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FEATURES

レイヴ・アーカイブのノスタルジックな宝箱を探訪

90年代レイヴ・サウンド、ノスタルジア、そして歴史の金鉱

Mixmag Japan | 19 October 2021

インターネットがアメリカのダンスミュージック・シーンを変貌させる前は、ミックステープがレイヴァーたちにとって究極の通貨であり、DJたちがプロモーターに訴えかけ、ファンたちにアピールする代表的な手段だった。クラブカルチャーの黎明期より、無名の気鋭らのものから時代を象徴するDJたちのものまで、これらのカセットをコピーし、交換し、販売してきたカセット戦士たちは、ダンスミュージックの歴史のフレームワークを現代まで残すという形で、この世界に多大な貢献をしたと言えるだろう。

カセットがめざましいカムバックを見せている昨今といえど、これらの物理的なコピーを入手するのは困難だ。しかし古いDJセットのRIP(物理音源をデジタイズすること)し、SoundCloudやMixCloudなどのプラットフォームにアップしてきた、いわゆる“レイヴ考古学者”たちがいる。

Dan Labovitch、Jon Braun、そしてAdam Dorfmanは、90年代に、インターネット以前の掲示板やチャットを通して繋がった、そういった考古学者の3名だ。自称「レイヴのアーカイヴァー」である3名は、「Rave Archive」として知られるウェブサイトにて、アンダーグラウンド・シーンの黎明期に失われかけたミックステープを保存し、デジタイズし、アップロードすることを使命としてきた。

3名は2007年に「ravearchive.com」を立ち上げた。90年代当時、BraunとDorfmanはいずれもカセットのディーラーであり、ライバルだった。ウィスコンシンやオハイオ、イリノイ、ミネソタ、そして時にはカナダにも足を伸ばし、レイヴに参加してきた。熱いサウンドが聴こえる方向に旅をし、トウモロコシ畑から暗い倉庫街まで、あらゆる場所で踊り明かしながら、1本10ドルでミックステープを売り捌いてきた。

「毎週末、半径3〜4時間の範囲内にて、いくつもの素晴らしいイベントが開催されている時代だった」と、BraunはMixmagに語った。「ミルウォーキーの音楽誌『Massive』で働いていた頃、毎週末、中西部のレイヴにてテープを販売する担当になった。平日は、薄暗い地下室でダビング作業だ。俺たちレイヴァーはダビングのダビングをお互いに交換していたので、それぞれのコレクションもすぐに膨大な量になった」。

90年代シカゴ、ジャングルシーンの代表格であるLabovitchは、後年、それぞれのコレクションを保管し、世界中に共有できるデジタル空間を作るというアイディアをカセット戦士たちに伝えた。そのようにして、ravearchive.com が誕生した。すると、すぐに世界中の人々がテープやレイヴ関連のグッズを、オンライン保存のために送り始めた。その後、同サイトは、ミックステープや小冊子、フライヤー、その他の記念品などが満載の、同シーンを代表するオンラインの拠点となった。

「保存しておくべき歴史だと思ったのです。特に、テープには賞味期限がある一方で、ミックステープはレイヴカルチャーにとって重要なので」とBraunは語る。「カセットのようなアナログ形式が関わっているので、活気に満ちた時代でしたが、簡単に失われてもおかしくない時代でした」。

みんなが楽しめるようにカセットをデジタイズするのは、簡単な作業ではない。そのプロセス自体が、Labovitch、Braun、Dorfmanらの真摯な気持ちを証明しているだろう。熱心なアーカイヴァーでもあり、ひたむきなレイヴファンでもあるのだ。

「プロセスを加速させる方法も特にありません。テープの実際の尺だけ、時間がかかります」とBraunは説明する。「90分のミックステープをRAWオーディオに変換するだけで、90分の時間がかかります。その後、音声をクリーンナップして、ID3のタグ付けをし、変換し、FTPにアップするなどの作業が必要です」。

