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FEATURES

Report: yahyel “The Choir”

間もなくアーカイブ配信スタート!!

Mixmag Japan | 4 September 2020

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池貝俊(Vo)

8月27日(木)、恵比寿のLIQUIDROOMで4人組バンドyahyelのワンマンライブが開催された。2年ぶりのワンマンライブは、昨今の状況を鑑みてオーディエンスを300人に限定した2部制で行われた。もちろん、オーディエンス間のソーシャル・ディスタンスも遵守されていた。なお、この日のライブの模様は間もなくオンライン上でも公開される。

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本公演のチケット料金は彼らのライブに対してではなく“スタジオ代”として支払われ、我々はメンバーと見なされた上、“共犯者”として会場を訪れた。このギミックについて、yahyelは公式Twitterでこう語っている。

絶賛と反発の両極端をその身に受けながらも、彼らの軸は変わっていないように見えやしないか。挑発的で、猜疑的。2017年にフジロックの深夜のレッドマーキーで、メンバーの池貝俊(Vo)がオーディエンスに言い放った“We’re typical Japanese”というフレーズが、彼らのアティチュードを表明しているような気がする。あれから随分バンドの態勢は変わったが、根幹は揺らいでいないはずだ。

そもそも、変化したのは彼らなのだろうか? 彼らがデビューした2015年と比べて、彼らが発信していた“皮肉”や“冗談”は、まったくジョークではなくなり、世の中はよりシリアスな様相を呈している。それでもなお、我々が住むこの国は深刻な政治アレルギーを抱えたままだ。もはやジョークを言い合っている場合ではない。

…という現状も、yahyelが脱・匿名性に至った理由にも思われる。

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大井一彌(Dr)

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L: 篠田ミル(Sampling/Cho) R: 山田健人(VJ)

ライブは「Hypnosis」から幕を開けた。yahyelのメンバーがバンドとしてステージに立つのは久々だが、個々人ではそれぞれの活動に勤しんでいた。楽曲提供にDJ、映像制作にバンドサポート…。各々の得物を研ぎ澄ませつつ、臨んだのが今回の舞台であった。かつて彼らの音楽性を語るとき、James Blakeを筆頭とした「ポスト・ダブステップ」がキーワードであったが、今やそこには様々なレイヤーが重ねられている。「Hypnosis」ひとつ取っても、その展開の鮮やかさたるや、もはやポスト・ダブステップにのみ収められるものではない。(次に演奏された新曲「Cult」はさらに展開があった)

そのJames Blakeですらも、現在では「これ」とジャンルでカテゴライズすることは不可能なのだし、もはやジャンル名はその時の気分を表す記号に過ぎないのだろう。

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が、あえてJames Blakeと類似する点を探すならば、やはり展開の鮮やかさだろう。彼が「Voyeur」などで見せる静→動への接続は、yahyelもまた得意とする。たとえば「The flare」や「Pale」などがそれにあたるが、彼らはアッパーな4つ打ちでなくともそれを再現できるのだ。新曲も多く披露されたが、いずれもそのスイッチングが巧みであったように思う。

yahyel – 「Pale(Live)」

で、今回のライブで特筆すべきはカバー曲である。以前はWARPAINTの「New Song」なども演奏しており、その行為自体にそれほど驚きはない。今回は2曲カバーしていたが、その片方はMount Kimbieの「Home Recording」であった。yahyelとMount Kimbieは2017年に東阪ツアーを共に行ったこともあるし、何より諦観しながらもどこか反抗的な「Home Recording」はカバー曲として実にしっくり来る。やはり、驚きはない。

しかしもう1曲、4 Non Blondesの「What’s Up」をカバーしたとすれば、どうだろう? 恐らくyahyelをよく知る人の多くは、池貝俊がこの曲を弾き語る画を想像できなかったはずだ。

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Lady GagaもPinkもカバーした、超絶ポップソング。もちろんポップスにはポップスの良さがあるが、yahyelが演奏するにはあまりにビジネスライク。いささか丸くなりすぎていやしないか…?とも思ったが、全くの杞憂であった。

ワンコーラス歌い上げた瞬間、音が大きく歪み、耳をつんざくような轟音が鳴らされた。配信でどの程度再現されるのかは分からないが、現場では眩暈がするほどの音圧であった。悪意と皮肉――。まさしくこの日一番の“皮肉”である。彼らは何も諦めてはなかった。

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Radioheadの『Kid A』も、当時のイギリスではこのようなフィーリングで受け止められたのではないだろうか。商業主義や政治への不信感が歌われているが、その表層は不気味で陰湿…。「じゃあ『Kid A』を聴けばいいだろ」との声が飛んできそうだが、yahyelの言葉の矛先には我々日本人がいる。「Once」にしろ「Why」にしろ、彼らはずっと一貫して我々に声を届けようとしているのだ。「海外で売れそうですね」、「ワールドクラスの音楽だね」。繰り返すが、冗談を言っている場合ではないのだ。のど元にドスを突きつけらている状況で、余裕ぶってばかりもいられない。我々こそが当事者だ。

「TAO」と「Pale」の既存楽曲によってライブは締めくくられたが、彼らが新たなフェーズに入ったことは明らかだった。客席にいた我々“新メンバー”は最後に解雇されてしまったが、彼らの横暴には今後も付き合っていきたい所存である。“典型的な日本人”として。

yahyel – 「TAO」

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Text_Yuki Kawasaki
Photo_西村 理佐

■ yahyel “THE CHOIR” Live at Liquidroom STREAMING
初回配信:2020年9月4日(金)20:00〜21:30頃
※巻き戻し再生不可
アーカイブ配信:2020年9月4日(金)22:00頃〜9月10日(木)23:59
視聴チケット:¥2,000
販売期間:2020年8月28日(金)12:00〜9月10日(木)16:00
ZAIKO:
https://beatink.zaiko.io/_item/328445
LIVEMINE:
https://livemine.net/lives/5/about

 

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