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FEATURES

INTERVIEW:NIGHT TIME ECONOMY – 齋藤貴弘(弁護士)

ルールメイキングで広がる、ナイトタイムエコノミーの無限の可能性。

Mixmag Japan | 1 October 2019

風営法改正や2020年の東京オリンピック開催といった変革期を迎え、日本の夜を活性化させる活動として注目を集めている「ナイトタイムエコノミー」。今回は風営法改正に尽力し、音楽やカルチャー関係にも明るい弁護士の齋藤貴弘さんが登場。日本の夜をより賑やかに、より楽しむために、新たなルールメイキングを目指す斎藤さんに、現在の日本のナイトタイムエコノミーについていろいろお伺いしました。


「ローカルの人たちがどんどんアクティブに動けるようなナイトタイムエコノミーにしていきたい」(齋藤貴弘)

--ここ数年、ナイトタイムエコノミーという活動が日本でもようやく知られてきたと思いますが、海外と比べてどういったところが遅れているなと思いますか?

齋藤貴弘(以下、齋藤) 海外のナイトタイムエコノミーは産業としてきちんと国に認知されていて、さらなるインパクトを求めていく、というイメージですね。ベルリンはすごい数の観光客をクラブに呼び込んでいますし、ロンドンもニューヨークもそうだと思うんです。でも日本は海外の成功事例をお手本にして、それに倣えでいいのか、という問題意識がすごくあって。シンガポールのマリーナベイ・サンズみたいなホテルを東京に作れるわけではないですし、海外事例を参考にするのはありだと思いますけど、もっと日本のユニークなところをなるべく出していったほうがいいなと思うんです。相当面白いと思うんですよ、日本のクラブシーンなんかは。

--齋藤さんは日本のクラブシーンの面白いところは、小バコの集合体だとおっしゃっていましたよね。

齋藤 そうですね。ミュージックバーとか、音響設備もすごくこだわっているし、DJの知識量もすごいし、音楽愛もすごい。地に足がついた感じでちゃんと文化になっている。ナイトタイムエコノミーだといって、あまり商業寄りに寄せてしまうと、その独自の面白さがなくなっていってしまうのでは嫌だなと。ディベロッパーや大きな企業が入ってきても、面白いところを失わないようにしなくてはならないと思うんです。

--ナイトタイムエコノミーに関して、現在はどんな人たちと話し合いや交流をしているんですか?

齋藤 ナイトタイムエコノミー議連というものがあって、活性化させるためにいろいろな提言を出しているんです。コンテンツやベニュー、プロモーションや夜の交通をどうすればいいかなど。それを受けとっているのが観光庁なんですね。体験型の観光資源開発をやるプロジェクトがあって。今まで観光というとショッピングや食事、物の購入などが多かったんですけど、これからはナイトクラブやライヴなど、いろいろな体験も観光の中のひとつのコンテンツにしていくべきだと。それで観光庁がリサーチしたり、モデル事業を作ったりしているんです。僕はそれを民間側として手伝っているという感じですね。

--民間と行政との間に入って、そのパイプ役にあたっているのが齋藤さんなんですね。

齋藤 そういう役回りをしなければというのはありますけど、とはいえ僕は弁護士なので、クリエイティブシーンやクラブシーンにいる人たちがもっと存在感を出して観光庁をリードしていく感じになったほうがいいんでしょうね。

--海外ではクリエティブな人たちがリードしているんですか?

齋藤 ナイトメイヤーは完全にそういう役回りですよね。ベルリンのクラブコミッションのルッツ・ライシェンリングさんやアムステルダムの元ナイトメイヤーのミリク・ミランさんなどは存在感がすごいですよ。ちゃんと国に向けた言葉で話ができるので。日本でもナイトメイヤーを作るべきだという話はあるんですけど、あまり向いていない気がしているんです。


「夜はカッコイイものではなくて、誰でもそこにいていい」

--なぜそう思うんですか?

齋藤 誰か1人だけに限定してしまうと、その人の世界観だけの夜になってしまう恐れがある。代表して1人だけが立つのではなく、もう少し民主的に、いろいろなレイヤーの人が入っていけるようになればいいなと。もっと分散型にして、人数を絞らなくてもいい気がするんですよね。いろいろな分野のプロフェッショナルな人たちが参加できる形になっていけばいいのかなと。

