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FEATURES

RAMM:ΣLL:ZΣΣ “RACING FOR THUNDER”

ニューヨークが生んだ鬼才アーティストが生んだ、ストリートと宇宙を結んだユニークなヒップホップ・モダンアート

Mixmag Japan | 2 September 2018

この曲を聴いてみて欲しい。

オールドスクールな荒くぶっといビートに乗ってくるラップは、RAMM:ΣLL:ZΣΣ (ラメルジー)と言って、ニューヨーク発ヒップホップ黎明期から活動をしていた鬼才天才ラッパーのフロウだ。ジャケットのアートワークは当時ラメルジーの友人でもあった、ジャン=ミシェル・バスキアが手がけている。1984年にリリースされたRammellzee +K-Rob『Beat Pop』は、当時のニューヨークを代表するヒップホップでありながら、唯一アートシーンと密接な関係を持った楽曲と言っても過言ではない。何故なら、ジャン=ミシェル・バスキアが影響を受けたとも言われているラメルジーはストリートからギャラリーベースまで数々の素晴らしいアートを生み出しているアーティストであったからだ。

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「THE RAMMΣLLZΣ(ザ・ラメルジー)」……本人の名前であり、自ら生み出した哲学でもあり。「Knockiast Panzarizm(偶像破壊武装主義)」、「Gothic Futurism(ゴシック・フューチャリズム)」と言われる独自の思想を元に、2010年に他界するまでラッパー、アーティストとして実に濃い活動を行っていたヒップホップの歴史に欠かすことのできない重要人物である。映画監督チャーリー・エイハンは映画『Wild Style』(1982年)で、またジム・ジャームッシュは映画『Stranger Than Paradice』(1984年)で、ラメルジーを起用。またFutura 2000、Delta、ビル・レズウェルと一筋縄ではいかない各方面のアーティストたちがラメルジーの虜になった。

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左がラメルジー

その伝説のアーティスト、ラメルジーの回顧展がRed Bull Arts New Yorkキューレションの元、ニューヨーク/マンハッタンにある展示会場にて開催された。2フロアに渡り展示されたラメルジーの作品は過去最大数であり、1階にはキャンバスを中心とした1980年代のアート作品と、ラッパーとしてマイクを持つ姿を映し出した映像と写真の数々、地下には天井から吊り下げられた「The Letter Race」と、実際にステージ上で着用をしていた「Garbage God(ガベージ・ゴッド)」と呼ばれるコスチュームを展示。ヒップホップから派生したリアルな世界と、ラメルジーの頭の中で辿りついた宇宙感のある思想を結びつけた作品の数々は、80年~90年代を代表するニューヨーク発ポップアートの賜物と言っても過言ではない。

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Exhibition view of RAMMΣLLZΣΣ: Racing for Thunder, Redbull Arts New York, in New York City, New York USA, April 3, 2018. All artwork © 2018 The Rammellzee Estate

ラメルジーのライヴの写真を中心に展示された空間では、約1時間に渡り編集されたライヴの映像が流れていた。”Gangsta Duck(ギャングスタ・ダック)”と呼ばれたラメルジー独特なラップのスタイル(後にサイプレス・ヒルへ影響を与えたとも言われている)に、コスチュームを身にまといガベージ・ゴッドと化しステージをのしのしと動き回る姿。1980年年代初頭に、映画『Wild Style』のツアーをラメルジーと共にした、伝説のブレイクダンス・クルーRock Steady Crewのクレイジー・レッグスはこう語っていた。

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RAMMΣLLZΣΣ , Maestro 2 Hyte, 1976, © 2018 The Rammellzee Estate. On occasion of RAMMΣLLZΣΣ: Racing for Thunder, Redbull Arts New York, in New York City, New York USA, April 3, 2018

「ラメルジーに関して人々は未だに興味を持ち、彼について理解を深めようとしているよね。僕が子供だった頃は、彼はベストラッパーの1人だった。天才で”フリースタイルMCとは何か”を深く追求していたし、キャラクターの強さでコミュニケーションをする人だった。1981年~1982年に『Wild Styke』を世界へ広めるショーで、僕たちRock Steady CrewがパフォーマンスをするときラメルジーがMCをしてくれたんだけど、みんな彼のスタイルを、ユニークだ、エキセントリックだ、マエストロ(巨匠)だ、と話をしていたよ。ラップの仕方も面白くて、マイクを持ってラップをしていたかと思うと突然ステージから落ちたりね(笑)。ツアーのバスの中でもみんなが静かにしている中、どこからともなくラメルのラップする声が聞こえてくるんだ……”Break”なのか、”Bra”なのかわからない、まるでエコーマシーンのような。僕はまだ高校へ行っていたから、学校が終わった後よく一緒にキメて遊んでいたよ。ヒップホップのパイオニアでありながら、インダストリアルのパイオニア的存在でもあり、”Little Getto Rock Star”だったんだよ」(クレイジー・レッグス)。

