誰の目にも明らかなように、ここ数年の音楽シーンはヒップホップが覇権を握っている。ケンドリック・ラマーはどこのフェスに出てもヘッドライナーだし、Migosの『Walk It Talk It』のMVはほんの数日前に公開されたばかりにも関わらず1400万再生を突破した。チャートアクションという観点でも、今のシーンにおけるヒップホップ最強説に異論を唱える者はいないだろう。
けれども、「今がヒップホップの黄金期か?」という問いに対しては議論があるはずだ。1990年代――。当時は間違いなく、現在と比肩するぐらいヒップホップに勢いがあった。渋谷のSOUND MUSEUM VISIONでは、そんな90’sに再び光を当てるべく『CLASSICS』というイベントが間欠的に開かれている。過去にはLord FinesseやLarge Professor、更にはDJ PREMIERまでもが名を連ねた。
そして来る3月31日、東海岸のレジェンドPete Rockが同イベントに登場する。
Pete Rock & CL Smooth – 『They Reminisce Over You』
『They Reminisce Over You』のヒットにより、ラッパーのCL Smoothと共に一躍スターダムへと駆け上がったPete Rock。以降多くの成功を収め、90年代を代表する存在としてシーンに君臨している。また、Nasの歴史的名曲『The World Is Yours(1994年)』のプロデュースを手掛けたのも彼だ。
Nas – 『The World Is Yours』
この曲を聴いても分かるように、「ジャズをヒップホップで解釈する」という方法論はこの時代に発明された。そしてその中心に居たのが、他ならぬPete Rockなのである。J DillaやA Tribe Called Questらと共に、この仕方でもって一時代を築いた。今でこそジャズとヒップホップの関係は良好だが、その仲を取り持ったのは間違いなく彼らである。
「継承」という概念は音楽を語るうえで重要なファクターだ。ヒップホップでは特にそう言えよう。名曲たり得るものは、往々にして偉大な過去を照らし出す。その点で言うと、『CLASSICS』は単なる懐古主義ではない。先人へのリスペクト――。これこそがヒップホップの精神性であり、我々ヘッズのマナーなのだ。
■‘CLASSICS’ feat. Pete Rock
日時:2018年3月31日(土)OPEN 22:00
会場:SOUND MUSEUM VISION
¥3,000 ADV / ¥3,500 DOOR
<イベント詳細>
http://www.vision-tokyo.com/event/classics-24?event=&lang=
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