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INTERVIEW:Björk(1)「旅のように……DJが、あらゆる音楽の、その多様性を祝福するためのものであるのが好き」

彼女は電子音楽界のエネルギー源だ

Mixmag Japan | 30 December 2017

ビョークは、継続的にクリエイティヴかつ革新的であることに関しては世界一のアーティストかもしれない。彼女は1993年の『Debut』よりも前から、クラブカルチャーに深く関わりインスピレーションを受けていた。一言で表すと、彼女は電子音楽界のエネルギー源だ。

◆ ◆ ◆

今でも電子音楽とクラブカルチャーは
ビョークにとって重要な源泉なのだ

アイスランドの壮大で荒れたランドスケープはどこか懐かしい感じがする。火山岩や花崗岩が広がる月面のような世界、壮大な滝やはるか古代からの氷河は『ゲーム・オブ・スローンズ』から『プロメテウス』まで、今ではよく見かける風景だ。しかし奇妙なことに、この寒空に、風景のあちらこちらから湯気が立ち上っているのである。タクシー運転手によると、はるか地底からの熱気のせいだという。自然で、持続可能で、無限に思われる地熱エネルギーは、アイスランドの電力需要の大部分を支えている。いつまでも。まるで、ビョークの中のクリエイティヴィティの泉のようだ。

前回ビュークが『Mixmag』の表紙を飾ったのは1993年11月、初めてのソロ・アルバム『Debut』をリリースした後だ。この驚異的な、妖精のような大自然の奇跡を、なぞなぞのような言葉を歌うように話す、ヒッピーに育てられたかつての神童を、世界が初めて目撃した瞬間だった。そして我々は「全く新しい世界観。誰も聴いたことがないのに、誰もが待ち望んでいた、燃えるような歌のコレクション」と絶賛した。彼女はリミックスにBlack Dogを選んだことや、一番好きなDJがダレン・エマーソンであることを話しているときが一番楽しそうだった。あれから24年……8つのアルバムと、数え切れないほどの音楽的革新を経て、我々はビョークの比類なきポップ/アートのヴィジョンと、とどまるところを知らない音楽への情熱、そして音楽、映画、ファッションの世界において最もクリエイティヴな面々とコラボする能力の高さを知る。彼女は、一世代分のプロデューサー、アーティスト、ミュージシャン、デザイナー、DJ、その他のクリエイティヴな人々にインスピレーションを与えた。電子音楽の世界でトップと呼べるプロデューサーの一人にもなった。しかし、今でも電子音楽とクラブカルチャーは、ビョークにとって重要な源泉なのだ。

知らない人の前でDJをするのは
1年半前くらいに始めたのよ

 「DJは10代の頃からしてたわ。ただ、違う呼び方をしてただけ!」と、朝のコーヒーを啜りながら彼女は語り出した。「レイキャヴィクの人口80,000人の街で育ったの。楽しい時間を過ごしたければバーを乗っ取っちゃうのがお決まり。友達を呼んで、まるで自分専用のパーティみたいにするの。その上、最後の後片付けも不要! だんだん規模が大きくなって……半分ブルックリンで暮らすようになってからは、あっちでDJを始めたわ。友達のサークルのようなものがあって、いくつかテーマがあるんだけど、その内の一つがベースライン。私とアレックス・ロス、ブランドン・ストースイー、そしてダーティー・プロジェクターズのデイビット・ロングストレスが午後4時くらいに集まるの。私の妄想ね。古本屋に行って、ベースラインが始まる。バッハのチェロ協奏曲とか……それが徐々に発展して。そのあと一杯飲んで、徐々に酔いが回ってきたら、パブリック・エネミーのベースラインになったり、アシッド・ハウスやドラムンベースのベースラインになって。次のときは、ハンドクラップもあった。モロッコのトライバルなハンドクラップからスティーヴ・ライヒ、60年代のガールズグループ、最終的にはR&B。8時間後には8時間も手を叩いてたから手が血だらけになってたわ!」

ビョークに会うとなると、華やかなカスタムメイドのマスクをしてくるのか、未来的な着物を着てくるのか、はたまた白鳥のような格好でやってくるのかと期待してしまうが、コーヒーを飲むビョークは上品な靴を履き、軽くメイクをし、ビジネスライクな髪型に、紫色のロングドレスを着た一般的な市民だった。レイキャヴィクにある彼女の家の近くのフレンドリーなカフェで、彼女は氷山も溶かしてしまいそうな暖かくてリラックスした雰囲気と笑顔をまとっていた。

彼女は予定より15分も早くやってきて、まだアルバムを初めて聴いている最中だった我々のことを待ってくれた。51歳、二児の母。見た目は、あのビョークのままである。年齢不詳。声は、アイスランド特有の巻き舌で繰り出されるインテリジェントな英語の俗語が特徴的だ。最近、彼女はブルックリンとレイキャヴィク、半々で生活をしている。心の底からクラブカルチャーに愛を寄せるビョークゆえ、彼女がクラブ出演を増やしていることも不思議ではない。バルセロナのSonar Hallのように、より大きなヴェニューにも進出している。

「知らない人の前でDJをするのは、1年半前くらいに始めたの」と彼女は語る。この期間に、彼女は自分が開放的な場所でのプレイを好むことを知った。「密閉された部屋は好きじゃない……窓が大好きなの! だから、いつも窓と日光についてお願いするわ。日がある内から始めて、暗くなるまで続けるのが好き」。また、彼女は音楽の元々の目的である、共有の精神についても大切に考えている。「順番に何かをするのが好き」と彼女は頷く。「お互いに自分の音楽コレクションを披露しあって、聴いたことがない曲を教えてもらったり、聴かせてあげる行為だと思ってる。とはいえPro Toolsをかなり使いこなしてるので、DJセットの準備には何週間もかけたりするわ。東京の科学博物館でやった4時間のセットは、“Digital”のショーを補完するような感覚でやったわ。人々が話している間に、1時間くらいフルートだけの時間を作ったり、でもワインを何杯か飲んだらいつのまにかR&Bをかけてたり!」。彼女は、この仕事が気に入っていることは間違いなさそうだ。「大好き」と彼女は微笑む。「何か一つのことになってしまうのではなくて、旅のように……DJが、あらゆる音楽の、その多様性を祝福するためのものであるのが好き。ものすごくレアなワールドミュージックからリアーナまでかかっちゃうのが好き。でもテクノも好きだから、凶悪なテクノをプレイする時間帯も設けてるの」。

INTERVIEW(2)へ

Words:Ralph Moore
Photography:Maisie Cousins

 

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