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FEATURES

【インタビュー】KEN ISHII、13年ぶりの新作アルバム『Möbius Strip』をリリース

「まずはアルバムの曲をライヴで披露したいと思ってる。それはちょっとクラブライクになるかもしれないね」

Mixmag Japan | 3 December 2019

1993年にベルギー発のテクノ・レコードレーベル〈R&S RECORDS〉よりデビューを果たし、以来、”東洋のテクノ・ゴッド”と言われ続けてきたテクノDJ/サウンドプロデューサーのKEN ISHII。勢い止まることなくワールドワイドに活躍してきた彼が、前作『SUNRISER』から13年の月日を経て、待望の新作『Möbius Strip(メビウス・ストリップ)』をリリースした。オリジナルに加え、Jeff Mills、Dosem、Go HIyamaといったDJ/アーティストたちが参加したトラックも収録。濃密な仕上がりの本作について、KEN ISHIIにインタビューを行った。


INTERVIEW:KEN ISHII

――KEN ISHII名義のアルバムとしては実に13年振りとなるわけですが……。

KEN ISHII 決して曲を作っていなかったわけじゃないんだけどね。EPや(別名義の)Flareではリリースしていたし。ただ、なんとなく自分を含め、テクノシーン全体がアルバムを出すムードがなかった気がしていて。

――テクノに限らず、音楽業界全体がそんな感じですよね。

KEN ISHII 喜ばしい話ではないけどね。特にダンスミュージックは、アーティスト性やクリエイティビティをアルバム単位でリリースするスタイルが壊れてきてしまった気がする。僕自身、アルバムというものにどんな意味があるのか懐疑的になったこともあった。でも、やっぱりこれがKEN ISHIIだっていう作品を出したいと思ってさ。特にアルバムにすることを考えず、作りたいものを作っていたんだけど、あるときそんな自分の思いを理解し、アルバムをリリースしたいと手を挙げてくれたレーベルがあって。そこですべてがマッチしてようやく完成したって感じだね。

「僕は本来プロデューサーであり、音楽を作る喜びがすべてのスタートになっている」

――近年リリースしていたEPはダンストラックが主体でしたが、今作『Möbius Strip』はそういうわけではないですよね。それがISHIIさんが本当に作りたかったものってことなんでしょうか?

KEN ISHII DJ活動をしていく中で、EPをリリースすることは重要だと思ってる。それに、最新のテクノのことも理解しているつもりだから、そういったものを作れるところも当然見せていきたい。ただ、アルバムとなると別物なんだよね。デビューして未だに変わらない部分というのがあって、僕の根底の部分とも言えるその部分をもう一度表現したいと思ったんだ。ダンスミュージックのアーティストの在り方は日々変わってきていると思うんだけど、僕は本来プロデューサーであり、音楽を作る喜びがすべてのスタートになっている。今もそのために多くのことを学びながら試行錯誤しているわけだけど、結局自分が本当にやりたいこと、作りたいものって、自分の好きなものなんだよね。

――好きなものというとデトロイトテクノも含まれるのでしょうか?

KEN ISHII 僕にとっての原点という意味ではそうなってくるかな。デトロイトテクノにあるちょっとした捻りや実験性、さらにはファンキーさやコード感が原体験として大きくあるからね。曲を作る上では自然とそういうものが出てくるんだと思う。とはいえ、今のテクノも好きだよ。ただ、自分のアルバムを無理にそこに寄せる必要はないと思ってる。今のテクノを作っている人は世界中にいるからね。今回は特に自分にしかできないものを作ろうと思ったんだ。

――それこそ今のトレンドのようなものは意識していなかったんですか?

KEN ISHII してなかったね。DJ用のトラックを作ろうとも思ってなかったし。言ってしまえば、自分が喜びを感じるために作ったものばかり。

――それは自己満足ということですか?

KEN ISHII 究極的にはそう。ただ、今までのアルバムも実は全てそうだと思う。それを他人が聴いて良いと思ってくれれば嬉しいし、極端な話、認められなくてもいいっていう思いもあることはある。

――今作のタイトル『Möbius Strip(メビウス・ストリップ)』の由来を教えてもらえますか?

