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【インタビュー】 Boston Bun 「アルバムをリリースしようなんて、今まで考えたことがなかった」

Circa ‘99のボスによる「パンデミック・コンセプト・アルバム」

Mixmag Japan | 30 April 2021

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フランスが誇るダンスミュージックレーベル〈Ed Banger〉から印象的な音源をリリースし続け、世界的にその名を知られるようになったBoston Bun。今の彼は、フレンチハウスのプロデューサー/DJとして確たる地位を築いたと言って差し支えないだろう。2019年に「Don’t Wanna Dance」がリリースされた当初、東京でもそこらじゅうでヘビープレイされていた。同年4月には渋谷のSOUND MUSEUM VISIONで開催される人気パーティ「EDGE HOUSE」に出演するため来日したが、個人的な記憶にも素晴らしい思い出として刻まれている。Mat.JoeやDJ Hausなど、同パーティにはフェスティバル級のアーティストがたくさん出ているが、その夜の彼はレジェンドたちに劣らないスペシャルなパフォーマンスを聴かせてくれた。

したがって、今回のインタビューはライターの恣意性が少しばかり(少しばかりではないが)込められている。彼は今、個人レーベル〈CIRCA ’99〉も運営しており、ボスとして様々な才能を紹介している。LogoやSamaranの音源については、今年の2月にMixmag Japanでも取り上げた。

そんなBoston Bunが満を持して、初のフルアルバム『There’s A Nightclub Inside My Head』をリリース。ホームレーベル〈CIRCA ’99〉からの発売だ。本稿では本作の制作背景を中心に、これまで日本語で語られることのなかったEd Bangerとの出会いにまで話が及んでいる。

Boston Bun – 「Your Body Your Mind」


― まずはあなたの音楽的なバックグラウンドを教えてください。私があなたを認識したのは2013年に〈Ed Banger〉からリリースされた「So Special」なのですが、どういう経緯でEd Bangerと関わりを持ったのでしょう?

Boston Bun(以下、B): 最初期のバックグラウンドをさかのぼるならティーンネイジャーの頃だね。僕のキャリアは、コンピューターへの情熱から始まっている。15歳か16歳の時に、ReasonとKorg electribeでトラックを作り始めたんだ。当時は主にラップビートだったね。サンプリングに夢中だった。その後エレクトロニックミュージックやダンスミュージックを聴くようになるんだけど、その出会いは僕の音楽観を大きく変えたよ。ある特定の音楽が、音楽好きが集まる、たとえばクラブのような場所のために作られている。この事実が僕を突き動かした。「僕の世界はここにある」。そう思ったんだ。その時から、Ed Bangerのことばかり考えてたよ。文字通り、夜な夜な夢を見るぐらいにはね。まだEPすら出してなかった僕に、ペドロ*のほうから声をかけてくれたんだ。当時の僕はミックスとRemixがわずかにオンライン上にアップしてた程度だと思う。明らかに僕のキャリア最高の日のひとつだよ。

ペドロ: Busy Pの名義で活動するプロデューサー/DJ、ペドロ・ウィンター。Ed Bangerの創始者としても知られている。

― それが2012年にリリースされた『Housecall』ですね。当時と比較して変化したことはありますか?

B: どうかな。ポリシーは変わってないね。毎日スタジオにいて、新しいサウンドや自分の好きな音楽を作るための新しい方法を探してる。うまくいく日もあれば、そうでない日もあるよ。僕はいつも、自分の音楽の作り方を考えすぎないようにしていて、直感的に自分が正しいと思うものを毎日作ってる。

Boston Bun – 「Housecall」

― 2019年に「Don’t Wanna Dance」がリリースされた当初、東京でも毎週末のようにかかってました。あなたが出演した「EDGE HOUSE」でも何回か聴きました。日本では新世代のハウスミュージックに対し、“テックハウス”とタグ付けされることがあったんですが、ヨーロッパではどうですか?

B: “テックハウス”って言葉が国によって意味が異なるのは面白いね。同じフレーズでもヨーロッパとアメリカでは内容が違うんだけど、日本ではどうなんだろう。そのニュアンスだと、アメリカに近いのかな。まぁでも確かに、その年のフェスのメインステージでは新しくてパワフルなハウスチューンが鳴っていた気がする。新しいシーンが生まれて、若い世代に影響を与えられるのは良いことだよね。「EDGE HOUSE」でもそれは感じたよ。

― 〈CIRCA ’99〉の場合は、ハウスミュージックよりもさらに限定的な部分にプライオリティがありますか? たとえばディスコやニューディスコなど…。あなたのレーベルからリリースされる曲を聴くと、特定のベクトルで作られた楽曲が多いような気がします。

B: ディスコとエモーションだね。それらがこのレーベルの大部分を占めていると思う。僕が欲しいのは、人の心を動かし、オープンマインドにするようなトラックだけだ。

― 〈CIRCA ’99〉のリリースではありませんが、「Forty Deuce」はまさにそんなフィーリングですよね。前からお聞きしたかったのですが、この曲にヴォーカルをのせたトラック「Gucci Slides」を後に発表してらっしゃいますが、この2曲の間に相関関係はあるのでしょうか?

