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FEATURES

INTERVIEW:ANIMAL HACK「僕らが飛ばす風船が意外なところに届いたりする」

氾濫するダンスミュージックへの軽やかな反撃

Mixmag Japan | 26 February 2018

ANIMAL HACK

左:Masato 右:Yuta

2月21日に配信限定アルバム『GIFT』をリリースし、広く話題を集めているANIMAL HACK。MasatoとYutaの二人による次世代のプロデューサーデュオである。Apple Musicによる「今週のNEW ARTIST」にもピックアップされた。チャートアクションも好調なようである(2018年2月26日現在ダンス部門にて2位)。2016年に『Keep Shakin』でデビューして以来、独自の切り口でダンスミュージックを表現してきた彼らが、ここへ来て更に躍進を続けている。当初は王道のエレクトロチューンで世に出てきたが、その態度は実にオルタナティブ。「世の中にトレンドがあるとすれば、自分たちはそれにカウンターを返したい」とメンバーのMasatoは語る。そもそも「オルタナティブ」とは何だったろうか?音楽の世界ではすっかりジャンルを指す言葉になってしまったが、本来は態度を表すものであったはずだ。言葉が元々の意味を失って独り歩きすることはよくあるけれど、ANIMAL HACKの二人が見つめる先には、純然たる「オルタナティブ」があった。

ANIMAL HACK – 『Body』

『GIFT』はANIMAL HACK通算3枚目(EP含む)のアルバムである。前作・前々作を経て、彼らの音楽性はどのように変遷したのだろう。「ANIMAL HACKのデビュー作(『ANIMAL HACK』)は、多くの人に届くようにメジャー感を意識して作りました。2枚目のEP『Boy』では、文学や映画の内省的な世界観に視野を広げてゆきました。”自分たちの表現”というものを模索してたんです。『GIFT』もパーソナルな作品ではあるんですけど、より開けたイメージですね。僕らは二人ともロックが大好きなんですが、今作は今までで最もそのルーツと向き合ったアルバムになってます」。
ANIMAL HACK, Mixmag Japan
彼らは楽曲の制作を完全に分業制にしているという。ざっくり区分すると、Masatoがインナー系、Yutaが大箱系というニュアンスだ。参考までに書いておくと、上の『Body』はYutaが作った曲である。「激しかったり、BPMが高いトラックはYutaくんのほうが上手なんですよ。そこに割って入るより、僕は静かなほうを担当しようと(笑)」。とはいえ、Yutaも作家性の転換を図っているらしく、自身のアプローチについてこう話す。「これまでANIMAL HACKの曲を作るときは”ポップさ”とかフロアを意識してたんですけど、今回は結構ダークな雰囲気も目指しました。フランス映画の『17歳』という作品にパーティーのシーンがあるんですけど、そこで流れてるのがCrystal Castlesの『Baptism』という曲で」。

Crystal Castles – 『BAPTISM』

「確かにフロア映えするような曲ではあるんですけど、コード進行が複雑だったり、起伏が激しかったり、作りが一般的ではないんですよね。そういうものを今作では求めてました」。本作でYutaが担当した楽曲(『Body』のほか『Waiting』、『WIMM?』、『Rabbit Hole (HARD Rabbit VIP)』)を振り返っても、このイメージは一貫している。このようなプロダクションを目指した理由についても語ってくれた。「『Boy』を出したときに、”これとは違うことをしたい”と強く思ったんです。あれが出たのは2017年の4月なんですけど、そのころのダンスミュージックって全部同じような内容だったんですよね。明らかに飽和してた。そのときあえて”ダンスミュージックを聴かない時期”っていうのを作ったんです。パンクとかエモだけ聴いてる時期がありました」。
ANIMAL HACK, Mixmag Japan
『GIFT』をアルバムとして俯瞰したとき、もしかしたら雑多な印象を受けるかもしれない。しかしそれにはこのような意図があったのだ。冒頭のMasatoの言葉通り、昨今のダンスミュージックへのカウンターパンチがさく裂している。

「ただ、最初に話した通り、僕らは単純にロックが好きだってことも強調しておきたいです」。一通り今作について語ったあと、Masatoは続ける。「好きなものを追求したところ、結果として『GIFT』ができたというのが本当のところで。自分がこれまで好きだったインディー・ポップやUKロックを、今のダンスミュージックでやってみたかった」。

(ANIMAL HACK – 『Plastic Night』

Yumi ZoumaJimmy Eat World、彼らの口からは古今東西のロックミュージシャンの名前が出てくる。リバーブがかかった瑞々しいギター・サウンド(『Plastic Night』)はインディー・ポップからの引用だし、「イントロ・Bメロ・ドロップ」と明確な区分がある構成(『Waiting』)は2000年代初頭のエモを参照している。その中でも特筆すべきはYutaによるシューゲイザー的アプローチだろう。『WIMM?』はANIMAL HACK屈指の名曲だ。

