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INTERVIEW:DJ DARUMA & JOMMY「新しいテックハウスの流れは確実に来ている」

elrowのステージから見えた、新時代の到来。

Mixmag Japan | 14 November 2018

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©SUMMER SONIC All Right Reserved.

今年の夏、サマーソニックの前夜祭にあたる『ソニックマニア』で事件が起きた。イビサの超人気パーティー『elrow』が、会場内の一角に完全再現されたのである。そこで鳴る音楽は、カッティングエッジな“テックハウス”中心。多くの文化圏からオーディエンスがやってくるソニックマニアで、同パーティーが開催されたことは画期的であった。「事件」とは大仰な言葉だが、長くダンスミュージックシーンを追っている人ほど、そう感じているかもしれない。

たとえばフェス当日にelrowステージでDJを務めた当事者、DJ DARUMA & JOMMY。二人はこの夜、ブースから見える景色に新時代の到来を感じていた。


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左:DARUMA 右:JOMMY

― お二人は、ソニックマニアからオファーを受ける前からelrowの存在をご存知だったんですか?

JOMMY(以下、J):そうですね。ここ2年ぐらいはハウスがヨーロッパを中心に更に盛り上がっている実感はありました。で、自分好みの海外のDJをインスタとかで追っていると、ものすごいロケーションでパーティーをやってたりするんですよ。

DARUMA(以下、D):サイケデリック・トランスのロケーションに近いんだけど、もっとポップな雰囲気があって。

J:「このパーティーって一体何なんだ?」と思って掘り下げてゆくうちに、elrowに辿り着いたんです。もっと調べてみると中国でも開催されていることが分かった。このロケーションでハウスがかかるってめちゃめちゃ新しいよねっていう話をDARUMAくんとしているときに、ちょうど「ソニックマニアでelrowをやる」と聞いて。

― まさにサイケデリック・トランスですよね。あの色合いとか。

D:現実と非現実の境目が分からなくなる世界観、みたいなところが面白いと思ったんですよね。そこで鳴っているのがハウスだっていうのも、僕らにとっては重要でした。近年は僕もJOMMYも4つ打ちに回帰していて。ヒップホップもトラップも好きで、ちゃんと通ってきたんですけど、現在のモードとしては完全にテックハウスからテクノですね。

― それはオーセンティックなテックハウスですか?

D:いや、便宜上「テックハウス」って言っているだけで、実際はもっと新しいサウンドのような気がします。今まで違うジャンルをやってきた人たちがいきなりテックハウスを目指す、みたいな流れが確かにある。この間Solardo(ソラルド)にインタビューしたんですけど、1人はもともとダブステップのプロデューサー兼DJだったみたいで。だからサブベースの出し方を理解している。彼らがテックハウスの新しい流れを牽引してるんですが、やっぱりこれまでのそれとは違うんです。今までのテックハウスって、彼らのベースほどブリッとしてなかった印象があって。尚且つヒップホップ的な遊び心がある。で、そういう流れ自体はelrowを知る2年ぐらい前から感じてました。レーベルで言えばJamie Jonesの<Hot Creations>、今言ったSolardoの<Sola>、Green Velvetの<Relief Records>、Claude VonStrokeの<DIRTYBIRD>とか、このへんの音が一本化されてきたなって印象があるんです。自分たちの好みとしても“あ、ここだな”っていうのが明確になってきて。で、elrowでかかってるのがまさしく“新しいテックハウス”だったんです。

Solardo & Camelphat – 『Accelerator』

D:ヨーロッパを中心にめちゃくちゃ盛り上がってるこの流れを、どうにかこうにか日本に持って来られないかと。テックハウスって、EDMと比べると地味っちゃ地味なんですよね。日本の新しいお客さんは、EDMを入り口にダンスミュージックを知ったっていう人がすごく多いと思うから、今のテックハウスを伝えるのって難しいだろうなと。そういう層に、音だけで訴求できるかどうかは正直なところ分からない。僕らの世代はグルーヴを知ったあとでEDMを通過したので、この手の音に身をまかせる事が出来るんです。ただクラブミュージック新世代、つまりEDM的な「ワンツースリーフォー、さぁ盛り上がりましょう!」っていうフロアでの流れから入ってきたヘッズに、「グルーヴを感じろ!」っていうのはなかなか厳しいだろうなと。そこでelrowのアイデアが出てくるんです。音だけじゃなくて、世界観で引き込む。

J:これは視覚的にすげぇっていう。何だかんだ“インスタ映え”って重要な要素だと思うんです。そこが非現実的であるほど、そこに居る自分もファンタジー化できるから。それで言うと、インスタってファッションというより、作品に近い部分があると思う。elrowの場合はそれが顕著で、ステージに立っているアーティストだけじゃなくて、自分も主人公になれるんです。それがすごく現代的だなと。

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©SUMMER SONIC All Right Reserved.

