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FEATURES

Drunken Kong × Risa Taniguchi Special Interview

日本のテクノシーンのエースとライジングスターが語る2019年。

Mixmag Japan | 30 December 2019

Drunken Kong, Risa Taniguchi, VISION カウントダウン

L→R D. Singh (Drunken Kong), Risa Taniguchi, DJ KYOKO (Drunken Kong)

主にBeatportでチャートアクションを起こし続けるDrunken Kong。今年もChristian SmithTeenage Mutantsらと手を組みながら、素晴らしい曲をリリースした。Sianのレーベル<Octopus Records>から出た「Viper」に至っては、ADEのAwakeningsでCarl Coxによってプレイされている。今やこの2人は名実ともに日本を代表するDJだ。

そしてもう1人、今年海外のテクノシーンで目覚ましい躍進を遂げたアーティストがいる。Pan-Potのレーベル<Second State>を中心に音源をリリースする、Risa Taniguchiだ。彼女は今年プレイヤーとしてADEに参加し、各所でDJを披露。ついこの間の12月20日にも、同じくSecond Stateから「Enough」をドロップした。

世界を相手に真っ向からやり合う2組に、2019年を振り返り、そして来たる2020年へまなざしを向けてもらった。


― お2組とも既に海外でご活躍されてらっしゃいますが、今回の対談は2019年の海外シーンを振り返ることから始められればと思います。ひとつ大きなトピックとして、今年は「ビジネステクノ」なる言葉が注目を集めましたけども。

D. Singh (Drunken Kong) : マーケットが大きくなってるってことかなとも思います。僕としてはすごく前向きに捉えてるんですよ。「ビジネステクノ」って言葉が流通してるのって、EDM以降の世界観なんですよね。たとえばアメリカだと、もう完全にEDMと呼ばれた音楽が下火になってて、みんな「次どこ行く?」ってモードになってる。その延長線上で、テクノに飛び火してきてる印象はあります。

DJ KYOKO (Drunken Kong): 分かりやすい例として、Adam Beyerが4年ぐらい前に「テクノをもっとメジャーシーンへ!」って方向に舵を切って、今のDrumcodeになったんですよね。

D: 急に音が変わったもんね。それで実際あれだけ大きな存在になったわけで、潜在的なニーズはあったんだと思います。

Risa Taniguchi: 日本で活動していた時期のほうが長かった私からすると、そもそもテクノがビジネスとして成立するヨーロッパが羨ましいです。

D: いや、本当にそうだよ(笑)

Risa: やっぱり日本とヨーロッパで温度差はありますよね。

― どういうサウンドを指して「ビジネステクノ」と言われているんでしょうか?

KYOKO: 声とメロディがしっかり入ってて、キャッチーなものが多いんじゃないですかね。

D: サウンドの作りに加えて、僕は音楽性以外の側面もあると思うんですよ。最たる例がフェスですよね。フェスを運営するのにすごい金額がかかるじゃないですか。そこでかかってる曲を指してるんじゃないかって気もしていて。

KYOKO: 私が最後にADEへ行ったのが2年前なんですけど、その時には「ビジネステクノ」って言葉が既にあったんです。考え方自体はその辺から始まってた気がしますね。

D: ただ、やっぱりRisaちゃんが言うようにそれは海外の話なので。日本におけるテクノってまだまだ未成熟だから、僕もそういう状況が羨ましいと思ってしまいます。

Risa: 規模も全然違いますよね。フェスなんてもう、国単位でやってるから。なので、日本のクラブシーンはまず下地のところから考えていく必要があると思います。

D: 向こうはラジオでもテクノがガンガンかかってるぐらいの勢いがありますもん。

KYOKO: 日本人は音楽を聴く時間が短い印象があって。しかもベースが強い音が主流じゃないから、聴く側もテクノに慣れていないんですよね。歌とウワモノが基本的に判断基準になる。

