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INTERVIEW:Henrik Schwarz「何もないところからスタートして、気付いたらオーケストラまで辿り着いていた」

5年間に渡るオーケストラプロジェクトの集大成、爆誕。

Mixmag Japan | 3 May 2018

ヘンリク・シュワルツ, Henrik Schwarz, Scripted Orkestra, VENT, Mixmag Japan

今となってはエレクトロニック・ミュージックシーンにおけるオーケストラとの共存は珍しいものではなくなった。しかし、ヘンリク・シュワルツが手掛けるオーケストラとはそれらのどれとも異なり常軌を逸したものである。指揮者ジュールス・バックリー率いる65人の一流音楽家たちとともに作り上げた『Scripted Orkestra』に収められた8曲は全てオーケストラのために書き下ろしたオリジナル楽曲であり、楽器とコンピューターによって生み出された全く新しいサウンドである。テクノ・ハウスのトップDJ/プロデューサーとして充分過ぎるほどのキャリアと実績を持ちながらヘンリク・シュワルツというアーティストは常に何かに挑戦し続けている。そこまで掻き立てるものは一体なんなのか?5年間に渡るオーケストラプロジェクトの集大成とも言える今作のリリースと来日公演(@表参道VENT)を目前にベルリンにて独占インタビューを行った。


Henrik Schwarz & Metropole Orkest – 『You’re A Fireball (Live Ver.)』

― DJ/プロデューサーの活動だけでもかなり忙しいと思いますが、オーケストラのプロジェクトを始めたきっかけはなんだったんでしょうか?

僕は南ドイツの小さな街で生まれたんだ。そこは何もない街で音楽の知識も何も持ってなかった。レコードをテープに録音して聴き出したのをきっかけに、自分の学校のパーティーでその録音したテープを掛けたのが最初のDJ経験だったね。友人が持っていたドラムマシーンに興味を持つようになって自分も音楽を聴くだけでなく作りたいと考えるようになった。そこからパソコンとMIDIキーボードを買って楽曲制作を始めるようになって、そこから徐々にこれが自分の進むべき道だと考えるようになったんだ。DJ/プロデューサーとしてキャリアを積んでいく中でいろんなミュージシャンと出会う機会が出来て、彼らが楽器で奏でる生音に興味を持つようになった。そこから一緒に制作や共演するようになっていくうちにオーケストラとも出会ったんだ。僕は楽器は弾けないけどとても興味があって自分でも学びたいと思ったのがきっかけかな。その時は何の知識もなかったから実は5年前にピアノのレッスンを始めたんだ。初めて聞くことばかりだし、覚えることばかりでとても大変だったけど、その魅力にどんどんのめり込んでいったよ。そこからさらにオーケストラ用の楽譜の書き方を学び出して…と、なんにもないところからスタートして、興味を持ったことをただひたすら学んで突き進んできたらいつの間にかオーケストラまで辿り着いていた。そんな感じかな。

ヘンリク・シュワルツ, Henrik Schwarz, Scripted Orkestra, VENT, Mixmag Japan

― ブッゲ・ヴェッセルトフトをはじめとするジャズやワールドミュージックのミュージシャンとのコラボレーションも多いですよね。オーケストラに関して言えば、2013年に東京の築地本願寺で共演し、後にアルバムをリリースしたTokyo Secret Orchestra(トーキョー・シークレット・オーケストラ)との共演が記憶に新しいですが、今作『Scripted Orkestra』はオランダを代表するMetropol Orkest(メトロポール・オーケストラ)とのコラボレーションになります。リリースに至った経緯を教えて下さい。

Tokyo Secret Orchestraとの共演は最初のリハーサルの時から素晴らしかったし、オーケストラプロジェクトをやる上でとても良い経験になったよ。メトロポール・オーケストラに関しては2015年の夏頃に(指揮者の)ジュールスから「僕たちのために何か曲を作ってくれないか?」というオファーをもらったんだ。正直最初は難しいと思った。なぜならダンスミュージックはグルーヴとタイムが重要だけど、オーケストラはピッチや音程が重要で全く違うものだから、エレクトロニック・ミュージックのアーティストにはクラシックは作れない、そう思った。だから一体どうやって一緒にやるんだ?と疑問を投げかけたら、「僕たちはスペシャルなオーケストラだからグルーヴを演奏出来るし、グルーヴを知っている。だから、心配しないで欲しい。是非とも僕たちにグルーヴを作って、その難しい曲にチャレンジさせて欲しい」と言われて、その熱意に応えることにしたんだ。そこから、自分のスタジオでジュールスと一緒にいろんな音源を参考に聴きながら、これは出来る、これは出来ない、という確認作業を行って共通認識のもと制作に入ったよ。

Henrik Schwarz & Metropole Orkest Boiler Room ADE Live Set

― オーケストラ側からのオファーだったんですね。人数の多いオーケストラとの楽曲制作はとても大変かと思いますが、特に苦労した点はなんですか?