D:過去のものも上手く使ってるしね。それと日本には元々横ノリの文化があると思うんですよ。「BIG BEACH FESTIVAL*」がかつて流行って、「WOMB ADVENTURE*」もあった。そういう歴史から考えても、グルーヴで踊りたい日本人って潜在的にすごく多い気がするんですね。で、そこへEDMを入り口にしたインスタをバシバシ使う層が現れた。それで、「もしかしてelrowなら両方取り込めるんじゃないか…?」って考えてたんです。

*BIG BEACH FESTIVAL:Fatboy Slimがイギリスのブライトンで始めたビーチパーティーの日本版。2009年~2013年まで開催。
*WOMB ADVENTURE:渋谷のWOMBが幕張メッセで開催していた、テクノ中心のダンスミュージックフェスティバル

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©SUMMER SONIC All Right Reserved.

D:今回のソニックマニアで出来たことも、やっぱり大きくて。Flying LotusとかThundercatとか、マニアックに音楽を追っている方たちに刺さるラインナップだったと思うんですよ。で、Marshmelloもラインナップされていたこともあって現行EDMど真ん中なヘッズたちもいた。だからオーディエンスを見渡しても、ダンスミュージックを長く追ってきた手練れの人たちと、若いEDMファンが混在してたんです。もっと言うとEDMにもいまハウスの流れが来ていて、ヘッズたちの中にはハウスを“新しい音”として捉えている層もいる。もう、「推すならここだな」と。

― 今年の4月にHot Since 82のDJを聴いたんですけど、彼が鳴らす音にも確かに新しさを感じました。今までヨーロッパを中心にテックハウスってジャンルはずっとあったと思うんですけど、それとは微妙に違うというか。

D:いまBeatportの上位見るとそんな曲ばかりですよ。アンセムだらけ。

― 最近のフロアも変わりつつあるんでしょうか?

J:確実にその傾向はありますね。みんなそこにフォーカスしてるなっていう。この間「Tropical Disco」ってイベントに出させてもらったんだけど、終始フロアが盛り上がってましたね。BreakbotとかTAARも出てて。400人限定のイベントだったんだんですけど、アンテナを張ったお客さんで埋まってましたね。TAARとも話したんだけど、彼も変化の兆しは感じていて。彼の場合はディスコハウスだけど、渋谷のVISIONで「MODERN DISCO」ってパーティーを続けている。それが少しずつではあるけれど、段々実を結んできているみたいで。僕らとアプローチは違うかもしれないけど、このタイミングで彼らとも共有出来る事があると思っています。違う角度からも攻めるというか。

TAAR – 『Astronotes in Disco』

D:4つ打ち回帰はTomorrowlandのメインステージを見ても間違いなく起きてますね。ラインナップの組み方でもそれが分かる。EDMの要素は強いけど、がっつり横ノリ。アーミン・ヴァン・ブーレンがまた超良い扱いになってるんですよ。

― 『A State of Trance』仕様でしたよね。

D:そう。僕も今年PKCZ®︎で出演させて頂いたので現地まで行ったんですけど、やっぱりメインステージでの彼のDJはメチャクチャ踊れたんです。Tomorrowlandのお客さんに向けてEDMの色はしっかり残しつつ、かつて軸にしていたトランスの要素をふんだんに入れていて。アーミン以外にも、Above & Beyondとか。彼らが最終日のトリだったんですけど、彼らもトランスの人たちなわけですよ。Tomorrowlandに限らず、「Creamfields」にも面白いテックハウスを鳴らすアーティストが多く出てましたし。そういう流れ全体を考えると、明らかにシーンが動きつつあることが分かる。それがはっきりしたのがここ半年ぐらいですね。で、アジアにおいて少なくとも第一ステップとして「BIG BEACH FESTIVAL」ぐらいの規模(1万5千~2万人程度)にはすぐ持っていけるなって手ごたえがある。

Armin van Buuren live at Tomorrowland 2018

― 2020年のオリンピックに向けても色々できそうですよね。グローバルに向けてドメスティックなものを打ち出すときにも、パーティーってすごく有用だと思うんです。

D:歌舞伎と組むとか面白そうですよね。

J:それは本家のelrowチームも喜びそうだよね。

D:実際elrowって国によってカラーがあるんですよ。それでジャパニーズエディションで歌舞伎と組むってメチャクチャ面白いな。ちょっとこれ本当にクリエイティブマンに相談してみようよ(笑)

― その国のカルチャーを打ち出してゆくためのローカライズって、やはり重要ですよね。

J:今回日本初開催だったので当日行ってみて、まず内装がバッチリだった。本国のelrowが再現されていてテンション上がりました。あの日はソニックマニアのお客さんの大半が「elrowって何だ?」っていう状態だった思うんだけど、あの場に足を踏み入れた人たちはみんな衝撃を受けたんじゃないかな。「なんだこれスゲェ…!」っていう。

― 紙吹雪もかなり早い段階で舞ってましたよね。

J:そうだね!僕らの出番が12時ぐらいだったんだけど、その時点で2発目くらいだった。

D:「良いんですか?こんなに一杯」って思ってました(笑)

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©SUMMER SONIC All Right Reserved.

