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Barker【インタビュー】「ダンスミュージックにおいて、キックは必ずしも必要ではない」

「Osutgut Ton Series」第三弾!

Mixmag Japan | 11 August 2020

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Photo by Elena Panouli

UK生まれにして現在はベルリンに拠点を構える、レフトフィールド系アクトの筆頭・Barker。ベルリンのレーベル〈Leisure System〉の共同設立者としての顔も持ち、これまでに多くの才能を世に放ってきた。

もちろん、自身の作家性も非凡である。Barker & Baumeckerとしていくつものアルバム・EPをリリースし、聖地Berghainでは長きにわたりレジデントDJを務めている。そして2018年、ソロデビュー作『Debiasing』を〈Ostgut Ton〉から発表した。ヒプノティックでありながらフロアの質感を残した、ユニークな作品である。彼は本作で“ありそうでなかったサウンド”を実現した。さらに2019年――。同じくOstgut Tonから、アルバム『Utility』がリリースされた。こちらは前作『Debiasing』の流れを引き継ぎつつ、さらなる傑作に昇華されている。Mixmag UKによる「THE 50 BEST ALBUMS OF THE YEAR 2019」では堂々の1位を獲得した。

4つ打ちに縛られず、豊かに広がる彼のイマジネーションは現在どこに向かっているのか。ソロ作品を振り返りながら、改めて語ってもらった。


― 最近、ご自身のWebサイトをリニューアルしましたよね。

Barker: ある時期から壊れてしまってね。独立性のあるフォーマットから作品を発表できるのは良いことだと思うから、ずっとリニューアルしたかったんだ。Bandcampがアーティストへのコミッションフィーを無料にするキャンペーンをやっていた日にアップロードしたんだよ。今はサイトの運営をほとんど手動でやってるからちょっと面倒だけど、ゆくゆくは自動化されたシステムにしたいと思ってる。

― 早速音楽の話をさせてください。『Debiasing』から続くビートレスなスタイルが、昨年の傑作『Utility』で完璧に確立されたような印象を受けます。この数年間のあなたの音楽の変遷について詳しく聞かせてください。

Barker: 自分がやっている音楽は、ある意味では実験的だと思っていたんだ。でも今では、この“実験的”という言葉を使うのは少々間違っていたような気もしている。というのも、本来の意味における“実験”というのは、ある仮説を立証することを目的としているんだ。しかし僕がやっていたのは、仮説も理論も存在しないことだった。特定のジャンルの音楽を作ろうと考えてなかったし。多分僕は、スタジオにいる理由が欲しかったんだと思う。ここ数年は、その目的のために音楽を作っていた。説明するのが難しいんだけど、音楽における技術的な問題と向き合うことに疲れていたんだ。つまり、これまでのダンスミュージックとは全く違う何かを作り続けた結果、最近のスタイルに繋がったわけだね。

Barker – 「Filter Bubbles」

― 『Utility』と『Debiasing』では、制作における具体的な違いはありますか?

Barker: 『Utility』にも、『Debiasing』と同じアプローチをしている曲がいくつかあるよ。『Debiasing』でやったことを、より精度を上げて制作したのが『Utility』だね。『Debiasing』に収録されている曲は2015年~2016年に作ったものだから、リリースから2年ほどタイムラグがあるんだ。その間に何か良いアイデアを思いついても、スケジュールの都合上反映出来なかった。『Utility』ではそれができたんだよ。より多角的にアイデアを制作に落とし込めたと思う。

― Mixmagのようなダンスミュージック専門誌に限らず、『Utility』は数多くの音楽メディアから絶賛されています。本作を作る上で、多方面に訴求する意図はあったのでしょうか?

