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FEATURES

INTERVIEW:トミー・ゲレロ「このアルバムは、等身大の俺を表現した作品だよ」

20周年マスタリング盤を新アートワーク仕様で限定LPリイシュー

Mixmag Japan | 12 December 2017

1980年代後半、西海岸を中心に巻き起こったスケートボードのムーヴメントは、あらゆるユースカルチャーに計り知れない影響を与えたが、その仕掛人とも言うべきトミー・ゲレロが97年に発表した『LOOSE GROOVES & BASTARD BLUES』がリイシューされる。
シンプルな打ち込みのビートに、彼が弾くギターやベースなどを乗せたインストゥルメンタルで、一言で言うなら”ヒップホップ・ブルーズ”再発盤のジャケはスケート雑誌「Thrasher」のカメラマン、フォトエディタ=ブライス・カナイツ氏が撮影したものでトミー・ゲレロが13歳頃の写真となる。

実際に手で触れることができて
意義のある作品を残したかった

──なぜこのタイミングで『LOOSE GROOVES & BASTARD BLUES』をリイシューしようと思ったのでしょうか?アルバムの内容は同じですか?

トミー・ゲレロ(以下、トミー) 俺のファースト・アルバムの20周年記念だから、リイシューしたかったんだ。もともと97年にリリースされたアルバムなんだよ。楽曲はすべて同じだけど、リマスタリングしたんだ。「In My Head」のボサノヴァ・バージョンをプロモーション用に新たにレコーディングしたんだけど、この曲は無料配布されるよ。

──また、なぜアナログ盤をリリースしようと思いましたか?

トミー 97年にこのアルバムがリリースされてから、このアルバムのアナログ盤は出回ってなかったから、レコードも再発したいと思ったんだ。あと、実際に手で触れることができて意義のある作品を残したかったから、レコードを作ることにした。ヴァイナルっていうのはとてもマジカルだと思うんだ。

──このアルバムは4トラックでレコーディングしたのでしょうか? それ以前から4トラックでレコーディングを行っていたんですか?

トミー いや、このアルバムの大半はADATというデジタルVHSテープのフォーマットでレコーディングしたんだ。でも「So Blue it’s Black」という曲は4トラックでレコーディングした。もともと19歳の時に初めて買った4トラックのPortastudioでレコーディングし始めたんだ。

──4トラックのレコーディングで気に入ってるところは?

トミー シンプルなところ。とてもわかりやすい機材なんだ。あと、4トラックという制約を気に入ってるんだ。もちろんトラックをバウンスすればトラックの数は増やせるけど、制約があった方が、インスピレーションを受けられるんだ。

──当時に比べると、レコーディングの方法は変わりましたか?

トミー それはイエスとノーだね。当時に比べるともう少し機材の知識が増えたけど、今でも4トラックでレコーディングすることが好きなんだ。とても即時性のあるレコーディング・スタイルだからね。ちゃんとしたレコーディング・スタジオに比べると準備があまり必要ない。それに4トラックのラフで、ファジーで、ひずんだ音質をとても気に入ってる。でも作品の方向性、気分、時間制限によってレコーディング方法を使い分けるようにしてる。

あと、4トラックのカセット・レコーダーはデリケートで不安定なところがある。30年前の機材だから、常にメンテが必要なんだよ。だから今はPro Toolsを使うことが多い。いいオーディオ・インターフェースとマイクプリを持ってる。今の時代は、良い音質のアルバムをレコーディングするためにそんなに高い機材は必要ないんだ。

──『LOOSE GROOVES & BASTARD BLUES』の音楽は、もともとあなたのスケート・ビデオで使われたのでしょうか?

トミー そうなんだ。俺は以前Fortiesという服のブランドを、Deluxeというスケート会社の傘下で運営してデザインもやってたんだけど、そのブランドのために「Amigos」というスケート・ビデオを作ったんだ。もともとそのビデオのために、このアルバムに入ってる曲をレコーディングしたんだ。多分そのビデオは、Youtubeに上がってるはずだよ。

──この音楽をなぜスケート・ビデオで使おうと思ったのでしょうか?

