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Gilles Peterson 【インタビュー】 「手法を変えるだけで違法性が無くなる場合がある」

生粋のミュージックラバーとの邂逅

Mixmag Japan | 8 November 2019

Gilles Peterson, ジャイルス・ピーターソン, mixmag

UKジャズシーンにおいて長きにわたり活躍する、Gilles Peterson(ジャイルス・ピーターソン)。ジャズに限らず、あらゆるジャンルに造詣が深く、これまでに様々なアーティストを世に輩出してきた。主宰を務める「Brownswood Recordings」はアーティストや音楽ファンから全幅の信頼が寄せられているし、自身がオーガナイズする「Worldwide Festival」は今年で14回目の開催を迎えた。また、今夏は母国であるイギリスでも「We Out Here Festival」を行い、大成功。3年前にはオンラインラジオステーション「WORLDWIDE FM」を開局し、多様な方面に向けて素晴らしい音楽を発信している。

―― 世界最高のトレンドセッター。個人的な話で恐縮だが、今回インタビュアーを務めた筆者にとっては憧れを通り越して畏怖の対象である。筆者に限らず、ここ日本でも彼に影響を受けた人はアーティストでなくとも山ほどいるだろう。この日はまるで、旧師と話しているような心地であった。


― 「WORLDWIDE FM」がローンチしてからわずか3年しか経過しておりませんが、プラットフォームとして確固たる地位を築いた印象があります。立ち上げ時の目標であった“世界中に拠点を作る”に関しては相当達成できているように思いますが、あなた自身はどう考えてらっしゃいますか?

Gilles Peterson (以下、G)その点に関しては僕も満足してる。いわゆる“ハブ”を目指してたんだよね。若い世代のアーティストがプレーヤーとして力を発揮できる場所を作りたかったんだ。リアルな空間だと限界があるけれど、インターネットを介すればどこにでもコミュニティを作ることができる。僕は18歳ぐらいの頃に海賊ラジオを作ってたんだけど、当時を思い出すよ。高層ビルの屋上からアンテナを立てて、イリーガルに自分たちが好きな音楽を放送するっていうね。何せ“イリーガル”だったから、あの時は怒る人がいっぱいいたんだ(笑)。やってることは変わらないんだけど、プラットフォームを変えるだけで違法性が無くなる場合があるんだよ。

― そもそも“ワールドワイド”をコンセプトにした理由は何だったのでしょうか?

G 僕は30年以上DJをやっているわけだけれど、続けてゆくうちに気づいたことがある。フランスやドイツ、イタリア、そして日本…。世界中でプレイさせてもらってゆく中で、イギリス以外のプロモーターやDJと良い関係が築けたんだ。当然だけど、イギリスでは英語が通じるから言葉でのコミュニケーションは非常に簡単だ。けれども、非英語圏ではそうはいかない。そういうとき、純粋な意味で音楽が共通の言語だったんだよ。好きなものが共通していると、言葉が通じなくても分かり合えることはないかい? かつ、言葉が異なると解釈の仕方も違っていて、それが僕にはとても興味深かった。世界が開けたような気がしたよ。だから、“ワールドワイド”ってコンセプトが重要だと思ったんだ。

Gilles Peterson, ジャイルス・ピーターソン, mixmag

― あなたにとっては“世代”も重要なキーワードであるように思います。2年前にここ(WIRED HOTEL ASAKUSA)でポップアップラジオステーションが開設され、WORLDWIDE FMの看板番組「Brownswood Basement」が放送されました。その時はあなたやDimitri from Parisに加えて、「TREKKIE TRAX」のCarpainterやSeimeiなど、日本の若手も出演しておりました。このホテルでは日本発信のレギュラー番組「WW TOKYO」も放送されておりますが、そちらでも若手の姿が散見されます。

G もちろん、その通りだよ。僕は新旧が混ざり合ってこそ至高のものが出来ると考えてるんだ。むしろそれがWORLDWIDE FMの全体像だね。世界と世代。それがすべてさ。過去の偉大な音楽を賛美し、新しい世代にも光を当てる。さっきも言ったように、インターネットがあれば世界のどこにいてもそれを実践できるんだ。昨年はオーストラリアのメルボルンにある「Northside Records」というレコードショップでポップアップラジオをやったんだけど、素晴らしい才能にたくさん出会えたよ。それがきっかけで、メルボルンのソウル~ジャズ・シーンに焦点を当てたコンピアルバム『Sunny Side Up』を今年の夏にリリースできたんだ。

『Sunny Side Up』より、Dufresne – 「Pick Up / Galaxy」

G ポップアップラジオの良いところは、音楽を不特定多数に伝えられるのと同時に、その場にいる人はイベントとして体験できる点だよね。僕はリアルな空間がもたらす力も信じてるから、ラジオをイベントとして成立させることも重視してるんだ。