さっきも言ったようにエレクトロニック・ミュージックとオーケストラでは全く違うから制作に取り掛かるまでにものすごく時間が掛かったことかな。ゴムのような伸縮性のある動きをするオーケストラに対して時を刻むようなエレクトロニック・ミュージックでは根本的なところから違う。僕が作ったコードをジュールスが譜面に起こしていくという地道な作業をひたすら繰り返して楽譜を仕上げていったんだ。あとは音楽家が65人いたら65人それぞれの考えがあってみんな同じではない。僕はエレクトロニック・ミュージックのアーティストであってオーケストラの指揮者ではない。だから僕のことを知らないのは当然だし、オーケストラの中の半数ぐらいは保守的な考えを持っているんだよね。だからその中に入っていくのはとても勇気がいったよ。でもそこでプロデューサーだからと強気な態度でガッと入り込んでいくのではなく、音楽家一人一人に常にリスペクトの気持ちを持って接するようにして、一つ一つ時間をかけてゆっくり構築していったんだ。

― 話を聞いているだけでも途方に暮れる作業ですね。

そうだね。本当に時間が掛かったし、大変な作業だったよ。でも、決まったスケジュールの中でミスなく完璧に仕上げないといけないエレクトロニック・ミュージックの制作時と違って、じっくりと時間を掛けて楽譜を追いながら丁寧に仕事が出来たことは良かった点だね。

― ジャンルそのものだけでなく制作方法から全く違うものなんですね。そんな苦労と努力の上に完成した『Scripted Orkestra』ですが、エレクトロニック・ミュージックから引き離した解釈の楽曲がメインとなっていますよね?ジャズやクラシック、時に映画のサウンドトラックにような壮大さなど、いろんな要素が含まれていると思いました。中でも『Gygylili』はフロアー向きでもあると思ったのですが、オーケストラではどのように制作しているのですか?

『Gygylili』はピアノがオープニングになっているけど、MIDIで最初のコードを作ったんだ。コンピューターコードから作成した楽曲のひとつでそれを楽器で演奏するのは容易ではなかったよ。例えばシンセサイザーならひとつのコードからプログラミングして音のアレンジが作れるけど、オーケストラは生楽器だからそうはいかない。ひとつのコードを違う楽器で同じようには弾けないから、コードをハイやローに変えてそれをどの楽器で演奏するか決めて譜面に起こしながら作っていった。僕が作る楽曲はエレクトロニック・ミュージックの制作方法だから一小節の中に突然バイオリンの音が入ってきたり、ヴィオラが入ってきたりととてもユニークなことになったね。そんなクレイジーな楽譜をオーケストラは完璧に演奏してくれたし、『Gygylili』はベストトラックだと思ってるよ。

ヘンリク・シュワルツ, Henrik Schwarz, Scripted Orkestra, VENT, Mixmag Japan

― 『Counter Culture』は唯一のボーカルトラックでありポップでもあり、他の楽曲と全く違う印象を受けたのですがその辺はいかがですか?

まさにその通りだね。様々なテイストを取り入れた楽曲をほぼ作り終えた時に何かサプライズを入れたいと思ったんだ。45分間の演奏だったらその中に全く違うものを入れてオーディエンスを驚かせたいと思った。そこで考えついたのがボーカルトラックだったんだけど、ボーカルはメッセージがとても重要だから歌で何を伝えるべきか?と考えた。今の世の中はいろんな不可解な出来事が起きているけど、それに対してネガティブな発言をしたくなかったんだ。僕は常にポジティブでいたいと考えているからね。だから批判的な歌詞ではなく、ポジティブな歌詞にしようと思った。以前から親交の深いベン・ウェストビーチにその経緯を話して、ポジティブなプロテストソングを作りたいんだと相談したら「ヘンリク、それはカウンターカルチャーだよ!」と言われて、それがそのままタイトルになったんだ(笑)

― それはおもしろいエピソードですね。実際アルバムを聴きながらボーカルトラックが入ってきた時には、おお!っと驚きましたが狙い通りですね(笑)今後の活動についてお聞きしたいんですが、今後もオーケストラにフォーカスしたプロジェクトは続けていく予定ですか?

オーケストラだけにフォーカスするつもりはないし、今までもないけど興味は持ち続けているよ。今も4人のカルテットとの制作を終えたばかりだけど、オーケストラでの経験がかなり活かされている。プロジェクトを始めた当初は苦労の連続で本当に大変だったけど、今はいろんな可能性が見えてどんなことにでも自信を持てるようになった。エレクトロニック・ミュージックとオーケストラとのミックスが今ではとてもアコースティックなものになって、新しいサウンドを生み出すことが出来ている。常に進化していってるんだ。だから今後もオーケストラという形かは分からないけれど突き進んでいくよ。

― また驚きの新展開を期待しています。5月に来日が予定されていますが、アルバムのリリースツアーではなくDJとしてですよね?

そうだね。オーケストラでのツアーはやりたいけど実現するのはとても難しいからね(笑)

― 確かにそうですね(笑)本日はありがとうございました!!

ヘンリク・シュワルツ, Henrik Schwarz, Scripted Orkestra, VENT, Mixmag Japan

ヘンリク・シュワルツの最新アルバム『Scripted Orkest』


Photo & Interpreter : Katsuhiko Sagai
Interview & Text: Kana Miyazawa
Location : Muting The Noise

『Scripted Orkestra』 Henrik Schwarz & Metropol Orkest
1. DO YOU LIKE WHAT YOU SEE?
2. STRATOSPHÄRENSPÄHER
3. COUNTER CULTURE
4. YOU’RE A FIREBALL
5. GYGYLILI
6. ALGORHYTH M
7. ME VIBRATE
8. VALID COMPLAINT
リリース:2018年5月16日
ご予約:
TOWER RECORDS diskUNION.net

<来日公演詳細>
Henrik Schwarz, ヘンリク・シュワルツ, mule musiq, 7K!, Mixmag Japan

 

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