D: それはそうかもね。EDMが日本でも流行った理由が多分そこで、圧倒的にキャッチーなんですよ。ダンスミュージックと歌物がフュージョンされてる。「初めてクラブに行きます」みたいな人でも、音楽として楽しめたんじゃないかと思います。

― でもWIREやMETAMORPHOSEのような巨大レイヴフェスティバルが、かつては日本にもあったんですよね。

D: 確かにあの頃は凄かった。Rainbow 2000とかも相当すごいラインナップでしたね。それこそビジネスとして成立するぐらいの規模と内容だったんじゃないかな。日本でリヴァイヴァルが起きない理由のひとつが、語り手が少なくて次の世代に繋げられなかったことじゃないかと思うんです。

Risa: 私も日本のフェスでこの手の音楽に触れられたのは「Electraglide」が最後ですね。しかもそれが2013年で、私にとっては最初で最後の回だった。

D: あー、そうなんだ。やっぱり今はフェスが新しい音楽との接点になってるから、若い層に訴求するためにはその現状を考えないといけないんでしょうね。

KYOKO: 何よりフェスのメリットは、“昼にDJのプレイを聴けること”なんですよ。クラブって夜にやるから、ある程度の覚悟がないとなかなか難しくて。デイイベントのほうがハードルが低いんです。まぁフェスでプレイすることで、さっきも話にあった「ビジネステクノ」が生まれる懸念はありますけど…。

D: 確かに少なからずフェスのプレイはそういう側面を生んだよね。それについてはアメリカ人DJのDVS1も何かのインタビューで言ってました。「たとえばBerghainのDJは4時間以上のセットを前提として考えている。時には10時間以上に及ぶロングセットを組むこともあって、それはフェスのセットとは全く異なるものだ」って。フェスでのDJって基本的に、1時間ぐらいの尺の中で“どうやって盛り上げるか?”しか考える余地がないので。

Risa: それから、テクノを次世代に継承できなかった理由のひとつに、言葉の壁もあるような気がします。何か情報を得るときに、日本の場合は一度日本語に翻訳する必要があるので。今でもそこにリソースを割くのは大変だと思います。

Drunken Kong, Risa Taniguchi, VISION カウントダウン

2019年、女性プロデューサー / DJの活躍

― そしてもうひとつ、2019年を振り返る上で不可欠なのが女性DJの活躍だと思います。Mixmag(UK)の年間ベストDJが先日発表されましたが、その半数が女性。出演アーティストのラインナップの男女比を50:50に設定するフェスもありましたが、この現状についてお二組にお聞きしたいなと。

Risa: もしかしたら時代の反対を行くような発言になっちゃうかもしれないんですけど…。ジェンダー観って急にではなく、時間をかけてゆっくり変化してゆくものだと思うんです。だからエクストリーム過ぎるアプローチは、かえって女性の活躍を妨げてしまうんじゃないかって気もしていて。もし男女比を50:50にするためだけに私がブッキングされるのだとしたら、それは嫌ですね。実力で判断して欲しい。Amelie LensCharlotte de Witteって、シンプルにDJとしての技術力が高いんですよ。

KYOKO: これも日本と海外でまた話は違ってくると思いますね。日本に関して言えば、女性のほうがプロデュースやDJに意欲的な人が多いような気がします。

D: 実は僕もそう思ってます。Risaちゃんもそうだけど、“YUADA”っていうDJが最近すごい活躍してて。Richie Hawtinのレーベル「Plus8」からリリースしてる女性DJなんですけど、彼女は日本からヨーロッパに引っ越して、基本的には海外で活動してるんです。トラックもDJもアグレッシブ。

KYOKO: 昨日たまたま女性DJで集まって飲んでたんですけど、めちゃめちゃ深く音楽の話ができたんですよ。「今この曲を作る意味があるのか」とか、「使ってるシンセはアレだ」とか…。その時ふと考えたんです。男性のDJとはしばらくそういう話をしてないなって。

D: で、男同士で音楽の話をするかと言われるとそうでもなくて。男性アーティストが集まってもなぜか機材や曲の話にならないんですよね。そういう雑談は大事だと思うんですけど…。