ANIMAL HACK – 『WIMM?』

Yutaはこの曲を「今まで自分が作った中で一番気に入っている」と語る。「アニメの『攻殻機動隊』にインスパイアされて作った曲なんです。あの映画のサイバーパンクな質感と荒廃した世界観を表現したかった。スネアにオーバードライブをかけて音を割ったり、ギターのフィードバックを使ったり、色んな種類のノイズをのせてます。ヴォーカルはText to SpeechというAIが話す言葉をサンプリングしてますね」。この曲にはもうひとつ、SFというキーワードの他に裏コンセプトがあった。「音楽をカフェで聴く人もいるだろうし、電車の中で聴く人もいると思います。でもこの曲を聴いている間は、どこか違う空間にトリップしてもらいたいんですよ。曲の最後に生活音っぽい音を入れてあるんですけど、実はそういう意図がありました」。
ANIMAL HACK, Mixmag Japan
また、オルタナティブな態度が表れているのは楽曲制作に限った話ではない。ANIMAL HACKは昨年、DJ SetだけでなくLive Setにも挑戦した。そのときの心境をMasatoはこう説明する。「”違ったことをやる”ってことに価値を置いていて。普段DJとして活動している僕らがLive Setをやることで、新たな一面を見せられると思ったんです。鍵盤とパットを入れて演奏を拡張して、そこにVJも入ってもらいました。で、ANIMAL HACKの曲をLive Setで再現しようと思ったら、それぞれのパートに必然性がないといけないと分かったんです。共通認識が取れてない状態では、自分たちの世界観を作れない」。”違ったことをやる”にも、やはりストイックな姿勢が必要だ。彼らはそれも分かっている。

ANIMAL HACK – 『LETTER』

その「見せ方」の部分でもこれまでとは違う方向へ舵を切るつもりだと言う。「以前までは匿名性の高いアプローチをとってたんですけどね」。そう前置きして、Yutaが切り出した。「これからはビジュアルも含めて、視認性の高い方向へシフトしていこうと思うんです。例えば『原宿』という街が持つイメージを活用したり、その土地のカルチャーと組んでいきたい。とにかく自分たちを具体化したいんです」。

その参考が、マンチェスターのロックバンドThe 1975だ。「まぁ、僕が彼らの大ファンだっていう事実もあるんですけど」。少し照れながら、Masatoが笑う。「彼ら、前身バンド時代が10年ぐらいあるんですよ。Drive Like I Doっていう名前だったんですけど、それが今の彼らのイメージとはずいぶん違っていて。MVではみんな同じようなネルシャツ着てるし、全然垢抜けてない」。

The 1975 – 『Robbers (Drive Like I Do VERSION)』

The 1975 – 『Robbers』

「ただ、曲は今と変わらずカッコいいんですよね。変わったのはパッケージだけ。そこに変化があっただけで、イギリスの片田舎でしか知られていなかったバンドが、今や世界中で愛されているんです」。Masatoがこの日一番の饒舌ぶりを見せる。The 1975が所属するDirty Hitは、アーティストに視認性の高いストーリーを付与することに長けたレーベルだ。同バンドのほか、Pale WavesWolf Aliceなども所属している。

「今は自分たちでパッケージのプロデュースもしてるんですけど、本当はアートやファッションのスペシャリストとも組んで完成度を高めたい。自分たちの表現が、他の人の手を介するとどういうものになるのかっていうことには、純粋に興味があります」。分業制なのは楽曲制作の話であって、表現に関する考え方やビジョンは一致している。

ANIMAL HACK, Mixmag Japan

「確かに『GIFT』はパーソナルで内省的な内容ではあるんですけど、同時に期待感もものすごくあって。これは今言ったような”自分たち以外がANIMAL HACKをプロデュースする”っていう話と根本は一緒です。Spotifyの視聴データを見ると、どうやら僕らの曲は60か国で聴かれてるみたいなんですよね。意外なところにANIMAL HACKの音楽が届いてたりする。そういう事実を知ったとき、他者への期待感がものすごく高まったんです。今回のアルバムのジャケットは風船モチーフなんですが、そのような意図が込められてます。自分たちが思いもしなかったところまで飛んで行って欲しい。それが良い贈り物になったら嬉しいです」。

ANIMAL HACK – 『Rabbit Hole (HARD Rabbit VIP)』


Photography_Lawrence Randall
Text_Yuki Kawasaki

■ ANIMAL HACK 最新アルバム 『GIFT』

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http://animalhack.tumblr.com/

 

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