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Dax J 【インタビュー】 「僕がやってることは昔から全く変わってない」

from CRSSD Fest SPRING

Mixmag Japan | 23 March 2020

Dax J, Dax J 来日, mixmag

Photo by Kirby Gladstein

3月7日~8日にアメリカのサンディエゴで開催された「CRSSD Fest SPRING」。閉幕からまだ1か月と経っていないが、昨今のコロナ騒動を考えると遥か昔のことのように思える。今やサンディエゴがあるカリフォルニア州にも外出禁止令が発令されてしまった。それを踏まえると、同フェスティバルは何とか滑り込みで開催できた極めて稀なイベントなのかもしれない。Carl CoxやChris Lakeを筆頭に、名だたるビッグネームがラインナップされたが、無事に終えられたようだ。Mixmag Japanでは、同フェスに出演した複数のDJにインタビューを実施。この段階では、まさか世の中がこれほど悲惨な状況になるとは誰も予想していなかった。何せ、そこはあまりに“いつものサンディエゴ”だったのだから。しかるに、今回のインタビューの内容も音楽の話題が中心である。

1人目はDax J。ロンドン生まれロンドン育ちの彼は、主な拠点をベルリンに移し、現在は押しも押されもせぬトップDJ / プロデューサーとなった。自身が主宰を務めるレーベル〈Monnom Black〉も好調で、昨今の高速BPM化したテクノシーンを最先端で牽引する存在である。2019年のADE(Amsterdam Dance Event)の一環として開催された「Awakenings」でもベストアクト級の活躍を見せた。日本でも同年、渋谷のSOUND MUSEUM VISIONで行われるテクノパーティ「ALIVE presents REBOOT」にもラインナップされたが、あの日の夜も記憶に新しい。そこで再現されていたのは、90年代さながらのライオット。BPM 130を容易く超えるハードなテクノサウンドがフロアを支配していた。


― まずはあなたの直近のリリースの話から聞かせてください。あなたは今年の2月に「Wormhole」という曲を、ニューヨークのコレクティブ“BOUND”がリリースしたコンピアルバム『Auricular Discipline II』に提供しています。こちら、音源によるすべての収益をセックスワーカーへのドネイションに充てるそうですね?

Dax J: そうだね。彼らとは僕が昨年ニューヨークでギグを行ったときに知り合ったんだ。ニューヨークではかなり有名なLGBTQのコレクティブでね。フェスティバルやパーティに対する情熱があって、慈善活動にも積極的なんだ。そんな彼らが、セックスワーカーへの援助を目的とした“Sex Workers Project”を立ち上げた。それで、僕のところにも「曲を作ってくれないか?」って依頼が来てさ。彼らのパーティは最高だったし、何よりクルーのことも大好きだから、断る理由がなかったな。

Dax J – 「Wormhole」

― MVはサイバーパンクな作りですけども、何かコンセプトがあったんですか?

Dax J: あったんだけど…。これを作った映像作家は当初、セックスボットのようなものを主軸に置こうとしていたんだ。ところが、倫理委員会とかそういう類の連中の目が怖くてね(笑)。少し調整する必要があったんだ。…だから、MVには正直言うと満足していない。

― 2018年のDJ Magのインタビューで、あなたは「自分が作る音楽はその時々のオーディオドキュメンタリーのようなものだ」と仰っていました。本作「Wormhole」も“現在”を反映する意図はありますか?

Dax J: ああ、あのインタビューね。もちろん、覚えてるよ。そして今もそのスタンスは変わっていない。あのインタビューでは「Offending Public Morality」について語っていたから、よりその側面が強かったんだ。僕は2017年にチュニジアでとある騒動*を起こしていた。まぁあの事件については忘れようもないけど、自分が作る音楽は文字通り“記録”だと思ってるよ。その曲を聴けば、自分がその時どういう環境にいて、何を考えていたかを思い出せる。
*チュニジア・ナブールのナイトクラブEl Guitoneが閉鎖:2017年にチュニジアで開催されたOrbit Festivalの一環として行われたパーティで、Dax JがDJ中にアザーン(イスラム教における礼拝への呼び掛け)をサンプリングしたことに起因する。同クラブのマネージャーも「善良な道徳に対する違反と公共性の侵害(Offending Public Moralityはここに由来)」の疑いで拘束された。のちにDax JがSNSを通じて謝罪。

Dax J – 「Offending Public Morality」

― あなたのルーツについてもお聞きしたいです。Dax Jとして有名になる前、あなたは“Dangerous”という名義で海賊ラジオを運営していたそうですが、その頃の経験は今もいきていますか?

Dax J: うん。ロンドンのアンダーグラウンドで学んだすべてが、今の僕を形成している。それは間違いないよ。ジャングルやドラムンベース、ガラージ…。でも実を言うと、最初はテクノをやろうと思ってなかったんだ。テクノのスピード感でドラムンベースの曲を作りたかった。だから今の僕が作る曲は、テクノの解釈ではかなり速いほうなんだよね。ドラムンベースやジャングルからは、特にベースラインにおける学びがたくさんあった。…ただ、あの頃は問題もたくさんあったんだよ。音楽にのめり込むあまり、大学から退学処分を受けたんだ。若かったんでお金もなかったし、生活はかなり厳しかった。でも音楽をやめることは全然できなくて、今振り返ると、海賊ラジオは自分のためにやっていたのかもしれない。で、ある時「どうやら今からでも音楽を学ぶ道はあるらしい」ってことに気付いて、もう一度別の大学に入り直したんだ。そこではひたすら音楽を勉強したよ。

― テクノに移行したきっかけは何だったのでしょう?

