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INTERVIEW:Jeff Mills「本当に未来的なものは、最新テクノロジーではない」

音楽シーンの魔術師がバンドを始めた理由

Mixmag Japan | 14 December 2018

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© Moto Uehara

恐らく、現行音楽シーンにおいてJeff Mills(ジェフ・ミルズ)ほど純粋に「未来」を追求しているアーティストは稀だろう。デトロイト・テクノを世界に広めた立役者のひとりであり、驚異的なテクニックでもって今日までに唯一無二の地位を築き上げてきた。その特異なスタイルは映像作品『Exhibitionist』(2018年12月現在までに2作出ている)で確認できよう。そしてその活動は、DJだけにとどまらない。エレクトロニック・ミュージックとオーケストラを結びつけることに成功し、アルバム『Where Light Ends』ではついに宇宙と繋がった。「明日から来た男」の眼差しは、常に果てしない未来を見つめている。

そして今年、彼はエレクトロニック・ジャズ・カルテット「Spiral Deluxe」を率いて、デビューアルバム『Voodoo Magic』をリリースした。

”The Paris Roulette” by Spiral Deluxe from the album “Voodoo Magic”

メンバーは、Buffalo Daughterの大野由美子、日野“JINO”賢二、Underground Resistanceのジェラルド・ミッチェル、そしてジェフ・ミルズ。控えめに言って、凄まじい布陣である。スケジュールを合わせるのすら困難であるこの4人が、11月6日(火)にスペシャル・ショウケースを六本木のSuperDeluxeで開催した。インプロヴィゼーション主体の圧倒的なグルーヴ。今までのジェフ・ミルズのプロジェクトのいずれとも異なるライブ感。なぜ、彼は今バンドを結成したのか?

© Ryu Kasai

Mixmag Japanでは、ショーケースがあった後日、ジェフ・ミルズ本人にインタビューを実施。やはりと言うべきか、「バンド」という極めてプリミティブな形態を採用した理由も非常に明確であった。今回明らかになったのは、“未来”の居場所。


― まずはSpiral Deluxeが結成された経緯についてお伺いできればと思います。

ジェフ・ミルズ(以下、J):わりとシンプルなプロセスでした。とにかく腕の良いアーティストを探していてたんです。私のほうでどういうミュージシャンを探しているのかをはっきりさせてからは、すぐに人選は決まりましたね。とりわけソロで演奏が出来る人が欲しかったんです。

― 『Voodoo Magic』を聴いてもその狙いは明らかだったように思います。それぞれのパートにしっかりと役割があったというか。

J:ミックスの段階でも各セクションの音が際立つように意識しました。曲の構成だとか、ひとつひとつのサウンドがクリアに聴こえるような工夫もしましたね。

― 音源からして相当インプロヴィゼーションっぽい印象を受けたのですが、そういうコンセプトも制作前から構想されていたのでしょうか?

J:即興でやることによって、その都度新しいものを発見するということは目的のひとつでした。やはり曲を完成させてしまって同じものを毎回演奏しているのでは発展性がない。バンドとしてはそちらのほうが精度が上がって、成功する確率が高くなるかもしれませんが、それよりも今回はあえて新しいものを模索するほうを選んだんです。

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SuperDeluxeでのライブの様子。 © Moto Uehara

― やはりこれだけのアーティストが集まると練習にあてる時間も相当少ないと思います。練習のためのスケジュールはどう組んでらっしゃるんですか?

J:前日に1時間リハーサルするだけですね。

― それだけですか!?

J:さっきの話と関連するんですが、あんまり練習しすぎるとつまらなくなってしまうんです。インプロの部分が減ってしまう可能性がありますし。大体の流れを把握して、あとは即興で音を作り上げてゆきます。メンバーにもメインのリフやリズムを掴んでもらって、“あとは自由にその場の空気で”というイメージですね。

― 練習に限らず、全員が集まれるスケジュールを確保するのも難しい顔ぶれですよね。それでも、個人的にはこの先もこのバンドが見られる機会があることを願うばかりです。

J:確かにこのメンバー全員が一堂に会する機会を作るのは難しいです。難しいというよりも、時間がかかる。4人のスケジュールを合わせて、どこに集まるのかを調整するのには時間が必要なんです。けれども、僕としては続けていくつもりです。一時的な成功を求めるのではなく、活動を継続させるのが理想なので。今はメンバーがそれぞれ別の場所に住んでますが、将来的にはどこか同じところに住む可能性だってあるかもしれません。