KEN ISHII これはアルバムを作っていたときに思い浮かんだ言葉なんだけど、要は“音楽は終わらない旅”ってことだよね。

――“音楽は”なんですね。

KEN ISHII 人生というよりは音楽だね。今回、作品をビルドするにあたっては本当に学ぶことが多かった。音楽面だけでなく、テクニカルな部分でも音の鳴らし方やEQ、いろいろなことが絶えず進化しているからね。いかにキャリアを積んだとしても音楽には終わりがない、答えがないものなんだって改めて思ったよ。

――今回の大きなトピックとしては、ISHIIさんの原点でもあるデトロイトテクノ界の巨匠、Jeff Mills(ジェフ・ミルズ)とのコラボがあります。

KEN ISHII 彼は仲良くさせてもらっている先輩だけど、アーティストとしてもその在り方をすごくリスペクトしてる。彼ほど作品を出し続け、チャレンジし続けている人はいないと思うし。そんな人と一緒に作品が作れたことは本当に嬉しかったね。

――Jeff Millsは近年テクノとは別の方向に進んでいましたが、今回イメージしていたのは今のジェフなのか、それともかつてのJeffなのか、どちらでしょう?

KEN ISHII 僕はどっちもJeffだと思っているし、どっちも好きだから、そのあたりは特に気にしてなかったかな。彼とのコラボが決まったときにいろいろと話し合って、最初に2つのパーツが送られてきたんだ。『どっちがいいか選んでくれ』って感じで。それが今のJeffの感じと、いわゆるダンスっぽい感じの曲の2つで。それらを聴いて、僕は両方やりたい、両方のパーツでやらせて欲しいってお願いしたんだ。そうして完成したのがかつてのJeffを彷彿とさせる「Take No Prisoners」と、今のアブストラクトな感じが色濃い「Quantum Teleportation」なんだよね。

――ジェフの他には、スペインの至宝とも言われるDosemが参加していますね。

KEN ISHII 彼はいわゆるメロディックテクノの第一人者で、すごく才能があるアーティストだと思う。デビューしたのが僕の友人でもあるテクネイジアのレーベルからだったから、当時からよく知っているだんけど、彼の曲はすごく好きだね。後で聞いたところでは僕が過去に彼の地元、スペインのジローラモのクラブでレギュラーでDJをしていたときに毎回遊びに来てくれていて、実は僕の筋金入りのファンだったらしいんだけど、この10年で一気に売れっ子になっちゃって。

――そんな彼とのコラボ曲「Green Flash」は他の収録曲とは毛色の違う、絶妙なアクセントになっていますね。

KEN ISHII 正統派のハットが際立ちつつ、全体のバランスもいい……これは会心作と言っていい出来だと思ってる。僕とDosem、お互いの良さが出しゃばり過ぎず、ちょうどいいバランスに仕上がっているよね。

――いわゆる今のヨーロッパ的な音というわけでもないですね。

KEN ISHII 彼はメロディックなスタイルがメインになっているけど、本当はこの曲のようなテクノが好きなんだよね。Dosem自身、完成後には『こういう曲をもっと作ろう』って言ってたよ。

――今回はもう1人、日本人アーティストのGo Hiyamaさんとコラボした「Silent Disorder」を収録しています。この曲はアルバムの中でも一番実験的ですね。

KEN ISHII Hiyama君はいわゆる日本のテクノのパイオニアの1人で、かつてハードテクノ全盛期にリリースしていたけど、今はすごくエクスペリメンタルになっていて、それがまた素晴らしいんだよね。彼のアイディアむき出しの感じの曲が作りたくて声をかけたんだ。僕1人だとどうしてもテクノのエッセンスが残ってしまうし、自分が今すぐできるスタイルの音でもなかったからね。

「音楽に関する学びは、楽しいことなんだって再発見できた」

――この曲は、どちらかと言えばKEN ISHIIというより、Flareに近い感じもしたんですが。

KEN ISHII 確かにそうだね。でも、音の響きとかはそこまでエクスペリメンタルなわけじゃなく、キレイで和む感じで、こういった作品も今回のアルバムに1曲は欲しいなと思ってたんだ」

