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Herbalistek 【インタビュー】 「あの喧嘩がなかったら、“世界観”ってキーワードにたどり着けなかった」

日本屈指の新鋭デュオが考える、国内のベースミュージックの現状と可能性やいかに。

Mixmag Japan | 19 July 2021

Herbalistek, ハーバリ インタビュー, SECTOR VISION, mixmag

Herbalistek: YODA, NOA

ベースミュージックを軸に、ダブステップやハイブリッド・トラップなど多彩なサウンドスケープを展開するデュオ・Herbalistek。2018年には〈TREKKIE TRAX〉がリリースしたコンピレーションアルバム『branch vol.01』に参加し、翌2019年には盟友であるAllen Mockと共に「EDC Japan」初の一般公募型新人発掘プロジェクト「discovery PROJECT」を勝ち抜いた。EDC Japan本編へも出演し、当日はTchami x Malaa、Alison Wonderlandらと同じkineticFieldでプレイ。国内屈指の若手DJデュオとして名乗りを上げた。

そんな彼らがオーガナイズするパーティ「SECTOR」が、来る7月21日(水・祝前)に渋谷のSOUND MUSEUM VISIONで開催される。彼らのアイデンティティであるベースミュージックに特化した、五感体験型のイベントだ。ラインナップには、HerbalistekやAllen Mockのほか、Fellsius (TREKKIE TRAX)、Maru、〈ARANCK Collective〉のRIIIとMASTADといった日本のベースシーンを代表するプロデューサーが名を連ねる。

パーティ前夜のスペシャルインタビューとして、Mixmag Japanは開催地であるVISIONでHerbalistekに話を聞いた。彼らが考える、国内のベースミュージックの現状と可能性やいかに。


― 2019年のEDC JAPANが大きな転換点のひとつだと思うのですが、個人的にはその前からお2人のご活躍は耳にしていました。まずは改めてHerbalistekの黎明期のお話からお伺いしたいです。

NOA: 大学が一緒だったんですよ。音楽に関係なく友達として仲良くなった。僕らは2人とも育ちが海外なんですけど、そういう部分でも価値観が共有しやすかったんだと思います。DJを始めたのはYODAが先でしたね。

YODA: 学生イベントでしたけど、僕がいた学部が海外からの留学生が多いところで国際色は豊かでした。そこへNOAがプロモーターとして参加してくれるようになったんです。そのうち彼もDJをやるようになっていきました。

NOA: なので、僕ら2人は曲のプロデュースよりも先にDJから入ったんです。音楽を本気でやろうと思うようになったのは大学2年生ぐらいの頃ですね。当時のYODAはDJするときにEDMとかエレクトロニックな音楽をかけてたんですけど、僕はアメリカの西海岸で育った影響もあってヒップホップが好きだったんです。そこからトラップに繋がって、ベースミュージックを聴くようになりました。

YODA: 2015年にMilo & Otisという2人組のDJがVISIONに来たんですけど、それを見たNOAが「これをやりたい」と言ってきて。そこからトラップを深く追求するようになったんです。で、Herbalistekを組んだ。自分たちで楽曲を制作するようになったのはその後ですね。

― 楽曲は必要に迫られてプロデュースするようになったんですか?

NOA: そうですね。やっぱり自分たちの世界観を提示する上で楽曲ってすごく大事だと思うんです。DJでもそれを示すことはできると思うんですけど、なかなかユニークには見られないと言いますか…。

YODA: 僕もそう思います。日本でDJをすると、“対バンド”として見られることが多いので、その中でアピールしてゆくためにはオリジナルの楽曲を持つことは重要な気がしますね。楽曲がないとなかなかメインアクトになれない実感があります。

― 構造的にDJがマイノリティになってしまっていると。ただ、個人的には日本国内でもベースミュージックの盛り上がりは顕著だと感じています。「Beginning」に行くと、若いオーディエンスの姿が多いように思いますし。

