を与えてくれたのが本作『We Will Always Love You』なのであります。


Text_Yuki Kawasaki

■ The Avalanches 『We Will Always Love You』
Label: MODULAR RECORDINGS
Tracklist:
1. “Ghost Story” (feat. Orono)
2. “Song For Barbara Payton”
3. “We Will Always Love You” (feat. Blood Orange)
4. “The Divine Chord” (feat. MGMT & Johnny Marr)
5. “Solitary Ceremonies”
6. “Interstellar Love” (feat. Leon Bridges)
7. “Ghost Story Pt 2” (feat. Leon Bridges & Orono)
8. “Reflecting Light” (feat. Sananda Maitreya & Vashti Bunyan)
9. “Carrier Waves”
10. “Oh The Sunn!” (feat. Perry Farrell)
11. “We Go On” (feat. Cola Boyy & Mick Jones)
12. “Star Song.IMG”
13. “Until Daylight Comes” (feat. Tricky)
14. “Wherever You Go” (feat. Jamie xx, Neneh Cherry & CLYPSO)
15. “Music Makes Me High”
16. “Pink Champagne”
17. “Take Care In Your Dreaming” (feat. Denzel Curry, Tricky & Sampa The Great)
18. “Overcome”
19. “Gold Sky” (feat. Kurt Vile)
20. “Always Black” (feat. Pink Siifu)
21. “Dial D For Devotion” (feat. Karen O)
22. “Running Red Lights” (feat. Rivers Cuomo & Pink Siifu)
23. “Born To Lose”
24. “Music Is The Light” (feat. Cornelius & Kelly Moran)
25. “Weightless”
<アーティスト日本版公式ページ>
https://www.universal-music.co.jp/theavalanches/

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でMixmag Japanをフォローしよう!