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JAXX DA FISHWORKS 【インタビュー】 「お前は誰なんだ?お前は何がしたいんだ?」

Tchamiのレーベル〈Confession〉からリリースされたシングルに寄せて。

Mixmag Japan | 28 November 2020

JAXX DA FISHWORKS, JAXX DA FISHWORKS Confession, mixmag

DJ / プロデューサーだけでなく、オーガナイザーとしても活躍を続けるJAXX DA FISHWORKS。海外のキープレイヤーとも深い繋がりのある彼は、これまでに〈Ministry of Sound〉や〈Night Bass〉など、一線級のレーベルから音源をリリースしてきた。ダンスミュージックの国際的なイベント「ADE」にも参加し、国内と海外を繋ぐリンクマンとしても重要な存在である。

そんな彼が、本日11月13日にTchamiのレーベル〈Confession〉からニューシングル「Paranoia」をリリースした。本稿では、彼がいかにして海外のコミュニティに参画していったのかを辿りつつ、今作の制作背景に迫る。また、彼が執拗なまでに“海外”にこだわる理由も明らかになった。


― JAXXさんは以前から国内のプロデューサーやDJが海外へ進出することの重要性についてお話されてますが、パンデミック以降もそれは変わりないですか?

JAXX DA FISHWORKS(以下、J): 変わらないですね。むしろさらに海外のレーベルやアーティストと連携してゆくことが大事だと感じています。なぜなら日本の音楽マーケットにおけるダンスミュージックのパイが海外と比べて少なすぎるから。ずっと前から言われ続けてることですけど、僕は個人的に国内のダンスミュージックが海外マーケット並みに成長することはないんじゃないかって思ってます。しかも、年々その気持ちは強くなってて。これは日本の音楽家がダメなのでもなければ、クラブ業界が悪いのでもない。そもそもの持ってる武器が違う。ダンスミュージックのほとんどな英語リリックですよね?日本人は英語が話せない。聞けない。理解できない。だったら歌詞にこもった気持ちや作詞家の思いは加点されない。その時点で日本でその楽曲が売れる可能性は激減する。そういう事実の話です。歌詞に込めた情景や感情を推測もできなければ、理解なんて到底できないから。だから海外、特に英語と親しみのある国々以外でダンスミュージックが大きく社会に根付くのは難しいと思っています。ブラジルとかは“踊る”という行為が文化に大きく影響してるんでしょうね。ポルトガル語もラテン起源の言語ですし。

僕は日本で活動する前にオーストラリアからキャリアをスタートさせたんですが、そのギャップを今も埋められていないんです。日本にも才能あるDJやプロデューサーはたくさんいるんですけど、そういう人たちがなかなかフォーカスされないのに驚きます。日本にはアーティスト=芸能人というモノサシがあるのか分からないですけど、シンプルに実力で測られるわけではないのだと至る所で感じます。人気のある、言い換えると売れ切ったアーティストを使う。もちろんそれは良いんですけどね、ビジネスだし。でも、「コイツすごいからなんとかして売ってやる!」って意気込みを感じることが全体的に少ない。僕はその芸能人という言葉が好きじゃない。だからクリエイターでいたいし、嫌なことはしたくない。別に人気のためにしてるわけじゃないので。…まぁ人気も欲しいですけど、やっぱり(笑)。そう考える若い子は多いと思いますよ。TREKKIE TRAXの連中も尖ったことをやってる。人気しか考えないなら、ああはならない。そして、そういう無邪気な音楽バカが20代だけじゃなく、40代でも、もっと上でも多くいるのが僕が頻繁に行くアメリカやイギリス、そして大好きなオーストラリアですね。

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― オーストラリアには何年いらっしゃったんですか?

J: 4年弱。シドニーにあるMinistry of Sound Australiaで色々と始まったって感じです。本家はもちろんロンドン(UK)ですけど、創設者の親友がオーストラリア人なんです。暖簾分けしたとかで、僕がいた頃は全盛期のMinistry of Soundでした。まさにコンピレーションCDをジャケ買いするタイミングでしたね。Misnitry of SoundではDJ用のブートやマッシュアップを作りながら楽曲制作の技術を教わりました。まぁ、言ってしまえば雑用から始まり、1本80ドルぐらいで同じ日に2本のイベントに出演したり…。でもアジア人で変な髪型して、生意気でっていうことで色々な現場にも呼んでもらえるようになりましたね。当時はRoger Sanchezがツアーしたり、ハウス、エレクトロハウス、ブレイクス黄金時代で木曜日から月曜日までノンストップで仕事…っていうか、パーティでしたね(笑)