Barker: 実はそれについては相当悩んだんだ。僕はポップな曲を作るプロデューサーではないけれど、より良いものを出来るだけ広い範囲に届けたいと常に思ってる。そのバランスが難しかったね。結果的にその目論見は達成されて、僕としては満足しているよ。クラブシーンからの反応も良かったのが嬉しかったな。やっぱりダンスミュージックってキックが必要不可欠なものだと思われがちでしょ? 僕自身もこれまでにフロアライクな曲をたくさん作ってきたんだけど、ある時から“必ずしもビートがなくてもいいんじゃないか”と考え始めてね。オーディエンスからもそういう声が上がってたし、僕も“ビートがないダンスミュージック”というのは果たして成立するのか、気になっていたんだ。今作のおかげで、みんながキックを金科玉条のように捉えているわけじゃないってことが分かったよ。それだね、一番の収穫は。

Barker – 「Paradise Engineering」

― あなたの音楽には「トランスヒューマニズム*」の考え方が含まれています。世界がコロナ禍にあり、現実がフィクションを凌駕するような場面にも度々出会いますが、あなたの中で音楽とトランスヒューマニズムの関係性に変化はありませんか?
トランスヒューマニズム: テクノロジーによって身体の限界を超越しようとする考え方

Barker: それについては倫理も関わってくるから、答えるのがなかなか難しいね。前提として僕は、音楽はある心の状態を様々なベクトルに拡張するものだと思っている。楽しい気持ちになる曲もあれば、悲しい気持ちになる曲もあるでしょう? その意味では、そもそも音楽は原理的にトランスヒューマニズムなんだよ。身体をハードウェア、心をソフトウェアと考えるならば、音楽は後者に大きく影響を及ぼすわけだ。つまり僕らが作っている作品は、人の心象風景を変化・拡張させられるんだよ。それは特にダンスミュージックに顕著だと思う。テクノを聴いて、“踊る”という身体的な行為に及ぶ。最近は暗いムードの曲が多いけれど、僕はあまりそこに引っ張られ過ぎないようにしたいね。音楽は抽象的だけれど、それゆえに「ここが今いる場所であり、どこに向かっているのか」を端的に伝えることができる。そういう、音楽の機能的な側面にはこれからも自覚的でありたい。僕としては、全体が暗いムードを志向するのなら、あえて楽観的なサウンドを鳴らしたいんだ。そのほうがフレッシュだからね。

Barker – 「Hedonic Treadmill」

― 当分の間はソロ活動に専念していくと聞きました。ソロ活動とBaumeckerとの活動には何か違いがありますか?

Barker: 彼との仕事は社会的な経験だったな。ソロは孤独な時間が多いけれど、誰かと共同作業しているときはアイディアをシェアしあえるからね。ソロの仕事がつまらないわけではないけれど、ひとりで何かクールなものを生み出しても、共有する相手がいないと単調なルーティンになりがちだ。誰かと共同作業をしているとその場で満足感を得られる。……だから、うん。ソロと共作は全然違うね。Baumeckerとはスタジオで遊ぶように仕事ができた。

Barker & Baumecker – 「Promises In The Dark」

― ご自身の活動のかたわら、Leisure Systemの運営もされています。両方真面目にやると苦労が絶えないと推察しますが、実際のところどうですか?

Barker: いや、めちゃくちゃ大変だよ(笑)。少人数で運営しているから、忙しい時には自分の活動を制限しないといけない。それで毎週末DJとして現場に立っていると、いよいよ時間が足りないんだ。リリースしたいと思える素晴らしい音楽は常にあるんだけど、レーベルの状況が良くないから難しいんだよね。基本的にはビジネスとして運営できるものではないから、自分の自由な時間に左右されてしまうんだ。もちろん、やりがいはあるよ。

― そのLeisure Systemに関して、新しいリリースなどあれば教えてください。Ostgut Tonでも動きがあれば、併せてお聞きしたいです。

Barker: 実は相当数の作品がストックされていて、それらはぼ完成しているよ。Ostgutでは間もなくリリーススケジュールが決まるだろうけど、Leisure Systemのプロジェクトのほうが早く進むかもしれないな。まだ詳細は言えないけれど、後者はコラボ作だよ。それから、Leisure SystemもOstgutも関係ないんだけど、R&Sから医療機関をサポートするためのコンピに参加したよ。5月に発売されたんだけど、本作で得た収益はすべてNHS(イギリスの国営医療サービス)に寄付されるんだ。よかったらコチラもぜひ。


Interview_Kimya Khayat
Edit_Yuki Kawasaki

Barker
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公式サイト

Ostgut Ton
SoundCloud
Bandcamp

Leisure System
https://www.leisuresystem.net/

 

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