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FEATURES

INTERVIEW:Jeff Mills『SIGHT SOUND AND SPACE』-「新しく考えていることは、常にある」

ジェフ・ミルズの長年の軌跡。『SIGHT SOUND AND SPACE』をリリース。

Mimxag Japan | 20 October 2019


長い音楽キャリアを誇るDJ/サウンドプロデューサーのジェフ・ミルズが、これまでにリリースしてきた作品を再編集してアナログレコードでリリースしていくプロジェクト「ディレクターズ・カット・シリーズ」。そのCD版が、『SIGHT SOUND AND SPACE』と題して、先日リリースされた。 Sight(視覚)、Sound(聴覚)、 Space(空間)をテーマにしたこの新感覚のコンピレーションは、日々、進化し続ける音楽とリスナーへ向け発信。50ページにも及ぶブックレットには、各々の楽曲の背後にあるストーリーが記載され、ジェフ・ミルズの楽曲制作に対する造詣の深さと、エレクトロニック・ミュージックに対する愛情を感じることができる。

今年3月には、Mixmag UK版の表紙にも登場。ストーリー性を持ち合わせたフォトシューティングに沿ったカバーミックスも制作した。そこで、11月には待望の来日も控えている、ジェフ・ミルズに今作について話を聞いてみた。


INTERVIEW:Jeff Mills

—『SIGHT SOUND AND SPACE』ですが、どのような作品になるか、教えていただけますでしょうか。ジェフ・ミルズの1990年代から、現在までの集大成的な作品でもあるとともに、1900年代以降のモダンアートに対するオマージュであると感じております。

Jeff Mills まるで、鏡を覗き込むような気持ちだったよ。そこに映った姿を見て、細かいことに気づくというか……自分の音楽キャリアの状態、形、規模感と、そして最も大事なテクスチャーがどんなものなのかを再度確認をした感じかな。どんな音楽家にとっても、何かを創り上げること、重要と思われることをひとつ挙げるとしたら、テクスチャーを大事にすると思う。私は、エレクトロニック・ミュージックが一般的にどのように社会に貢献しているのか、誤解されているのではないかと感じてはじめているんだ。分析されることがほぼないことから、アーティスト本人に関してや、そのアイディアや意図など、ジャンルを構成する要素の一つ一つが理解されていないように思うんだ。音楽がどのように認識されることを目標としているか、またそのアーティストにとっての成功とは何か? 私の場合は、いまだに「無」から何かを作り出すことを重要視している。そして、リスナーの皆さんと僕の両方がこの世に存在している短い時間の間に、なるべくたくさんの作品を手がけたいと思っているんだ。音楽的な会話の中身やその深さは、私たちが一緒に決めることだと感じているのでね。

—Sight、Sound、Spaceと、3つの感覚を元に楽曲を制作されました。人間のフィジカルな感覚を音にしてみようと思ったきっかけは何だったのでしょうか? 

Jeff Mills 過去作品を振り返って、どうして作られたのか、主な理由を3つ考えてみた。主題は主に「Sight(視覚)」で、それはつまりリスナーの方々に想像して欲しいと思っている。「Sound(音)」は、音のアレンジメントや周波数を感じることから得られるもので、「Space(空間・宇宙)」は、私たちが存在する土台の、この宇宙であり、太陽系を示しているんだ。

—各々のカテゴゴリーの楽曲は、どのような行程を経てサウンドメイキングをされていったのですか?

Jeff Mills レコーディング・スタジオのセットアップは時間をかけて変わっていったけれど、過去のアイディアや、これまでにやったことを忘れることが重要だと思っているんだ。その目的で、記録に使えるようなコンピューターやマルチトラック・レコーダーのように、過去作を振り返るための機材がない。デジタルのサンプラーや、ループの機材も排除してきたし、MIDIやCVトリガー関係の機材も使用回数を減らして、今ではキーボードなどの楽器を手動で操作する方が好みなんだ。最近になって、アコースティックな打楽器を追加してみたりもしている。音やリズムを生み出すために、自分の手を動かさなければならない楽器ということなんだけれどね。それと、特定のマインドセットになることを促すための本や画像、その他のアイテムを置いている。例えば、最近は単色の「赤」に強いつながりを感じるようになっているんだけど、これがどのように音楽に影響を与えるかは未知。今はこれをどのように音楽として書き起こすかを試行錯誤しているところだよ。

—今作品にはブックレットが付き、またすべての楽曲に関して解説がつくそうですが、デザインを含め、どのような内容になっていますでしょうか?