― それが全部4年の間に…。活動範囲が日本だけだとMinistryに辿り着くのだけでも相当時間がかかりそうですね。

J: 「誰でもすぐ近くにいる」って状況を作ることがすごく大事なんです。そして、ひとつ関係を築ければ、あとは連鎖的に繋がってゆく。もちろん自分の技術を証明することは必要です。最低限。でも、自分にビジョンと熱量があればどうにでもなるし、誰とでも物事は起こせると思ってます。TchamiやChris Lake、レーベルで言えばConfessionも自分が蚊帳の外にいるから遠いだけで、自分からその蚊帳の中に入ればいい。日本人はお行儀がいいので、その蚊帳に飛び込むことをしないんじゃないかって思います。そうこうしてるうちに音楽家生命は終わると僕は考えているので、何も気にならない。大切なのは自分で飛び込むか、飛び込まないか。できるできないじゃなく、やるかやらないか。それだけです。さっきのTchamiの件ですが、普通に始まって、普通にリリースになりました。初めてメール送って2日くらいだったと思いますよ。もちろん、却下された曲や、一つ一つ事細かに修正点を列挙してくれたりもした。そういう姿勢ってすごくかっこいいし、憧れる。だからあそこまで登りつめるんだなって思いました。

― Confessionのリリースはどういう経緯で実現したのでしょう?

J: 共通の友人がいたっていうのが始まりですね。狭いコミュニティーがどんどんLAで広がって、ここ数年は音楽業界にいるヤツらは誰でも知り合いみたいに感じてます。その友人は以前、Zeds Deadと仕事をしていて、今はTchamiの担当。その友人が今月末にNIGHT BASSから出る僕の曲を気に入って、Tchamiに送ったのがきっかけでした。その曲はTchamiの好みではなかったんでしょうけど、今回の「Paranoia」をすごく気に入ってくれたようで、本人からすぐに連絡が来ました。実はConfessionではまだ他にもあるんです。来年ですけど。その曲の制作には手こずって、時間かかってやっと決まりました。でも、そういう曲の方が愛着があるというか。僕の場合は手こずり始めたら無限ループに入っちゃうことがあるのんですけど、そうなれば1週間は放っておいて全く曲を聴かない時間を作ります。プロジェクトファイルを開くことすらしない。1週間後に聴いて、単純に好きか嫌いかで続けるかゴミ箱行きか決まります(笑)。次のリリースはギリギリゴミ箱行きを逃れて、契約まで行った思い入れのある曲です。「Paranoia」ももちろん思い入れありますけど、今回のインタビューを実現させたのもあの曲ありきなので。

― その友人とはそもそもどこで知り合ったんですか?

J: LAですね。さっき言ったように、LAの音楽コミュニティーは大きいようで狭い。…というか、人が集中している気がします。マネージメント、エージェンシー、プロダクション会社、イベント制作会社含め、みんなそれなりに知り合いで。日本でもシーンの大体の人が繋がってるのと同じだと思います。良い曲を作るスキルはもちろん大切。それから、そういうコミュニティに入ってゆくことも大事。自分には居心地が悪いかもしれない。いつもと違うから。でも、居心地いいところになんて何も発見はないし、刺激もない。だから僕はそんな場が好きですね。だって、その50人の中にレーベルのドンがいる場合だってあるんですよ。実際、彼とも今一曲話をしています。何万通のメールの中から彼の目に止まるよりも、直接会って話して曲を聴いてもらったほうがリリースの確率は上がる。知ってるヤツだから向こうも気兼ねなくコメントできるし、自分の時間を割いてあげようって気になってくれるのかもしれない。正直僕が英語を話せてなかったら、こんなに作品を発表できてないと思います。逆を言えば、コミュニティに入っていくことさえできれば、リリースの可能性があるプロデューサーは国内にもたくさんいるってことで。たとえばMasayoshi IimoriやFellsiusなんかは、僕よりも楽曲制作能力は全然上ですから。彼らがもしLAをベースに活動しているコレクティブだったら、もしくはそこに目を向けていれば、確実にもっと売れてるんじゃないかと思います。それはつまり彼らが間違っているわけではなく、日本のマーケットにフィットしていないだけってことで。もちろんこれからもっと売れるだろうけど、彼らが日本で受け入れられるよりも海外でパイを広げるほうが話は早いと思います。まぁ、結局本人次第ですけどね、何をしたいかは。それに彼らには、僕がやってきたことをやってるSeimeiがついてるから心配はしてないです。ただ、アイツに会ったら毎回「なんでMasayoshi Iimoriを海外に出さないんだ」って喧嘩になるんですけどね(笑)。でもこうやって日本では起きなさそうな話を彼とできてること自体幸せかもしれないですね。僕は彼が好きですね、とっても。

