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Max Cooper 【インタビュー】 「“オーディエンスと空間を共有する”ってことに興味がある」

計算生物学の博士号を持つ秀才が描く、“無限への希求”

Mixmag Japan | 5 December 2019

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音楽と科学を同時に追求する男、Max Cooper。音源をリリースするかたわら、彼は2008年に計算生物学の博士号を取得した。以降、自身が運営するレーベル「Mesh」からアートとサイエンスが密接に関係した作品をリリースしている。つい先日メキシコで開催された「MUTEK MX」では、ビジュアルアーティストのArchitecture Social Clubと組んで「Aether」を実施した。中南米初公開となった同プロジェクトは、3Dマッピングとサウンドが連動したインスタレーションである。

メディアアートの世界でも広く名を知られている彼だが、先述した通り音楽のプロデュースにも余念がない。先月11月の頭には、最新アルバム『Yearning for the Infinite』をリリースした。ロンドンが誇る世界最高峰の文化複合施設「Barbican」と共同で作られた本作は、無限に折り重なる3DのイメージにCooperがサウンドをリアルタイムで作成したものだ。以下の映像は、彼が今年9月にBarbicanで行ったライブパフォーマンスの様子である。

Behind the scenes: Yearning for the Infinite at the Barbican

今回のインタビューでは、この『Yearning for the Infinite』を中心に話を聞いた。難解ながらも徐々に明らかになる、“無限への希求”の正体。


– 『Yearning for the Infinite』のリリースおめでとうございます! あなたの作品の中では最もスケールの大きい作品である印象を受けました。

Max Cooper(以下、M): 各所の評判も良くて満足してるよ。僕のキャリアの中でも最高の作品だと思う。全編通して、ビジュアルありきの音源として作ったんだ。Barbicanでは複数のスクリーンとプロジェクターを使ってライブをやったんだけど、まだまだ実現できていないアイデアはあるね。僕は、“オーディエンスと空間を共有する”ってことに興味があってさ。オーディエンスが観客席にいながら、音楽の中に没入できる体験を目指したんだ。それこそが映像を3Dのレイヤーにして、観客席まで干渉させた最大の理由だよ。自分の音楽をもっと個人的なものにしたかったんだ。ステージ上で鳴る音楽が一緒でも、座っている位置によって体験が変わるっていう。共作する上でBarbicanからもらったテーマが、“テクノロジーの進歩とそれに伴う社会への影響”だったんだけど、その問いに対する僕からの回答を『Yearning for the Infinite』に込めたつもりだよ。

‐ 具体的には本作がどのようなプロセスを経て、今回のテーマに繋がったのでしょうか?

M: まずは「個人の成長」というキーワードで考えてみた。言うまでもなく、社会は個人の集合体だからね。社会的な成長、肉体的な成長、精神的な成長、知識的な成長…。その結果、どうやら成長は人間の根源的な欲求であるらしいことに気付いたんだ。で、その横にはテクノロジーが必ずある。そしてそれは無限に続く。つまり、テクノロジーは成長と無限に関係を持たなければならないんだ。だから本作のタイトルを『Yearning for the Infinite』(無限への希求)にしたんだけど、まぁ文字通りだよ(笑)。成長が人間の根源的な欲求であるならば、社会とテクノロジーは人間が滅ぶまで発展を続けなければならない。今日の物理学者によると、数十億年先に宇宙が死滅するポイントがあるらしいんだ。しかしそれが現時点での研究結果であることも重要なんだよ。人間の成長への欲求が、驚くべきテクノロジーを生む可能性だってあるわけで。そう考えると、“無限”は究極的な答えなんだ。

『Yearning for the Infinite』より、「Repetition」

– MVの映像にも本作のテーマが反映されているように見えます。

M: うん。映像は科学的なアイデアを反映しやすいからね。今回はそのビジュアルに音楽を記録してゆく過程が大半だったから、よりその傾向が強いと思う。一見すると、ロジックを重んじる科学と直感や感情に重きを置く音楽は相性が悪そうだけど、共通点もあるんだよ。直感がヒントになって解決した研究なんて山ほどあるぐらいさ。新しいものを追求しようとするプロセスは、科学も音楽もほとんど同じだよ。しかも僕の場合は曲のプロデュースも研究もコンピューターでやるから、パッと見るだけではどちらに没頭しているか分からないと思う(笑)。

‐ 「Parting Ways」も他の曲と同じプロセスで作られましたか? なんだかこの曲は他の曲と違って、音楽が先に立っているような気がします。

M: 実はその通りなんだ。この曲は完全に即興ジャムトラック。友達のSix Sigmaと一緒に作ったんだけど、アルバムのテーマについて話し合っているうちにどんどんアイデアが出てきてね。その勢いでスタジオに入ってみたんだ。メインのリフは彼がその時に演奏したシンセサイザーを一発録りしたものだよ。ベースラインも彼が担当してくれてね。その後に、アダム・ベッツのパーカッションを追加したんだ。彼は素晴らしいドラマーだよ。そこから完成するまでに手は加えたけど、核となる部分はこのジャムセッションの時に生まれたんだ。この曲での僕は100%アーティストモードだったね。ロジックから自由になって、ただひたすら直感を信じた。

Max Cooper – 「Parting Ways」

– その「Parting Ways」ですらも、映像が非常に重要な役割を果たしています。アイデアをビジュアルアーティストに伝える上で苦労したことはありますか?

M: そりゃあもう沢山あるよ! 技術的なことを伝えるのは簡単だけど、各々の美意識が関わってくるアート的な表現ではよく議論になるね。そこが合わなくて失敗するプロジェクトだってあるぐらいなんだ。このアルバムを一緒に作った人たちは以前にも共同で作業したことがあったから、相互の理解は簡単だったよ。お互いどういう人間かを知ってるからね。“初めまして”の人とやる時は、それ相応の時間が必要だと思うな。

‐ 最後の質問です。あなたはこれまでにも示唆的な作品を発表してきました。その度に私たちは未来の行方を案じたり、希望を持ったりするのですが、今のあなたはこの社会をどう見ていますか?

M: テクノロジーを関連付けて話すのなら、SNSの影響で人々はより自己陶酔的で傲慢になっていると思うね。Instgramの世界でどう振舞うかが重要な関心事だ。その価値観は今の人々に大きく影響を与えただろう。でも、全部が全部悪いことだとは思ってないんだ。インターネットを介することによって人々はより率直に主張するようになったし、自分と他人を切り離して考えられるようになった。この点に関しては、僕は前向きな考えを持っているよ。過去には全体主義的な思想のせいで始まった戦争もあるわけじゃない? もちろん情報を取捨選択するためのリテラシーは必要だけど、情報の母数が増えたことは歓迎すべきじゃないかな。時として知識は何よりも強力な武器になるよ。だから、システムを使うユーザー側の責任さえ果たせば、きっと良い世の中になると信じてる。素晴らしい未来への道は、いつだってデコボコさ。

Max Cooper – 「Circular」


Interview_Kimya Khayat
Edit_Yuki Kawasaki

■ Max Cooper:
Facebook https://www.facebook.com/maxcoopermax/
Instagram https://www.instagram.com/maxcoopermax/
<公式サイト>
https://maxcooper.net/

 

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