YODA: 確かに僕らより若いオーディエンスも多い気がしますね。界隈に若いプロデューサーが増えてきているからかもしれません。

NOA: ベースミュージックって、2010年以降の新興ダンスミュージックの中では歴史が長い方だと思うんです。アメリカを例に出すと、UKのダブステップが西海岸に持ち込まれて、そこから様々なサブジャンルに派生していった。トラップが入ってきたり、ダブステップとトラップのハイブリッド・トラップだったり、最近ではリドゥムが生まれたりとか。アメリカは広いですし、それぞれの都市に人もたくさんいるので、毎日のように各所でフェスがある。だから新しいものも生まれやすいんですよね。対して日本は、人口が東京に集中しているので、都市ごとの多様化っていうのが起きにくいように感じます。

YODA: その意味では、少しもったいない気もしていて。僕らから見ると今の日本には、ベースミュージックのプラットフォームが「Beginning」ぐらいしかないような気がするんです。盛り上がりに対応できる場所の数が少ない…。

― 分かります。お2人は「discovery PROJECT」を勝ち上がって、EDC JAPAN 2019のメインステージに出演されたわけですけれども、同輩のAllen Mockも同じ道のりを経て同じ舞台に立っていた。つまり、国内最大規模のメガフェスティバルが「最高の若手」と太鼓判を押したのが、全員ベースミュージック系のプロデューサー/DJだったと…。仰るように、もったいないと思います。極めて過小評価。

YODA: 自分たちでも確かにそう思いますけど(笑)…、でもまぁ、それはまだ“やりようがある”って話だとも認識していて。

NOA: まだメインストリームにはなってないからね。

YODA: 日本だとアウトプットしてるアーティストもまだ少なくて、ベースミュージックをプッシュし続ければ国内でも同じように盛り上がるんじゃないかって気もしてるんです。日本に大きな波としてベースミュージックが来たのがここ数年の話なので、まだやれる余地は残されているのかなと。

NOA: SNSを見てても、日本にも原石は山ほどいると思うんです。オフィシャルに楽曲を発表していないのに、Twitterに上げる音楽のクオリティがめちゃくちゃ高い。アメリカに負けないぐらい才能を持った人は多いような気さえしていて、本当にアウトプットさえすれば届くところには届くのに…ってケースを相当見てきました。

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― 今回の「SECTOR」ですが、以前からパーティの構想はあったのでしょうか? 「SECTOR」と名前が冠されたVisual Mixが2本ほど、しばらく前にアップロードされてますよね?

YODA: 「SECTOR」って名前が決まったのは直前ですけど、パーティ自体は今年の1月ぐらいに決まってました。

NOA: 今僕たちと一緒にパーティを作ってくれてるイベントプロデューサーにも、「日本にベースミュージック系のパーティって少ないよね」と背中を押されまして。しかもVISIONのサウンドシステムってベース向きなんですよ。それこそMilo & Otisとか、Pegboard Nerdsの音楽がすごく映える。僕もそういったアーティストの来日公演は見に来てましたし、その立場からするとVISIONで自分たちのパーティができるっていうのは、ひとつ夢が叶った気もしてます。

YODA: で、元々ビジュアルはあったので、それらを統合して自分たちの世界観を作れないか?っていうところから始まりました。僕らがやってるベースミュージックは、細かく言うと「Freeform Bass」と呼ばれてるんですけども、その別名が「Space Bass」なんです。僕らはそれを積極的に言葉で押し出してるわけじゃないんですけど、受け手側に“宇宙”を連想してくれる人が多くて。その解釈の一致が面白くて、パーティとして表現してみたくなったんです。

NOA: 音楽だけで聴くのも面白いんですけど、ビジュアルも一緒だと体験の質がまたひとつ変わる気がしていて。映像表現って「観る」ものなので、ビジュアルが加わることによって「踊る」「聴く」とはまた違うエンターテイメントになり得るのかなと。コロナ禍以降は特にそう思うんです。自分たちの最大の目標のひとりであるEpromも、ビジュアルミックステープを出してますし。このインタビューでも度々繰り返してますけど、“世界観”を提示したいんですよね。それを作りこんだイベントは、確かに日本ではそう多くないと思うんです。

YODA: 特にベースミュージック系だとね。Epromはその世界観の構築が完璧なので、重要なリファレンスであり続けてますね。音楽的にも、“こんなルールの破り方ってあるんだ”っていつも思わされます。

― Baauerの『PLANET’S MAD』をどう見ましたか? あのアルバムもまさしく世界観の構築という意味でひとつの到達点だった気もします。時期もちょうど世界的なロックダウンが始まるかどうかという段階でしたし。