Jeff Mills リリースのデザインはよく練られていて、1年くらい前から着手していたんだ。写真に関しては、一度作業を始めたけど完成しなかったコンセプトの際に用意したものを使った。発想の核にあったのは、未来を見るだけでなく、感じて、匂いを嗅いで、触ること。そこで手始めに、この体験の中心人物となる「未来からやってきた人物」の写真を制作したんだ。そして、SFの物語/体験として、短いシナリオも書いた。その物語が姿形を変えて、『Sight, Sound And Space』になったんだよ。

見えるもの、聴こえるものの背景にはストーリーがある。ジャケットカバーの女性は、人類がいずれ進化した際の姿を表しているんだけど、声を発してコミュニケーションをとることはなく、手話を使うようになっているんだ。人生がどんどん単純化されて、複雑で詳細なコミュニケーションが不要になってしまい、人生はすっかりサービス志向になってしまった。崇拝する神もいなければ、予定を立てることもなく、議論することもなく、大切にするものもない。そのため優先順位も変わってしまった。人類の驚くような変化もあるけれど、多くは微妙で気づきにくい。カバーに関しては、そんなニュアンスを持つんだよ。明確に聴こえ、見えることとは? それは視覚の話だけでなく、魂の話でもあるということ。これまで宇宙は疑問の宝庫だったけど、これからは答えが山のように出てくるはずだよ。3枚のディスクは、おそらく人類がもともといた場所……オリオン座のを象徴していて、各ディスクの色とデザインは、生命力を表現しているんだ。タイトルの単語はすべて並列に効率的に配置されている。未来の世界では、無駄が排除されているからね。

—トラックの多くが、映像、本などから影響を受けておられますが、それらをセレクトするときの基準はなんでしょうか。

Jeff Mills 大事な話が語られていると思ったときに、基本的に興味を持つんだ。またそれらの物語の中には、たいてい自分でも想像できるような部分がある。「この場合、自分だったらどうするかな?」など、一人一人が自分で説明することしかできない、脚注的な視点。良い物語は、説得力のある形で読者にその視点を持たせると思うからね。また、少しだけ実話が混じっている物語は、魅力的でインパクトがあると思う。

—Mixmag用に制作された「Where The Shadows Have Motives」について、どのようなアイデアを元に制作されたのか教えていただけますでしょうか。

Jeff Mills あの物語の主人公は、あまりにも用心深いため自分の影すら信用できなくなってしまった。そのうち自分から離れて歩き出すのでないかと勘ぐって、監視するに至ってしまったんだ。もちろん、被害妄想なんだけどね。自由を奪われ、抑圧されていると感じるときには、このような恐怖を感じることもあると思うんだけど、そういうことを思いながらミックスを制作したよ。

—2019年3月号のMixmag UKの表紙とカバーストーリーの内容は最高でした。あのときに掲載された写真ですが、今回のアルバムにも通じるものがあるなと思いました。撮影のアイデアは誰が考えたのですか? 

Jeff Mills Mixmagに話を持ちかけられた際、当時考えていたSFのストーリーをDJセットとサウンドトラックにするアイディアを提案したんだ。写真撮影は事前に入念な計画が必要で、思い出深いものになった。Mixmagのチームも強い思い入れを持ってくれたようで、マイアミでの撮影も一緒に行ったんだ。マイアミはトロピカルで、とても写真映りの良い場所だよね。建物も綺麗なものが多いし、白か、パステル調の色彩が多くて、ディズニーランドの郊外、というイメージだったよ。物語の題材からして、夜に撮影するのが対比として面白いと思った。写真に登場する物語の主人公は、”ここ”にいてはいけない人々を排除するための、雇われのヒットマンなんだけど、自分で演じてみたんだ。地球が個人経営の企業に売られてしまうので、取引を完了させるために、立ち退いてもらう必要がある、という物語なんだ。だから、役として秘密の任務を負ったエージェント的なビジュアルにする必要があった。創っていて本当に楽しかったし、アイディアを実現するために協力してくれた、Mixmagに感謝しているよ。

—エレクトロニック・ミュージックを通じて、宇宙をテーマにさまざまな展開をされてきていると思います。エレクトロニック・ミュージックと宇宙の関係をどのように捉えていますか? 

Jeff Mills 新しく考えていることは、常にある。まだ公開できないものもあるけど、今、特に興味を持っているのは、映画や動画なんだ。個人的に、僕たち=エレクトロニック・ミュージック界に属する人々は、ストーリーを生み出すことが足りてないように感じているんだ。この分野は、まだまだできることがたくさんある気がするし、テクノの物語はどんなものになっていくのか、これもまた時空を超える一つの形だと思っている。宇宙で漂流して、全身で浴びたテクノの音や周波数を特殊な力として招きよせるか。先日、NASAによるニール・アームストロングとバズ・オルドリンの月面着陸を記念して月に関するアルバム『Moon – The Area Of Influence』をリリースしたんだけど、このようなテーマの作品はさまざまなリリースがある。1992年にURのマイク・バンクスと始めた土星の輪に関するリリースに始まり、太陽系の9つの惑星についてのクラシック音楽のアルバムもあるし、ケンタウルス座アルファ星、火星、渦巻銀河、オリオン座……と、過去作品で触れてきた。パラレル・ワールドやタイム・トラベルに関しても、僕はかなり長いこと取り組んできたと思う。