トミー もともとこの音楽は、そのスケート・ビデオだけのために作ったものなんだ。実は、作品としてリリースしようとも思ってなかったんだよ。誰も興味を持つと思ってなかったんだ。『LOOSE GROOVES & BASTARD BLUES』は「Amigos」のビデオが発表されてからリリースしたんだ。「Amigos」のビデオに入ってた曲は全て『LOOSE GROOVES & BASTARD BLUES』に入ってるわけじゃないんだ。その方が良かったけどね。

──97年のリリースと、2017年のリリースのジャケの写真について教えてください。

トミー 97年のリリースの表紙に写っている子供は俺じゃない。グレッグ・ハントというカメラマンが旅中にたまたま出会って撮った少年の写真なんだ。その時にグレッグは自分のギターを少年にもたせて写真を撮ったらしいんだ。再発盤のジャケは、ブライス・カナイツというカメラマンが撮影したんだ。彼はスケート雑誌「Thrasher」のカメラマン/フォトエディターだったんだ。確か1980年くらいの写真なんだけど、俺は13〜14歳くらいだった。これはサンフランシスコのオーシャン・ビーチというところで撮影したんだけど、色々な思い出が詰まった写真なんだよ。サンフランシスコ市内では、フルパイプのあるスケートパークは珍しくて、俺らが唯一スケートしたフルパイプだった。でもこのパークは長続きしなくて、あまりスケートした人はいなかった。俺らはラッキーだったんだよ。

──なぜこのスケート写真を再発盤のジャケとして使ったのでしょうか?

トミー オリジナルのリリースと、再発盤の違いをはっきりさせたかったのと、俺の過去の写真を使いたかったんだ。このスケート・スポットがレアだったから、この写真がお気に入りだったんだ。

俺のインストミュージックなんか
誰も興味を持つとは思ってなかったんだ

──どういうきっかけで、トーマス・キャンベル(編注:映像作家、ぺインター、フォトグラファー、サーファー、レコード・レーベル“Galaxia”のオーナーなど多様な顔を持つ西海岸カルチャーの重要人物)が『LOOSE GROOVES & BASTARD BLUES』をリリースすることになったのでしょうか?

トミー Mo’Waxが最初に興味を持ってくれたんだけど、すぐにリリースに繋がらなかったんだ。そのあとにトーマスが、Galaxiaからリリースしたいと言ってくれたんだ。俺は承諾したんだけど、レーベルに負債を抱えてほしくないから、「リリースの費用を半分出すよ」と言ったんだ。俺のインストミュージックなんか誰も興味を持つとは思ってなかったんだ。

──トーマスと出会ったきっかけは?

トミー 覚えてないんだよ(笑)。スケートの世界で共通の友達がたくさんいるからね。もう20年前からの仲だよ。90年代半ばから、彼のアート展でよくライヴをやってるよ。

──アーティスト、レーベルオーナーとして彼のことをどう思いますか?

トミー 彼は生粋のアーティストで、クリエイティブなことは何でもやる人なんだ。彼はそれ以外の生き方ができない人間だよ。実は彼をレーベルオーナーと思ったことがないんだ。どちらかというと、クリエイティブな人間に刺激をあたえてくれる存在だと思ってる。

──Galaxiaは何が特別でしたか?

トミー ファミリーだったんだ。彼らは金儲けのためにレーベルをやってたわけじゃないし、確かに儲かってなかったよ。クリエイティブな表現をするためのレーベルだったんだ。それがあのレーベルの存在意義だったんだ。

──96年か97年にマニー・マークに出会って、音作りの自信になったと聞いたことがありますが、実際どうだったのでしょうか?