これらのテープのザラザラした音をクリアにする作業について、Braunは、完璧にすることは求めなかったと語る。聴きづらいものはしっかりと修復を試みるものの、あまりに手を加えたものは「嘘っぽい」と感じるそうだ。ravearchive.com で見つかるセットの多くは、聴きなれた昨今のWAV、FLAC、MP3などのファイルと比べるとだいぶ劣る音質だが、温かみのあるヒスノイズを含め、90年代の視聴体験を正確に再現していると言えるだろう。

「私にとって、ミックステープというのは、二度と繰り返されることのない歴史上の瞬間を捉えたものなのです」とBraunは語る。「短い時代のタイムカプセルで、残念ながら多くはすでに失われてしまいました。捨てられたもの、盗まれてしまったもの、火事で燃えてしまったもの、磁気を帯びてしまったもの…。自分のミックステープを保管し続けているDJも多くないでしょう。しかしこれらは、今のシーンを形作ったかつてのアンダーグラウンドシーンのスナップショットなのです」。

Facebookまたはメールにて「Rave Archive」にテープやフライヤー、雑誌などを寄付することで、このムーブメントに寄与することが可能だ。

Mixmagでは、さっそくravearchive.comのカタログをディグって、編集部がオススメするミックステープ10選を以下の通り決定した。

JJ JELLYBEAN W/MC BLACKEYE: LIVE AT INTELLECT ’95

「Rave Archive」の創設者、Dan Labovitchによると、彼にとって全ての始まりはこのミックステープだったそうだ。ミックスも怪しいし、MCも微妙だが、ガチのジャングル・ヴァイブスここにありきで「最高だ」と語る。

CARL CRAIG DETROIT TECHNOLOGY RADIO SHOW

モーターシティのラジオ番組、地元民向けの極上ハウス/テクノで綴る音のラブレター、「Detroit Technology」に出演したCarl Craigによるミックスの録音。

トラックIDと、コメントの送り先をマイクから囁きかけるCarl Craigは、リスナー向けにこう語る。「Detroit Technologyには、再放送がありません。DJになりたい方は、テープをお送りください。この番組は、皆さんのための公共サービスです」。

ANDY C OLD SCHOOL JUNGLE

ドラムンベースのドン、Andy Cが切り裂くような往年のジャングル・セットを披露。これを録音した場所はどこかって? さあどうだろう。こういうテープには、あまり情報めいたことは記載がないのだ。ただし、嘘をつくこともない。

JOHN ACQUAVIVA: LIVE AT PORCUPINE ROCKETSHIP (WITH TERRY MULLAN)

「中西部のローラースケートリンクで開催された伝説のパーティでJohn Acquavivaが披露したハウスとディスコクラシックスによる2時間半のセットは、永遠に私の記憶に刻まれた」– Jon Braun

DERRICK CARTER COLLECTION

キンキンにクールなハウスとディスコクラシックスをシカゴの伝説Derrick Carterがコンパイル。他に説明は不要だろう。

DIESELBOY: SUPREME ’95

「初期のドラムンベース・ミックスはいずれも彼の驚異的なストーリーテリングの才能を体現しているが、これはそれらの中でも最高傑作のひとつだ」- Jon Braun

DAVE CLARKE: LIVE IN THE MIX

イギリス最高峰テクノ・アーティストのひとり、Dave Clarkeによる目が回るようなズンドコ節の1時間半。

TERRY MULLAN: NEW SCHOOL FUSION VOL 2

「中西部シーンの大クラシックのひとつ。申し分のないアシッドハウス・トラックの数々が、完璧にミックスされた」- Dan Libovitch

MARK FARINA MUSHROOM JAZZ

シカゴDJ、Mark Farinaの悪名高いパーティ、Mushroom Jazzのレコーディング。ヒップホップのインストゥルメンタル、ファンククラシックス、アシッドジャズ、そしていくつかの変化球をダウンテンポにミックスし、リゼルグ酸ジエチルアミドに浸した。召し上がれ!

RICHIE HAWTIN ORBIT 93

1993年、ピークに差し掛かる若きRichie Hawtinがダークなテクノとアシッドをリーズの伝説のクラブ、The Orbitにてミックス。


Text_CAMERON HOLBROOK

 

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