B: 良い質問だね! 実は「Gucci Slides」のほうが先に完成してたんだよ。しかしクラブでプレイしてみると、この曲に関してはリリックがないほうが踊りやすいことに気付いた。それでインストVer.の「Forty Deuce」を先にリリースして、「Gucci Slides」をあとから発表したんだ。「Forty Deuce」は僕のセットの一部になってたから、リリースせざるを得なかったし。

Boston Bun – 「Forty Deuce」

― そんな背景があったんですね。私もこの曲大好きです。…さて、そろそろアルバムの話に移りましょう(笑)。正直驚きました。デビューアルバムというからには、“Boston Bunの総集編”を想像しておりましたが、むしろあなたの新境地を感じました。

B: 『There’s A Nightclub Inside My Head』は全体的にコンセプトアルバムなんだよ。COVID期間中にたくさん楽曲を作ったんだけど、どれもフロアチューンではなかった。それらを集めたのがこの作品。つまり、長年にわたって自分の一部になっているクラブカルチャーやダンスミュージックを、極めてパーソナルなトラックに変換したんだ。これは自分でも予想できなかったが、2020年がそもそも想定外だった。だから、以前まではLP(フルアルバム)をリリースすること自体考えたことがなかったんだ。シングルやEPは、ダンスミュージックのDJやプロデューサーにとって心地よいフォーマットだからね。パンデミックがそれを変えたよ。スタジオに引きこもるようになった僕は、クリエイティブな方向に情熱を注ぐしかなかった。その結果、EPには収まりきらない量の楽曲が出来上がったんだ。すべての曲はそれぞれ違っていて、オーディエンスが必ずしも僕に期待していないようなこともやってると自覚してる。でも、僕にはそれが気に入ってるよ。

このアルバムのクリエイティブ・ディレクションは、ロンドンを拠点とする2人の素晴らしいクリエイター、Lucrecia TaorminaLuke Tierneyが担当してくれたんだ。2人はアルバムの複雑でパーソナルな世界観をうまく表現してくれたよ。こんな世の中だけど、世界各地のアートギャラリーにシェアできるかもしれないんだよね。もしかしたら東京にも。

― それはぜひ実現してほしい…。特に「Stay Around」と「’99」に新しさを感じました。あなたのルーツにはドラムンベースもあるのでしょうか?

B: 僕のバックグラウンドには、クラシックなドラムンベースがあるよ。このアルバムを作るにあたり、僕には全くルールがなかった。その意味では、レーベルの運営とは少し違ってたかもね。ひとつのレーンにとどまりたくなかったし、自分ができる限りのことを経験したかった。君が言うように、この2曲はそんな僕の心境を見事に表していると思う。

Boston Bun – 「Stay Around ft. Jodie Abacus」

― いやでも、このアルバムが〈CIRCA ’99〉でリリースされたことも非常に重要だと思います。真面目な話、今世界で最も過小評価されているレーベルのひとつですよ。少し話は変わりますが、このレーベルを立ち上げた経緯を教えてください。

B: ありがとう! レーベルを立ち上げたのは「Missing You」(2017年)をリリースするためだったんだ。僕はEd Bangerで5年過ごしたわけだけど、その間ずっとペドロの働く姿を姿を見ていた。彼の姿に触発された部分は大きいね。自分もレーベルのボスとして冒険してみたいと思うようになったんだ。確かにこのレーベルには過小評価されてると感じるアーティストは多くいる。うん、その通りだと思うし、今後数年間で成長できることを願うよ。

Boston Bun – 「Missing You」

― 今後のご活躍も楽しみにしています。最後に、あなたと〈CIRCA ’99〉の今後の展望を教えてください。具体的でなくとも構いません。

B: 最近リリースがあったCarl Chasteは、パリ出身の若手アーティストで、僕が最近見た中では最も才能のあるアーティストのひとりだよ。よろしくね。また、CanblasterやBastien Dは、“Palazo”という新しいデュオを組もうとしてる。まぁ、今言えるのはこれぐらいかな(笑)。


Interivew_Yuki Kawasaki

■ Boston Bun 『There’s A Nightclub Inside My Head』
Boston Bun, Boston Bun アルバム, Edge House, mixmag
Label: Circa ‘99
Tracklist:
1. Love U better
2. Your Body Your Mind
3. So Good, So Nice, So Bright
4. Stay Around (feat. Jodie Abacus)
5. ‘99
6. Whenever You’re Ready
7. Skit
8. B.B.B.
9. Nobody But You
10. Spinning Around
<リリースURL>
https://ffm.to/boston-bun-theres-a-night-inside-my-head

 

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