D:この状況で誰もが知っているアーティストがヘッドライナーとしてラインナップされれば、間違いなくイベントとして抜きん出る。たとえばFatboy Slimとか。

J:それと、僕がelrowで良いなって思ったのは“チーム感”。本国からプロダクションチームが何人か来てて、パーティーが始まる前に円陣を組んでたんですよ。スペイン語だったから何を言ってるか分からなかったんだけど、雰囲気としては「最高のパーティーにするために頑張ろうぜ!」的なやつだったと思う。そういう、スタッフの“一緒にパーティーを楽しんでやろう感”がめちゃくちゃ良くて。アバターみたいな格好でパフォーマンスするのは日本人なんだけど、彼らもすごく楽しんでた。たとえばMarshmello終わりとか、どこかのステージで出演者が出番を終えるとフードエリアに人が集まるじゃないですか。そのときにマスコットの鳥と一緒になって、お客さんをelrowステージに呼び込んでたんですよ。みんなで楽しんで、みんなで作り上げたパーティーだったなと。ソニックマニアぐらい大きなフェスで、あのファミリー感を感じたのは初めてでしたね。

― その熱量はお客さんにも伝わってたような気がします。

J:というか、物理的にも干渉してたよね(笑)。スタッフが色んなものをフロアに放り投げてた。

D:そうそう(笑)。ウチの奥さんもバナナのハット被って、造花で出来たレイを首から下げて、双眼鏡でブース見てた。「どういう状況?」って聞いたら、「気づいたらこうなってた(笑)」って。

J:そういうのも含めて、素晴らしい体験ができたなと思います。

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©SUMMER SONIC All Right Reserved.

― ここまで徹底したエンターテイメントは確かに最近なかったかもしれないですね。お二人が仰るように、私たちも『elrow』のパーティーとしての潜在能力はまだまだ秘められているように思いました。

D:次が肝ですよね。2回目のelrowで結果を出せれば軌道に乗ると思う。だから各所を巻き込むという意味でも、さっきの歌舞伎の話は本当にどこかで活かせるような気がします。

― 次世代の4つ打ちの盛り上がりって、実は数字でも表れてるんですよね。今年のTomorrowlandのDJ動画の再生数でシャーロット・デ・ウィットがかなり上位に来てるんですよ。HardwellやThe Chainsmokersよりも上にいる。

J::そうなんだ。やっぱりシーンを進める上でもアイコン的な存在って必要ですよね。アメリー・レンズなんかも今すごい勢いあるし。

D:ちなみに、僕らが今すごく好きなアーティストが“Fisher”っていうんですけど、彼は元々<DIRTYBIRD>に居たんですよ。今は<Catch & Release>っていうレーベルを自分で立ち上げて活動してるんですけど。で、そこから『Losing It』って曲をリリースしたんです。それが今年のコーチェラでめちゃくちゃ盛り上がってて。それからずっと支持され続けて、この曲も実はTomorrowlandの全ステージで1番プレイされてるんですよ。内容はまさに今のテックハウスなんですけど。

Fisher – 『Losing It』

J:この曲、フジロックでA-Trakもかけてたもんね。「ここまで来てるんだ」って思った。

D:やっぱり次のキーワードは横ノリなんでしょうね。カルヴィン・ハリスもデュア・リパと組んで作った『One Kiss』(全米ダンスミュージックチャート1位)も完全に横ノリだし。それがダンスミュージックとしてはまだ日本に伝わってない印象があるから、そのあたりもelrowと一緒にやれたらいいなと思います。

J:今からやるべきことがだいぶ見えてきた気がするね。

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■ DARUMA & JOMMY
1990年代初頭よりHIP HOPダンサーとしてTOKYOのクラブシーンの成長を体感した二人は、’00年代後半のエレクトロとファッションの密接な繋がりの中、DJ DARUMAはDEXPISTOLSとして、JOMMYはROC TRAXの一員として各々のDJのポジションを確かなものにした。近年DARUMAはPKCZ®︎、JOMMYは多彩なカルチャーに精通し数々の現場を盛り上げ続ける経験によりDJとして急成長を遂げる。そして現在、DJ DARUMA&JOMMYのB2B STYLEはイーヴンキックのグルーヴに注力しており、HIP HOPからの影響を感じさせる、『新しい』HOUSEやTECHNOでフロアをガンガン踊らせている。


Interview_Yuki Kawasaki, Kana Yoshioka

■ SONICMANIA 2018
日程:2018年8月17日(金)
会場:幕張メッセ
<イベント詳細>
http://www.sonicmania.jp/2018/

 

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