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FEATURES

Dosem 【インタビュー】 「都市はストーリーや文脈を作る上で非常に重要」

パンデミックにより、図らずも生まれた“現在性”。

Mixmag Japan | 25 September 2020

Dosem – 「Tower」

スペイン人プロデューサー / DJのDosemが〈Anjunadeep〉よりニューアルバム『Dream Decoder』をリリースした。ここ最近は同レーベルの常連プロデューサーとしてもよく知られているが、そのレーベルカラーと本作のコンセプトはこれまでに例がないほど完璧に符合している。何せ、今作のテーマは「夢」なのだから。Anjunadeepがこれまでに推し進めてきたメロディックで陶酔的なサウンドと合致しないはずがない。事実、上のMVも含め“意識と無意識の境界”のような音世界を作り出すことに成功している。

そしてもうひとつ、『Dream Decoder』を語る上で外せないトピックがある。今回、Dosemが「夢」の舞台に選んだのは東京であった。昨年、来日公演の際に訪れた東京にて、滞在期間を延長してまで作り上げたのが本作だ。本稿では、制作背景を中心に夢と都市の関係性について話を聞いた。

Dosem – 「Eternal Summer」


2019年6月、彼はKen Ishiiとの共演のため東京・渋谷を訪れていた。SOUND MUSEUM VISIONで開催されるテクノパーティ「ALIVE」への出演だったのだが、のちに両者はコラボレーショントラック「Green Flash」を発表している。

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「何度目かの訪日だったけど、去年は特に楽しかったね。音楽を聴きながら街を歩き回ったり、街の写真をたくさん撮ったよ。東京にいる間はずっと日記をつけてたんだけど、その内容と写真がシンクロしていく瞬間があって、それが『Dream Decoder』の大きなインスピレーションになったんだ。前から夢に対して興味があったんだよね。抽象的でアンタッチャブルなのに、なぜか意味性を見出してしまう」。本作には建造物も重要なモチーフとして登場する。彼はこれまでにも街や建物からインスピレーションを得ることがあった。自身が主宰するレーベル〈HOUSTRIKE〉からリリースされた「Downtown Parallax」が好例だ。

「東京は特にクールだよね。僕はサイバーパンクな世界観が好きなんだけど、東京の街の雰囲気は僕が漫画やアニメで観てきた感じそのものなんだよ。『AKIRA』や『ブレードランナー』が大好きで、本作にも確実に影響がある。映画で考えるなら、このアルバムに関しては『インセプション』の存在は大きい。あの作品に登場する“街”は、このアルバムでやりたかったことのひとつだよ。『攻殻機動隊』や『マトリックス』の名前も挙げておこうかな。あんな感じだね。僕が今回イメージした“夢”と“街”というのは。『Downtown Parallax」』もそうだけど、僕にとって都市はストーリーや文脈を作る上で非常に重要なものなんだ」。

その世界観を構成する上で大きな助けになったのが、今回はAnjunadeepのスタッフだったと彼は語る。「Anjunaのチームには本当に助けられたよ。このレーベルに対しては、様々な人が様々なイメージを持っているだろう。母体である〈Anjunabeats〉はトランスで一世を風靡したしたけど、僕らがやってるようなメロディックなハウスやテクノにも理解がある。そのオープンマインドな姿勢には心からリスペクトしてるんだ。レーベルのフォロワーもそれを許容できるのがすごいよね。夢の構想自体は数年前からあったんだけど、それをAnjunadeepのようなレーベルと形に出来たのは嬉しいよ」。

Dosem – 「Megacities」

夢の着想自体が数年前なのだとしたら、図らずも本作は現在性を帯びて我々のもとへ届けられた。ヨーロッパではまだまだ現場の再開が難しく、いまだに人々の行動に大きな制限がある。日本のライブハウスやクラブ界隈も以前までの営業形態には遠い。しかし夢の中ならばどこへでも行けるし、誰にでも会えるのだ。

「こんな状況、今までなかったよ。しかもこれが世界的に起きているっていう。僕もアーティストとして何が出来るか常に考えてる。そういう意味では、今回のアルバムが人々の逃避先になればいいと思ってる。夢の世界が逃避先なんて言うは易しだけど、こういう難しい時に逃避すらできないのってヤバい気がするんだよね。僕はこのアルバムを作りながら東京のことを考えていたけど、今は少し違うニュアンスなんだ。日本滞在中はたくさん友達ができたし、街についても色々学びがあった。そういうものが、今では夢のように感じられるんだよ。でもそれは決して悲劇的なことなんかじゃない。僕には今言ったような素晴らしい思い出があるし、きっとまたみんなに会える日が来ると信じてる。またおいしいご飯を食べたいし(笑)」。

“カタルーニャの太陽”の異名にふさわしい、極めてポジティブなキャラクターであった。ダンスミュージックには得てして言葉が意味を持たないが、それゆえに逃避先になり得るのかもしれない。今はしばし、Dosemから届いたラブレターを読み(聴き)ながら、明るい未来を待ちたい。余談だが、彼は新しい音楽ツールの習得に躍起になっているそうだ。


Words_Yuki Kawasaki

■ Dosem 『Dream Decoder』
Label: Anjunadeep

 

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