― 日本でも頑張ってほしいですけどねぇ…。昨年のフジロックには行かれました? 個人的に、2日目深夜のレッドマーキーが今でも強く印象に残ってるんです。Bart B MoreとAnna Lunoeが出てたんですけど、二人とも結構ベースハウス中心のセットを組んでて。それこそConfessionやNight Bassから出てる曲もかかりまくってたんですが、豪雨の中でもオーディエンスがかなり残ってたんですよ。その時は「日本もまだまだ行けるぞ!」と思ったものですが…

J: 多分フジロックだからそれぐらいの数のオーディエンスが残ってたんだと思います。恐らくその数が、日本国内におけるキャパシティのMAX。日本国内の選りすぐりの音楽狂たちが集まってできたのが深夜のレッドマーキーだと思うんで、渋谷のド真ん中で同じラインナップを組んだとしても同じ程度は入らないはずです。だから、あのステージは始まりでなくほぼゴール。日本のダンスミュージックの最高峰なんじゃないですかね。

― そこから先に行こうとすると、海外になると…。JAXXさんが仰る“海外”というのが、往々にしてアメリカであることも気になります。block FMのインタビュー記事でもアメリカについて言及されてましたよね。

J: 元々はアンチアメリカだったんですけどね。というか、今でもそれを払拭できているかは分からない。国としての歴史が浅いのに、なんであいつらはあんなに偉そうなんだ?とすら思ってました(笑)。その意識が変化したのは、SindenやAC Slater、Chris Lakeと出会ってからですね。大統領選を見ても分かりますけど、アメリカ人たちの熱狂には良くも悪くも見習うべきところがある気がするんですよ。ひとつの関心事にみんなが連帯して考えるって、本当に必要なことだと思うんです。あまり考えていないように見えても評価軸がはっきりしてて、悪いものには“NO”を突きつける。反対に良いものであれば、その人の立場がどうであれピックアップしてくれると感じています。それは音楽業界にも言えて、一度良いものを作って信用を勝ち得れば、あとは勝手にネットワークはできていく。良い方面にシンプルなんですよね。いい作品を作って、意識の高い友人たちと共有し、みんなでサポートし合っていくっていう作業が普通に行われてるLAと、僕が見ている日本には大きな差がありますね。

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― “発表の場”というか、“何かを持っている人”にとってはアメリカは非常に優秀ということですね。

J: そう思います。だから楽曲を作り続けるべきなんです。何かを持っている人の“何か”って、僕らの場合は楽曲以外にないですから。実際に海外のアーティストに会った時に、取っ掛かりとして一番盛り上がるのはやはり楽曲制作の話なんですよ。名刺持たずに営業いく馬鹿はいないでしょ?そういうことです。お前は誰なのか?ってことを表現するのは僕らにとって楽曲です。マネージャーにとっての何かはマネージング力であり、コネクションであり、、、対等に話すために対等なところまで登るしかないわけですよね。単純な話。ダンスミュージック知らない人がmixmagに入社できないでしょ?そういうことですよ。

― 最後に、差支えの無い範囲で今後の展望を教えてください。

J: 色々やり過ぎない。やっぱり色々なものに目移りしちゃんですよ。なんだかんだ日本でも売れたいし(笑)。ただ、僕はあれもこれもしちゃうタイプなんで、逆にしないように意識しています。特にそれをコロナ禍で学びました。パンデミックが発生して外に出なくなった時に、「あっ、別にこれでもいいかも」って思ったんです。苦しまれた人たちを傷付ける意味では全くなく、10個あったものが3つになった時に「これがしたいんだ。あれはしなくてもいいんだ」って思えたというか。そしてこれからも「お前は誰なんだ?お前は何がしたいんだ?」という問いは持ち続けたい。自分が自分である理由を作り出すこと、それが今の時代何よりも大事。僕は心底そう思います。だからこそ、今は海外からリリースすることのみに注力して日々過ごしています。ポジティブに取捨選択をしていきたい。日本国内に対しては、偉そうに聞こえるでしょうけど“聴く人だけ聴いてくれればいい”ってスタンスで良いと思ってます。まぁ海外でもそうですが。売れてもいないのにこういうこと考えてる奴もいるんだとここで証拠を残しておけば、万が一売れた時に「急に偉そうになった。」って言われないから良い(笑)。最後に、NIGHT BASSの新曲も日本時間の昨日にリリースされたので、気になった人はぜひ聴いて下さい。2019年に作って少し埃かぶり始めてたけど、AC Slaterが命を吹き込んでくれました。


Interview_Yuki Kawasaki

■ JAXX DA FISHWORKS 「Limbo」
Out Now!
<リリース URL>
https://nightbass.ffm.to/tinb11.thu
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■ EDGE HOUSE -BASS-
2020.12.04 (Fri.)
@ SOUND MUSEUM VISION
<イベント詳細>
https://vision-tokyo.com/event/edge-house-15?lang=
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