--確かにいろいろな人の意見を取り入れ、形にすることができれば、それだけ多彩で華やかになりますものね。

齋藤 なので、ナイトメイヤーだけがソリューションではないのかなとも思います。ベルリンのクラブコミッションはあえて代表みたいなものは作っていないんです。夜の価値を定義すること自体を躊躇するというか。いかに自由であるべきかが根源的な価値なので。経済的な価値は観光なんだと定義した瞬間に、そこからもれた人たち、観光的な経済効果にコミットできない人たちは規制していいということになりかねない。価値を定義することってもろ刃の剣になんですね。別に価値なんかなくてもいい、というのがベルリンの人たちで。逆説的ですが、むしろ価値のないことすらできるというのがナイトカルチャーの価値なんだと。この間、坂本慎太郎さんのライヴに行ったんですけど、改めて歌詞をよく聴いたら、夜というワードが出てくる曲が多くて。”まぬけな夜”や”空洞”という言葉が歌詞にあって、聴いているうちに、でも夜はそういうもんだなと思ったんです。夜はカッコイイものではなくて、誰でもそこにいていいし。「ディスコって」という曲があるんですけど、まさにそういったテーマを歌っているなと。”ディスコも君に何もしない”、”ディスコも君に何も求めない”とか(笑)。なんかダイバーシティみたいなことを歌っているんですよね。

--ナイトタイムエコノミーを活性化させるためには、いろいろな業界の人たちが必要だと。そしてナイトライフで実際に変化しているところは、例えばどんなところでしょうか?

齋藤 分かりやすいところだと、銀座に〈PLUSTOKYO〉や六本木に〈SEL OCTAGON TOKYO〉ができたり、新宿に〈WARP SHINJUKU〉というクラブができたり。今までにあまりなかったタイプの立派なクラブがどんどん出てきています。キャパもあるし、音響や内装も素晴らしい。そういった新しいハコもあれば、長年にわたってカルチャーを育んできたクラブや小バコも面白い。変化というと、シーンが多様になってきている点でしょうか。


「一緒にイベントや場所を作るというマインドセットがお客さん側にもあると、ナイトカルチャーが育つ」

--なるほど。そして今後、ナイトタイムエコノミーにどのような形で関わっていきたいですか?

齋藤 ローカルの人たちがどんどんアクティブに動けるようなナイトタイムエコノミーにしていきたい、というのはずっと一貫して考えていることで。例えばDJだったら夜の公園みたいなところを活用したらいいと思いますし。都内の美術館でも22時くらいまで開けて、ロビーで音楽を表現できる場を作れればいいなと思いますし。法改正や規制緩和によって公園や美術館といったいわゆるユニークベニューなどに表現の場としてのフレームが増えて広がっていくので。そこにカッコイイ人たちが入っていって、カッコイイ場所になれればいいなと。神社を使った夜市、屋外広場を使ったファーマーズマーケット、景観が素晴らしいビーチバーといった場所にDJによる音楽や照明を入れて夜展開するということを観光庁のモデル事業としてやる予定です。

--そういえば齋藤さんがDJとして参加しているロサンゼルスの非営利ネットラジオ「dublab」で、イベントを定期的に開催していますよね。これまでに美術館などを使用して開催したことはありますか? 

齋藤 美術館でやったことありますよ。音楽が日常に近いところにあってほしいなと思い、レストランやホテルのロビー、カフェなどでイベントをやったことがあります。そうすると知らない人も来るので。その真逆で神田の廃校や深夜の映画館を使ったり、非日常的な空間を作ってやるのもいいなと。

--最近は歴史のあるお寺など、非日常的な場所で行われるイベントもありますものね。

齋藤 アムステルダムは廃校などを利用したクラブとかあり、非日常の作り方がうまいなと思うんです。トビラを開けると、どこに連れて行ってくれるんだろうという楽しみがある。日本にも面白い場所がたくさんあるので、そういう場所を活かしていったほうがいい気がします。でもお客さんのマナーをすごく求められると思います。マナーを守らないと単発イベントで終わってしまうし、そもそも施設も貸してもらえなくなるので。

--遊びに行く人の姿勢、モラルが問われますね。

齋藤 そうですね。こういうイベントや場所があるから行こうというだけではなく、一緒にイベントや場所を作るというマインドセットがお客さん側にもあると、ナイトカルチャーが育ち、より使いやすいルールになっていくんでしょうね。

Words:Jun Nakazawa


書籍情報

斎藤貴弘『ルームメイキング』
学芸出版社(発売中)

風営法改正が実現したことをきかっけに、斎藤弁護士が書いた、風営法やナイトタイムエコノミーの本。風営法の問題だけではなく、世の中のルールにどうアクセスして自分たちで変えていくか。ナイトタイムエコノミーに関わる人たちには、是非読んでもらいたい本。

<齋藤貴弘 Twitter>
https://twitter.com/saitochin

 

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