トミー いや、彼に出会って音楽制作の自信になったわけじゃない。マークに出会う15年前から、すでに俺は音楽制作をやってたからね。彼のアルバムを聴いた時に、インストミュージックで人を感動させられる、っていうことを実感したんだ。彼が作った「Keyboard Repair」が大好きで、すごく共感したんだ。ああいう作品は当時なかったんだよ。いい意味で、どこかぶっ壊れたサウンドの作品だった。俺がやってきた音楽とある意味似てたんだよ。音楽を通して、心の内側を露呈してるんだよ。アーティストっていうのは、心の内を見せないとできないものなんだ。

──『LOOSE GROOVES & BASTARD BLUES』はブルージーでシネマティックなサウンドですが、どういう経緯で生まれたサウンドですか?

トミー アートをやってる人間っていうのは、媒介であり、世の中で起きていることが自分たちを通して表現されるんだ。俺は色々な音楽を聴いてるから、自分が作る音楽は吸収した音楽全てのブレンドなんだ。音楽というのはエモーショナルなものであり、俺にとってセラピーでもある。自分の音楽を通して、自分の内側にあるものを解放するのは、一種のカタルシスなんだ。

初めてこのアルバムを聴くリスナーは、
その純粋な気持ちを感じ取るんだと思う

──『Loos Grooves』がリリースされて20年経つわけですが、初めてこのアルバムを聴く新しい世代のリスナーにメッセージをお願いします。

トミー このアルバムは、等身大の俺を表現した作品だよ。それだけさ。自分の直感を信じてほしい。最初に降りてくる直感というのは、たいてい当たってるんだよ。

──トミーがライヴでファーストの曲をライヴで演奏するときは、必ずオーディエンスのリアクションがとても強いですが、このアルバムはあなたにとって特別なものでしょうか?

トミー もちろん。当時の俺は無邪気に音作りをしていた。音楽のレコーディングの方法をちゃんとわかってなかったし、音楽を商品として考えてなかった。ただクリエイトしたいからクリエイトしてただけなんだよ。そもそも、あのアルバムは商品としてリリースしようと思ってなかったからね。初めてこのアルバムを聴くリスナーは、その純粋な気持ちを感じ取るんだと思う。

──ファーストの曲をライヴで演奏するときに、20年前に比べてオーディエンスの反応は変わりましたか?

トミー ファーストの曲を知ってくれてるファンが多いから、ファーストの曲を演奏すると喜んでくれる人が多いね。

──ボーナス・トラックについて教えてもらえますか?

トミー 「In My Head」のボサノヴァ・バージョンなんだ。ナイロン・ストリング・ギターを使うときは、こんなスタイルで演奏する。Tascam 244の4トラック・カセット・レコーダーで録音したんだよ。

──次のアルバムは10枚目になるわけですが、どんな作品になりそうですか?

トミー 次のアルバムはどういう方向になるかまだ決まってないんだ。数年前に4トラックでダブ風の曲を9曲くらい作った。ドラムマシン、ベース、レコードからサンプリングした音をRoland Space Echoに通して使ってるんだ。このプロジェクトではギターは使ってなくて、キーボードとかサンプリングが主体だね。それぞれの曲を4トラックという制約の中でレコーディングしたんだけど、すごく楽しかった。この作品はカセットや7インチでリリースしたいと思っているよ。

Photo by Claudine Gossett

『LOOSE GROOVES & BASTARD BLUES』(LP/REMASTER)
12月下旬入荷予定
RUSH-00001-LP 2,160円(税込)

Side A
A1 B.W.s Blues
A2 So Blue It’s Black
A3 Keep On Keepin On
A4 Azule
A5 Black Sheep Blues
A6 30

Side B
B1 Pollo Caliente
B2 Never
B3 Solow
B4 Introspection Section
B5 Gone
B6 In My Head
B7 Soul Miner
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◆RUSH PRODUCTION オフィシャルサイト

 

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