アシッドハウス全盛の80年代後半、19歳のSasha(サシャ)はマンチェスターの伝説的なクラブ「ハシエンダ」でダンスミュージックに開眼した。ウェールズ生まれでめちゃくちゃ秀才(17歳で大学の試験に合格)の彼にとって、マンチェスターのアンダーグラウンドな雰囲気は新鮮であった。ウェールズからハシエンダまで足しげく通ううち、いつしかディズリー(マンチェスター近郊の街)に引っ越すことに。これが、のちに世界中のクラバーをとりこにするレジェンドDJ誕生の瞬間である。その後の活躍は周知の通りだ。ジョン・ディグウィードと共同でMIX CD『RENAISSANCE』をリリースし、それが100万枚のセールスを超える大ヒット。世界各地を回るツアーも盛況で、90年代後期の時点で彼の地位は不動のものであった。加えて、2000年代にはDJ Awards(エレクトロニック・ミュージック界のアカデミー賞)を4回受賞し、グラミー賞にもノミネート。驚異的な実績である。疑いの余地がなく、世界有数のアーティストだ。
「特定のジャンルには収まりたくないんだ」。Sashaは自身のオリジナルアルバムやMix CDがリリースされる度に、インタビューでそう語る。彼の他にも同じ主旨の発言をするアーティストは多いが、彼の場合は次元が違う。アシッドハウスの次にブレイクビーツやアンビエントに移行し、その次はトランス、その次はプログレッシヴ・ハウス…。と言ったように、常人には真似できないキャリアを重ねてきた。複雑な変遷を経た彼は、いつもオーディエンスを唯一無二のジャーニーへ連れて行ってくれる。個人的な話で恐縮だが、筆者がこの世で一番好きなMIX CDはSashaによるMixmagのCover CD(2013年リリース)だったりする。
これほど美しいミックスを、他に知らない。「昼間のイビサのオープンエアな雰囲気にインスパイアされて作ったんだよ」。当時のプレスリリースにはそう書かれていた。
そんなSashaだが、10月に東阪で開催されるスペシャルギグのため、来日することが決定した。10月12日には渋谷のContactで、翌13日には大阪のJOULEで、4時間超(東京は5時間)のロングセットを展開する。招聘したパーティーもそれぞれ絶大な支持を集める「Mother」(東京)と「NEWEST SOUND」(大阪)だ。間違いなく、両日ともに最高の夜を堪能できるだろう。
今年最重要パーティーがまたふたつ。

Mother @ Contact Tokyo

NEWEST SOUND @ club Joule
■ Mother presents SASHA (5hrs set)
@ Contact TOKYO
2018.10.12 (Fri)
OPEN 22:00
<イベント詳細>
http://www.contacttokyo.com/schedule/mother-presents-sasha-5hrs-set/
■ NEWEST SOUND feat. SASHA
2018.10.13 (Sat)
@ club Joule
OPEN: 22:00
<イベント詳細>
https://club-joule.com/2018/08/13/newest-sound-feat-sasha/
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