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ラメルジーの作品の中でも、人気のある作品「The Letter Race」。グラフィティ特有のトレインアートに描かれている”アルファベット”に注目し、スケートボードカルチャーとリンクさせ空を飛ぶフライングレター・トイを制作。各々のアルファベット(26文字)をイメージした、4輪のレースカーを制作した。

1970年代、ラメルジーがアーティストとして活動をスタートした頃から、探求してきたアルファベット。「アルファベット」を「アルファズ・ベット(Alpsha’s Bet)」と見立て、α(アルファ)=Alpha(アルファ)=ギリシャ文字で「A」は「最初」に始まるレター、β(ベータ)=Bet(ベット)=英語で「賭け」を意味する……と解釈をして、アルファズ・ベッド(Alpsha’s Bet)=最初のかけ、という意味に落とし込み、各々の名前にあるアルファベットに点数を付け(例えばAndyの「A」は1点、Bobの「B」は2点というように)、レースを展開するといったストーリーを考えていた。

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Detail, RAMMΣLLZΣΣ , Maestro, 1979, © 2018 The Rammellzee Estate. On occasion of RAMMΣLLZΣΣ: Racing for Thunder, Redbull Arts New York, in New York City, New York USA, April 3, 2018

1980年代後半から1990年代にかけて、ラメルジーは「偶像破壊武装主義」を元に、「トランスヴァーサス・ウォム」という人格になりきり「リサイクラーズ」と「ガベージゴッド」と2つに分類される神々のキャラクターに扮し活動に専念。ライヴ活動を行う際は、自ら制作したコスチュームを着てステージへ上がるようになった。制作した体数は約20。ラメルジーが長いこと手がけていた脚本に登場するのだが、各々のキャラクターには、Vain(ヴェイン)、Crux(クラックス)、Vocal Well’s God(ヴォーカル・ウェルズ・ゴッド)、Destine(ディスティン)など名前があり、そして各々の役割がある。ガベージ=ガラクタをリサイクルして作られたコスチュームをじっくり見ると、バラバラに配置されているように感じるガラクタが実に緻密に的確な場所に、美しく配置されていてアート性の高いものだということがわかる。一番重いもので約50キロ近くあるコスチュームを着て、ラメルジーは動くアートを自ら表現をしていたのだ。

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Exhibition view of RAMMΣLLZΣΣ: Racing for Thunder, Redbull Arts New York, in New York City, New York USA, April 3, 2018. All artwork © 2018 The Rammellzee Estate

キャンバスから、コスチュームまで、これだけ多くまとめて展示するのは初の試みとのことで、Red Bull Artキューレーターのマックス・ウルフはこの展示のために、かなりの労力を使ったそうだ。

「自分にとってラメルジーは、ヒップホップカルチャーを語る上で、欠かすことできないラッパーだったんだ。ミステリアスで、間違いなくヒップホップ界のアイコン的存在だった。80年代を中心とした絵画は、グラフィティのテクスチャーがある中で、アブストラクトでとてもコンセプチュアルなんだ。使っている材料も実に豊かで、彼自身もアート制作を楽しんでいた時期なのがわかる。ガベージ・ゴッドを中心としたコスチュームに関して、改めてああやって並べてみると、実にサイケデリックで、ユニークで、ラメルジーにしか生み出すことのできないアートだということが分かる。このエキシヴィションをこのニューヨークでできたことを本当に嬉しく思う」(マックス・ウルフ/Red Bull Arts New York )。

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Exhibition view of RAMMΣLLZΣΣ: Racing for Thunder, Redbull Arts New York, in New York City, New York USA, April 3, 2018. All artwork © 2018 The Rammellzee Estate

人々が知るべき良質なアート、アーティストを教えてくれる、Red Bull Arts。ラメルジー亡き後、11年が経った今。ストリートカルチャーが様々な方面とリンクをしてさらに成熟していく中で開催されたエキシヴィジョンは、会場を訪れた世界中の人々の心に焼きついたのではないかと思う。ちなみにスポーツだけでなく、良質なアート、音楽、ダンスをサポートするRed Bull。日本では9月22日から、音楽を中心とした祭典「RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018」を開催するとのこと。音楽好きな人はぜひ、足を運んでみて欲しい。


Photos:Beau Roulette ©︎Red Bull Arts
Text:Kana Yoshioka

「RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018」
開催日:9月22日(土)~10月12日(金)
開催場所:都内各所
出演:ちゃんみな、きゃりーぱみゅぱみゅ、真鍋大度、Awich、Zeebra、Licaxxx、向井太一、MAJOR FORCE、OMODAKA (寺田創一)、ゆるふわギャング、LIL MOFO、Maika Loubté etc…..
www.redbullmusic.com/tokyo

 

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