—『SIGHT SOUND AND SPACE』を、どのような感覚で人々に聴いてもらいたいと思いますか? 楽しみ方がありましたら教えて頂けますでしょうか。 

Jeff Mills 「前後」のつながりを考えて創っているので、3枚のCDを通して聴いて欲しいです。全曲ヘッドフォンではなくて、3ウェイのスピーカー・システムでモニタリングしながらリマスターしたんだ。ほとんどの曲は夜(0時以降)に作ったんだけど、1人きりのときに視聴すると、また特別な感覚が沸き起こるかもしれない。部屋を暗くして、寝っ転がって聴くことができたら最高なことは間違いない。

—ところで、ここ最近観たお気に入りのSF映画がありましたら教えて頂けますでしょうか。

Jeff Mills ブラッド・ピットの『アド・アストラ』を観た。綺麗なシーンが複数登場する、良い話だったよ。キューブリック調の、ミニマルなセリフもいい感じだったし、ニコラス・ブラザーズの映像が登場したのは、良い演出だったと思う。ドナルド・サザーランドの登場時間がもうちょっと欲しかったけどね(笑)。サントラにアナログ・シンセのサウンドと存在感があればもっと刺激的だったのではと思うけれど。技術的な面に関しては、クラシックのストリングス・アレンジメントが少し物足りなかったかな。

—最後に、日本のファンへメッセージを頂けますでしょうか。

Jeff Mills 寿と繁栄を。

Text:Kana Yoshioka
Translation:DJ MiCL
Photo:Jacob Khrist


 

リリース情報

Jeff Mills『SIGHT SOUND AND SPACE』
NOW ON SALE!

仕様:CD3枚組、解説ブックレット(和訳入り)+ハードカバーブックケース
定価:¥4,300+税
発売元:U/M/A/A Inc.

[CD 1] Sight
1.Perfecture – taken from “Metropolis” CD
2.Deckard – taken from “Blade Runner” EP
3.Le Mer Et C’est Un Caractere – taken from “Sequence” CD
4.Homing Device – taken from “2087” CD album
5.The Never Ending Study – taken from “Etudes Sur Paris” album
6.The Drive Home – taken from “Woman In The Moon”
7.Parallelism In Fate – taken from “And Then There Was Light” film soundtrack
8.Devices taken from “At First Sight “ CD
9.Transformation B (Rotwang’s Revenge) – taken from “Metropolis” CD album
10.Sleepy Time – taken from “Trip To The Moon” CD album
11.Multi-Dimensional – taken from “Man From Tomorrow” film soundtrack
12.Descending Eiffel Stairs – taken from “The Crazy Ray” film soundtrack

[CD 2] Sound
1.The Hunter – taken from “Free Fall Galaxy” Album.
2.The Bells
3.4Art
4.The 25th Hour – unreleased
5.Growth
6.Spiral Galaxy
7.Microbe – taken from “The Power” CD
8.Jade – taken from “Every Dog Has Its Day Vol. 2”
9.Where The Shadows Have Motives – taken from the Rembrandt Experience soundtrack.
10.Flying Machines – taken from “Sequence” CD compilation
11.Compression-Release – taken from “Emerging Crystal Universe”
12.Into The Body – taken from “Fantastic Voyage” Soundtrack
13.The Resolution – taken from “Actual” 12” EP (2)
14.Spiral Therapy – taken from “The Power” CD

[Booket] And
ジェフ・ミルズ本人による書き下ろし各曲解説。CD収録曲にまつわる解説やストーリーを収録。

[CD 3] Space
1.Introduction – Phase 1-3 taken from “Fantastic Voyage” soundtrack
2.Mercury (Residue Mix) – Unreleased – taken from “Planets” CD
3.Unreleased002
4.The Believers
5.The Industry Of Dreams – taken from “The Messenger” CD
6.Stabilizing The Spin – taken from “Moon: The Area Of Influence” CD
7.G-Star
8.Planet X – taken from “Lost In Space” 12” EP
9.The Worker’s Party – taken from Gamma Player Compilation “Niteroi’ collaboration project
10.Daphnis (Keeler’s Gap) – taken from “X-102 Re-discovers The Rings Of Saturn”
11.Outer Space – Unreleased
12.Unreleased005
13.Self-Portrait taken from “One Man Spaceship” CD
14.Aitken Basin – taken from “The Messenger” CD
15.Deadly Rays (Of A Hot White Sun) – taken from “Where Light Ends” CD
16.Medians – taken from “Free Fall Galaxy” album

▷『SIGHT SOUND AND SPACE』の特設サイトを公開中→http://artfulhearing.com

*商品のブックレットに書かれているパスワードを入れるとジェフ・ミルズのオリジナル音源をミックス出来たり、特別インタビューを掲載するなど、オリジナルコンテンツをお楽しみいただけます。

<詳細はこちら>
http://www.umaa.net/what/sight_sound_and_space.html

 

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