© Moto Uehara

― では、またこのバンドの演奏を見られる可能性は大いにあるということですね。

J:僕は忍耐強い性格なんです。Spiral Deluxeのライブの前にMUTEK.JPでやった「X-102」というプロジェクトは、始まったのが1992年で。ちゃんと作品を発表するまでにずいぶん長い時間がかかりました。『Voodoo Magic』に関しても、レコーディングは2日間で終わったんですが、ミックスダウンには1年近くかかってます。そうやってじっくり時間をかけて、バンドの活動も続けてゆくつもりです。

― あなたは今までにDJ、Live Set、オーケストラ、というように様々な形態で音楽を作っています。その度にご自身の役割は変わっているのでしょうか? たとえばオーケストラでは、バンドマスターのような立ち位置であったように思います。それがSpiral Deluxeでは、バンドマスターでありながら指揮者の役割も兼ねている。

J:いくら即興とはいえ、ある程度導く存在は必要で、このバンドでは僕がその役割を担っています。オーディエンスが聴きやすい状況を作るというか。誰かがソロをやるときは、他のメンバーは一歩下がらなければいけないし、確かにそういうコントロールは僕がやってます。バランスがすごく大事。

― 新しいプロジェクトが始まるたびに、難易度が上がってる気がします…。

J:いや、そんなこともないですね。もちろんSpiral Deluxeも簡単ではないですが、他のプロジェクトではもっと綿密に工程を組んで、色々なことをオーガナイズしなければならないこともありました。4人の個性をどうすれば最大限引き出せるか、あるいは共通点は何かを見つけ出せれば、そのあとはスムーズに進行できます。

― Liveという表現方法についてお聞かせください。あなたが「Exhibitionist 2」を発表したのが2015年でした。当時のインタビューでは、あなたは「DJの技術の均質化」という言葉を使っています。そしてちょうどその頃から、クラブシーンでは“Live Set”を積極的に打ち出すアーティストが増えた印象があります。この一連の流れを、あなたはどう見てらっしゃいますか?

J:DJからLiveへというムーブメントは確かにあると思います。ただ、Liveに移行したところで、それぞれの方法論に差異が生まれているかは疑問です。2018年の現在において、これだけテクノロジーが発展しているのに、みんな似たり寄ったりの表現になってしまっている。テーブルに機材を並べて、ボタンを押して、ノブを回して…。過去を振り返っても、ハワード・ジョーンズがキーボードをたくさん置いてプレイしていましたし、反対にKraftwerkはステージにあまり物を置かずに最小限のマシーンだけをディスプレイしていました。様々なタイプのパフォーマンスがあったにも関わらず、現在ではそういう多様性があまり無くなってしまっていますよね。自分の個性というものを表現しきれていないと思います。そういう意味では、まだまだやらなければいけないことは多くあるでしょうし、発見されていないアイデアや領域もたくさんあるのではないでしょうか。

Howard Jones – What Is Love? – Humans Lib / Dream Into Action Concert Live at The indigO2 London

― 今、あなたが「バンド」というプリミティブな形態にたどり着いた理由も、そういうところにあるのでしょうか? 画一化されたシーンに対してオルタナティブかつフレッシュでいるという。

J:新しいものを突き詰めていった先には、意外と原始的な答えにたどり着くことが多いんです。たとえば映画の「2001年宇宙の旅」で最後に映るのは、子宮から地球を眺める胎児の姿ですよね。だから本当に未来的なものは最新技術ではなくて、ナチュラルでオーガニックな何かだと思います。“空間”や“時間”や“未来”といった言葉を想像したときに、それらは完璧で機械的なイメージではなくて、どこか有機的で不確かなものとして考えれらます。それで言うと、いま“最も新しい音楽は何か?”という問いがあったときに、「単純に机を叩いてる音」が答えになる可能性だってあるわけです。歴史に名を残すような傑作を思い浮かべると、それらは必ずしもグレートパフォーマンスではなくて、“無から何かを作り上げたもの”であることが多いのではないでしょうか。そういう意味では、今はクリエイションの大切さを改めて感じているところです。

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ライブは大団円に終わる。 © Moto Uehara

― “ノスタルジー”ではなく、“革新”のために原始へ立ち返るということですね。

J:将来というと、まるで何も見えない真っ黒なものだと思いがちですが、実はとてもカラフルなものなんです。それはつまり、過去にあった色々なものをミックスしてゆくから。バンドのインプロビゼーションも、様々な音色をミックスしてゆくので時に鮮やかに感じることがありますよね。それこそ、今の僕が考える未来なんです。


Text_Yuki Kawasaki

■ Spiral Deluxe 『Voodoo Magic』
ジェフ・ミルズ(Drum machine, Dr, Percussions)、
大野由美子(Buffalo Daughter/Moog Sync)、
日野“JINO”賢二(B)、
ジェラルド・ミッチェル(Key)

 

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