Risa: そういうのを性別上の特性で解釈されなくなるのが、私個人としては理想だとは思ってます。

D: そうだね。僕も色んな人と音楽の話をしたいので、どんどん議論の場は持ちたいです。好きな音楽の話って、男女問わずすべきだと思うから。

Drunken Kong, Risa Taniguchi, VISION カウントダウン

― ものすごくベタな質問ですが、2019年のベストワンをそれぞれ1曲ずつ教えていただけると嬉しいです。

Risa: 私はIndustrialyzerの「Moonstone」ですね。私もお世話になってるレーベルSecond Stateからリリースされた曲なんですけど、めっちゃカッコイイんですよ。最初に聴いたのは誰かのDJ Setだったんですけど、その時に衝撃を受けて。もちろんすぐにシャザムしたんですけど、その時はリリース前だったみたいで曲名が出なかったんです。この曲だって判明したのは、その半年後でしたね。…長かった(笑)。ADEでは私も彼と一緒のパーティに出たんですけど、その時のLive Setもヤバかったです。

D: 僕はAdam BeyerのDJで知ったLayton Giordaniの「Chrome」を推したいですね。音圧も音の周波数もめちゃくちゃレベル高い。やっぱりDrumcodeって、Victor RuizANNAみたいにキャラクター性の強いアーティストのリリースが多いですけど、彼も負けず劣らず素晴らしい才能を持ってると思います。彼はまだ20代なので、今後も動きにも注目してますね。

KYOKO: 私はNakadiaの「Acid Storm」ですかね。今年はこの曲を自分たちのDJの時にかけまくってました(笑)。どの場面でかけても合うんですよ。「ちょっとここ難しいぞ」ってシーンでも、この曲をかけるとフロアも乗ってくる。Nakadiaはタイ出身のプロデューサーなんですけど、既にCarl Coxの「Intec」から出してて。あまりにもこの曲使っちゃってたんで、「少しSetに組み込むの控えようか」って話し合うぐらいでした。本当は今でも使いたい。

― 時期も時期なので、最後に2020年に向けたプランがあれば教えて下さい。

Risa: 曲のクオリティを上げたいですね…。毎日鬱になりながら作ってるんですけど、今が勝負の時だと思ってるので。私の好きになる曲って、リズムが優れているものが多いんですよ。さっき例として出した「Moonstone」もそうですけど、直感的なグルーヴに惹かれることが多くて。私もそういう曲を作りたいです。それこそDrunken Kongのお2人が作る曲のグルーヴは、本当に参考になりますよ。

D: 僕も同じようなもんです。単純に、音をもっと良くしたい。鬱になるところまで一緒ですね(笑)。上手くいかない時は近所の焼き鳥屋で記憶飛ばすまで飲んで、Kyokoちゃんに怒られます。

KYOKO: 最近はスタイルを変えたいなと思っていて。単純に音数を増やすってことじゃなくて、全体的に音圧を上げていこうって話しています。

D: なんか今のスタイルに飽きてきちゃったよね。もっと自分たちのオリジナリティを追求したいです。オーディエンスが僕らの曲を聴いたときに「これDrunkenだよね」って事例をどんどん増やしていきたい。それはBeatportの売り上げとか、シーンのトレンドよりも優先したいです。数字ベースで考えずに、もう1度音楽そのものに立ち返る。それが2020年最大の目標ですね。


Photography_Reiji Yamasaki
Interview_Yuki Kawasaki

■ VISION NEW YEARS EVE PARTY COUNTDOWN to 2020 (Drunken Kong出演)
2019年12月31日(火)
OPEN:21:00
東京・渋谷 SOUND MUSEUM VISION
前売: 3,500円
当日:(21:00〜23:00) 3,500円
(23:00〜3:30) 5,000円
(3:30〜) 3,500円
<イベント詳細>
http://www.vision-tokyo.com/event/vision-new-years-eve-party-countdown-to-2020

 

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