――「Polygraph」がフロア向けの曲だと思いました。

KEN ISHII リズムの強さという意味では、この曲が一番フロアライクだと思うけど、これも今のテクノとはちょっと違う、どこか捻くれた感じだよね」

――あと、気になったのが「Vector」。

KEN ISHII これは音楽のパーツみたいなものだね。Vector=ベクトルという意味で、いろいろな方向に向かっている感じ。まさに断片だね。どこか心に残ったビートや音をそのままで紹介したかったんだ。これを曲にするにはメロディやキック、ベースラインなどが必要になって、曲にしてしまうとそういったものに引っ張られてしまう可能性がある。でもそうじゃなくて、本当にむき出しのアイディアって感じだね。

――自分が好きなことを詰め込んだ今作を経て、成長した部分や新たに発見したことはありましたか?

KEN ISHII 好きなものを作ると言っても、やっぱりクオリティは落とせない。しかも、現行のテクノシーンでは新しい才能がどんどん生まれ、なおかつ誰にでも使えるソフトウェアやハードウェアも続々と出てきている。そんななか、その高いスタンダードに追いつこうともがいていたことは成長なんだと思う。音作りや音処理、様々な部分で勉強の連続だったしね。毎日のようにいろいろなウェブサイトとかを見て調べていたよ(笑)。でも、音楽に関する学びは、楽しいことなんだって再発見できた。

――ある種原点回帰的な部分もあったと思いますが、今と昔で変化していると感じた部分はありましたか?

KEN ISHII 昔は初期衝動で「これだ!」と思ったものを直感的に作って、作り終わったらすぐに次の作品に移るような感じだったけど、キャリアを重ねると「もっと良くなるんじゃないないか、どこかにミスがあるんじゃないか……」って思って、1曲1曲にかける時間や労力が格段に長く、大きくなったかな。音楽は時間をかけて作ればいいってものではないことはわかっているんだけどね。このあたりはミュージシャンにとって永遠の課題なんじゃないかな」

――最後に13年ぶりのアルバムを完成させた今、次はどうしましょう?

KEN ISHII まずはアルバムの曲をライヴで披露したいと思ってる。それはちょっとクラブライクになるかもしれないね。あと、今はアルバムの反動で普通のダンストラックを作りたい気持ちになってる。しばらく作っていないし、いろいろなところからリクエストもあるから。DJがプレイするためだけの曲を今のモードで作るとどうなるのか、それも面白そうだし。

――それもまさに終わりのない旅=メビウス・ストリップですね。

KEN ISHII ホントそう(笑)。でも、音楽ってそういうことなんだと思うよ。

Text:Marco


リリース情報

KEN ISHII『Möbius Strip』
発売中

【完全生産限定盤 Type A】7インチサイズハードカバー仕様
<CD/CD-EXTRA/7inch Clear Vinyl> 3枚組 折込ポスター付
定価 ¥4,600+税

【完全生産限定盤 Type B】7インチサイズハードカバー仕様
<CD/CD-EXTRA> 2枚組 折込ポスター付
定価 ¥3,300+税

*Type A, B共通*
<CD>
1.Bells of New Life
2.Chaos Theory
3.Take No Prisoners (Album Mix) with Jeff Mills
4.Vector 1
5.Green Flash (Album Mix) with Dosem
6.Silent Disorder with Go Hiyama
7.Prism
8.Vector 2
9.Skew Lines
10.Polygraph
11.Quantum Teleportation with Jeff Mills
12.Vector 3
13.Like A Star At Dawn

<CD-EXTRA>
JOIN THE PAC (Official Theme Song for PAC-MAN 40th Anniverary : Club Mix)
Bells of New Life MV & 25周年スペシャルインタビュー映像
KI Möbius Strip オリジナルフォント(Mac,Windows,Unix対応 OpenType PS)

*Type Aのみ*
<7inch Clear Vinyl>
A side / EXTRA (’95 Original Video Edit Rematered)
AA side / JOIN THE PAC (7” Version)


<『Möbius Strip』特設サイト>
http://www.umaa.net/KI/

<KEN ISHII オフィシャルサイト>
https://kenishii.com/

<KEN ISHII Facebook>
facebook.com/kenishiiofficial

<KEN ISHII Twitter>
twitter.com/K_Ishii_70Drums

<KEN ISHII Soundcloud>
http://soundcloud.com/ken-ishii-70drums

 

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