YODA: あれも最高のビジュアルアルバムでしたね。めちゃくちゃ好きです。 リリースパーティをオンラインでやってたと思うんですけど、それも含めて完成度が高かったですよね。ある宇宙の星でオーディエンスが踊ってて、その中心にBaauerがいるっていう。

NOA: 僕も家でその様子を見てるときに、まるで自分がそこにいるかのように感じました。このアルバムは60分のフルビジュアル作品でしたけど、やっぱりカッコよかった。あの作品以降、Baauerの曲を聴くとあの映像を思い出します。音とビジュアルが融合したときの強度の高さを感じました。

― 今仰ったようなアイデアをベースミュージックでやろうとしてることに面白さを感じます。偏見かもしれませんが、そもそものUSベースミュージックって“力こそパワー!”みたいな側面があったような気がするんです。でも「SECTOR」でお二人がやろうとしてることに対しては、もっと繊細でコンセプチュアルな印象を受けました。

NOA: それも僕らが伝えたいことのひとつですね。仰るようにベースミュージックって“どれぐらい低音のパワーが出せるか”みたいな力比べ的側面があると思うんですけど、僕らが示したいのは流れや緩急の豊かさなんです。ハウスやテクノも好きなんですけど、僕がそれらの音楽を好む理由が“ずっと踊ってられる”ところで。激しいドロップがあっても、それはセット全体の一部と言いますか。UKダブステップにはそういう部分があるんですけど、僕らが最初に知った「ダブステップ」にはそれがなかったんです。

YODA: 僕は最初からそういうアイデアを持っていませんでした。もうずいぶん前の話ですけど、Herbalistekで曲を作る前に、2人で1本ずつミックスをリリースできる機会をもらったんです。そのタイミングでめちゃくちゃ喧嘩したんですよ(笑)。「もうHerbalistekはひとりでやる!」みたいところまで行っちゃって。でもミックスは出さないといけないから、個々で作ってたんです。で、いざ提出しようってときにNOAが仕上げてきたミックスを聴いて、「あ、俺のは出せないや」と感じて。あのときは何に心を動かされたか分からなかったんですけど、今振り返るとまさしく統一感や世界観だったんですよね。それ以降の自分の指針にもなりました。だからあの喧嘩がなかったら、“世界観”ってキーワードにたどり着けなかったかもしれないです。

NOA: その話は初めて聞きましたね(笑)。

― NOAさんはどのように世界観構築のアイデアを得たんですか?

NOA: 映画が重要なインスピレーションになってます。僕の場合は両親が映画好きで、その影響で小さい頃から色んな作品を観てきました。良い映画ってやっぱり世界観が強く提示されてるんですよ。必然性がなく30分ごとに雰囲気が変わってしまう映画って面白くないじゃないですか。アリ・アスター監督の映画(『ミッドサマー』や『ヘレディタリー/継承』)は分かりやすく世界観があると思うんですけど、そういう統一された審美性っていうのは僕らも追求したいですね。

YODA: 話の整合性とかストーリーの面白さじゃなくて、映画全体のトーンが重要なんだと思います。NOAが薦めてくれる映画は大体そこが秀逸で、僕もHerbalistekとしてそれを重視してます。

― ラインナップからして、今回の「SECTOR」には世界観がありますよね。様々なジャンルから精鋭が集結しているけれども、破綻がない。私も楽しみにしております。

NOA: ラインナップに関しては本当に間違いないので、ぜひ色んな人に来ていただきたいです。

YODA: イベントをやるってお話をもらった時から、もう誰にオファーするか決めてたので。このパーティをきっかけに、さらにスケールを拡大していければと思ってます。


Interview_Yuki Kawasaki

■ HERBALISTEK presents SECTOR – A Bass Music Experience –
2021.07.21 (Wed.)
OPEN 22:00 CLOSE 05:00
@ Sound Museum Vision
Line-up:
Herbalistek
Allen Mock
Fellsius
Maru
RIII b2b MASTAD
Kyam
p355
KOEBI
VJ Manami
Rumitoast
Shun Nagasawa
<イベント詳細>
https://vision-tokyo.com/event/sector

 

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