Dax J: その大学は3年制だったんだけど、卒業してからイビサに行ってみようと思ったんだ。それが確か、2007年の夏だったよ。それまで僕は一度もイビサに行ったことがなくてね。テクノも積極的に聴いてなかった。それまでの7年間、自分で作る曲はドラムンベースばかりだったし。で、イビサには「SPACE IBIZA」があったじゃない? 僕はその夏の間、SPACEに何度も何度も何度も通ったんだ。毎晩酔っぱらってはメインフロアで踊りまくって、そこで経験したすべてに感銘を受けたよ。そんな体験の中でも抜群に食らってしまったのがCarl CoxのDJだった。もちろん彼はハウスもプレイするけど、テクノの曲でDJするときの彼は圧巻だよ。僕のテクノへの道が開けたのは、間違いなくそこからだね。

― あなたは今ではすっかりトレンドセッターです。DJやプロデュースに関する賞をいくつも受賞しているにも関わらず、あなたがアンダーグラウンド性を失わずにいられる理由に興味があります。ご自身ではどう考えてらっしゃいますか?

Dax J: さっき言った自分の出自は大きく関連しているだろうね(笑)。大学のような権威的な組織とは、とにかくウマが合わなかった。それに…、僕はやってることが全く変わってないんだよ。これはジャンルじゃなくて、スタンスの話。今はテンポが速くて、ハードなテクノをみんな聴いているけど、僕は10年ぐらい前からそれをやってる。当時はそれほど人気がなかったけど、今は違う。ただそれだけなんだ。みんながEDMでドンパチやってたり、ダブステップが流行っている横で、僕は粛々と自分のサウンドを追求してた。ずっとアンダーグラウンドにいられる人って、この点で共通している気がするよ。


Dax J @ CLR Warehouse Party London – 22 11 2012

― 仰るように、テンポの速いテクノは既に一般化したような印象があります。これからのシーンはどこへ向かうでしょうか? また、それに伴うあなた自身のアクションについて何か具体的に考えていますか?

Dax J: 今って、シーンの主流がテクノの枠を超えてトランスまで行ってる印象があるんだよね。ますます速くなってるし、プロダクションもめちゃくちゃハード。そこまで行くと、もはや僕の範疇ではない。もう少しすると飽和状態になって、シーンがクラッシュするだろうな。あるいはその予想に反して、ひとつの様式美として生き続けるか…。クラッシュした場合は、ミニマルなサウンドが台頭すると思うよ。歴史がそう教えてくれる。2005年ぐらいにもテクノが高速化した時代があって、それが終わった後はミニマルの波が来た。僕としては、音楽の形骸化を避けるためにも一度クラッシュしたほうが良いと思ってるよ。今年は今言ったトランスの型に近づくことなく、自分のカラーを追求したい。

― その考え方は〈Monnom Black〉にも反映されていますか?

Dax J: そのつもりだよ。Monnom Blackからリリースされる曲は、大体僕が実際にギグでプレイしたもので。僕は元々選り好みするほうだし、大いにその考え方が反映されているだろうね。ただ、アーティストに対してはあまり口うるさくしないように心がけてる。僕からリクエストがある場合も、最小限にとどめているつもり。そもそも、そのアーティストに頼んだ段階で、その作家性を信頼しているわけだから。

― Mixmagは昨年“ブレイクスルーアーティスト”としてI Hate Modelsをピックアップしていますが、あなたのレーベルでは3年前の段階でフィーチャーされているんですよね。

Dax J: 彼が作る曲はどれも素晴らしいからね。実際にコンタクトを取り始めたのはもっと前なんだ。彼がファーストEPをリリースしたあと、僕のところにもデモが送られてきた。あまりにも出来が良かったもんだからすぐに連絡したよ。そうしてリリースされたのが、『State of Control』だね。

― ところで、あなたもI Hate Modelsも昨年来日されてますが、日本はどうでしたか?

Dax J: 最高だったよ。日本のクラウドは素晴らしいよね。ヨーロッパに比べるとシーンの規模は小さいかもしれないけど、ひとりのひとりの音楽リテラシーが高すぎる。彼らぐらいの知識量を持つクラウドは、世界を見渡しても稀だと思う。クラブのサウンドシステムも優れてるし、音響エンジニアもトップレベルだ。日本でプレイできるのはいつも楽しいよ。

― 最後に、差支えのない範囲で今後の展望を教えてください。

Dax J: 6月にMonnom Blackから僕のEPが出るよ。実はスタジオも新調したんだけど、これが本当に素晴らしくてね。今年はツアースケジュールもタイトだけど、せっかくなのでスタジオワークにも力を入れたい。家に居られるのが週に2、3日しかないんだけど、その間に曲作りが出来るといいな。もちろん、DJのセットアップも常に考えてるよ。


Interview_Kimya Khayat
Edit_Yuki Kawasaki

■ Dax J
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