― あなたは日本との関係も長く深いですが、この国の世代の繋がりについてはどう考えてらっしゃいますか? 界隈では“若いリスナーをどう取り込んでゆくか?”が長く議題に上がってるのですが、解決の糸口は見つかっていないように思います。

G 泥臭い話だけど、より多くの人に知ってもらうことが最重要事項じゃないかな。物事に積極的に取り組むのみだよ。日本がどう見えてるかって話だけど、それほど悲観することもないと思うけどね。「Rainbow Disco Club」(以下、RDC)みたいにエッジの効いたフェスもあることだし、同じ哲学で動いてる人は多いような気がする。

― RDCのどのような部分がスペシャルに感じられますか? 私も大好きなフェスです。

G まずはラインナップだよね。フェスのオーガナイズはひとつひとつの選択が重要なんだ。どういうジャンルの、どういうアーティストを選んで、どうやってパーティを開催するのか。そういうものの積み重ねでフェスは完成してゆく。RDCはいつも興味深い選択をするよ。HuneeThe Black Madonnaに加えて、意外性のあるb2b。僕も出たことがあるけれど、すごく居心地が良かった。過去をさかのぼっても、日本には素晴らしいベニューがあったよね。「Yellow」は世界でも有数のクラブだったと思う。あまりにも素晴らしい時代があっただけに、確かにノスタルジックになってしまう人はいるのかもね。でもムーブメントは繰り返すものだから、形は変わったとしてもまた日本が勢いを取り戻す時が来ると思う。RDCが生まれたみたいにね。

― ぜひ秘訣を教えていただきたいです。WORLDWIDE FMのリスナーの平均年齢は25歳~30歳だと聞きました。新しい世代をどのように巻き込んでいるのでしょうか?

G まったく見当もつかないな(笑)。イギリスにはイギリスのやり方があって、日本には日本のやり方があるだろうから…。ひとつ確実なのは、さっきも言ったように“周知させること”だ。最近日本のPowderというDJと現場が一緒になる機会があったんだけど、彼女は素晴らしいね。しかもまだ若いだろう? 僕が見た時はテクノを中心にプレイしてたんだけど、ジャジーな曲もかけるんだよ。彼女のようなアーティストが、持てる力を最大限発揮できる場所を作って、それを周知させればいいんじゃないかな。

― あなたがフランスのセットで開催している「Worldwide Festival」は、まさしくあなたの理想を反映しているように思われます。世代を超え、民族を超え…。あなたが思うフェスの役割はどのようなものですか

G 基本的にはWORLDWIDE FMと同じ考え方だよ。“ハブ”であり、コミュニティさ。ただ、フェスとオンラインステーションには違いもある。当然だけれども、両者の間では主体性が段違いなんだ。ラジオはPCの電源さえ入れれば誰でも気軽に聴けるけど、フェスはお金を払って移動して、多くの時間を割かなければいけない。ここがやっぱりラジオとは違うよ。そして“自分がどういう人物で、どういう個性を持っているか”。そういった自己表現も、まだ対面のコミュニケーションに分がある。今年はイギリスでも「We Out Here Festival」を開催したんだけど、ありがたいことに大盛況だったんだ。新鋭フェスでも1万人集まるんだから、やっぱりそこには人が潜在的に求めるものがあるんだと思う。…君もおいでよ!(笑)

We Out Here Festival 2019 – Recap

― お金さえ工面できればすぐにでも飛んでゆきます! …では、最後の質問です。あなたとWORLDWIDE FMの今後の展望について教えて下さい。

G 僕は55歳なんだけど、実は今が一番楽しいんだよね。新世代のフックアップ、アイデアの実行、そして新しい音楽の発見…。すべてに関して信じられないほど実りがある。本当に幸せさ。今後のことは上手く明言できない。というのも、やはりその都度目標は変わってしまうからね。それが最も興味深いところだよ。WORLDWIDE FMがどう成長してゆくのか、僕自身まったく分からない。ただひとつ言えることは、「これは良いビジネスになりそうだ」と考えたことは一度もないことかな。それは今後も絶対にあり得ない。最近の企業に多いんだけど、あまりにもみんな結果を求めすぎだよ。「Boiler Room」や「NTS」がお金を稼ぐために始まったわけがないんだ。僕はビジネスマンとは違う形で、みんなと音楽で盛り上がりたい。

Gilles Peterson, ジャイルス・ピーターソン, mixmag

インタビュー終了後、来年の南フランス行きを固く誓ったのだった…。


Interview_Yuki Kawasaki
Interpret_Venese Lau

■ Worldwide FM
<公式サイト>
https://worldwidefm.net/

 

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