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Risa Taniguchi 【インタビュー】 『日本のクラブシーンにはジャーナリズムが欠けている』

スーパーEP『How We Dance Again』と、その後

Mixmag Japan | 28 August 2020

Risa Taniguchi, Risa Taniguchi インタビュー, WOVEN Contact, mixmag

先日、ついにビッグレーベル〈Second State〉よりEP『How We Dance Again』をリリースしたRisa Taniguchi。彼女のここ数年間の台頭は著しかったが、このリリースがその最高到達点とも言えるだろう。何せ“EP”なのである。Shlomi AberやMichael Kleinなど、厳選されたアーティストのみが辿り着ける次元の話だ。

Dense & Pikaの〈Kneaded Pains〉やCoyuの〈Suara〉などからも作品を発表しているが、本作によってさらなる高みへと到達した。実際、本作は彼女のディスコグラフィーの中でも抜群にフロアライクである。

明日8月29日(土)、彼女は渋谷のContactで開催されるパーティ〈WOVEN〉に出演するが、その直前インタビューとして『How We Dance Again』の後日談を中心に話を聞いた。現在の日本のクラブシーンに対する問題提起としても、必読の内容となっている。どうぞ最後までお付き合い下さい。


― 『How We Dance Again』がリリースされるまでに結構な時間がかかったと伺ったのですが、本作完成に至るまでに経緯を教えてください。

Risa Taniguchi(以下、R): Pan-Potには出会ってからずっとデモを送り続けてるんです。これまでにもコンピレーションアルバムには参加させてもらってるんですけど、私はずっとまとまった形で作品をリリースしたかった。でも曲を送るたびに、「この曲は良いね!今度の『SUM』(Second Stateから間欠的にリリースされるコンピアルバム)に入れよう」って話に落ち着いてしまって…。“私の曲ってEPとしてリリースするレベルではないのかな”って思ってた時期もあったんです。悔しさもありましたね。私はひとつのレーベルにだけ所属しているわけではなくて、色々なレーベルから曲を出させてもらってるんですけど、そんな状況が続いていたので“絶対ここ(Second State)からEP出したろ!”って思ってました。そんな時にパンデミックが始まってしまったんです。現場が無くなって、家に居るしかなくなった。もちろんDJしては気持ちが落ち込んでたんですけど、その分の時間や労力を全部曲作りにあてようと。

― 具体的にはこれまでどんなフィードバックがあったんですか?

R: 毎回4~5曲ぐらい送るんですけど、その中の1曲ぐらいは良いリアクションをもらえるんです。メールでやり取りするんですが、毎回「この曲は良いね!この曲は良いけど…」的な文章で始まるので全文読まなくても結果が分かるっていう(笑)。“またEPはダメだったか…!”って。至ってシンプルな講評ですね。なので、先方から具体的なフィードバックがあったというより、自分で研究し尽くした感じです。Second StateのEPを聴き比べて、どんな曲だったら彼らの基準を超えられるだろうかと。……で、まぁ月並みな表現ですけど、やっぱりキャッチーな曲が強いわけですよ。これはSecond Stateに限らず、どのレーベルからリリースするにも言えることかもしれませんけど。その結果完成したのがタイトルトラックの「How We Dance Again」でした。実はこの曲のテイストって、私自身の中にはあまりないものだったんです。“ビッグボムトラック”と言いますか。その手の曲を、今まで一度も作ったことがありませんでした。そういう意味でも、自分の殻から一歩外に出た作品ですね。

― Risaさんは既に何度か現場でかけてらっしゃいますけど、ご自身でも手ごたえはあるのではないでしょうか。この間私もVENTで聴きましたが、客観的に振り返ってもフロアの空気を最も揺らしていたのは「How We Dance Again」だったと感じます。

R: それは嬉しいですね。実はPan-Potにこの曲を送った時は“やり過ぎたか…?”と感じてたんです。この時は本当に曲を作りまくってたので、自分で良し悪しの判断がしにくくなってました。でも、レーベルのマネージャーからは「これが良いよ!!!」ってテンションのメールが返ってきたんです。「トーマスもタッシーロ(Pan-Potの二人)もこの曲をすごく気に入ってる。やっと君にグッドニュースを届けられそうだ」って。明らかに今までと違う文面だったし、“グッドニュース”って文字が目に入ってきた時にはさすがに気持ちが高ぶりました。その日は良いビールを買いましたね(笑)。

― このEPは「How We Dance Again」以外の3曲も粒ぞろいですよね。私の個人的な好みでは「Sodium」が一番好きです。

R: あの曲も今回のEP用に作ってるので、普段とは違うことにチャレンジしてるんです。90年代のレイブ音楽でよく使われる、スタブシンセを使ってみたかった。これも彼らの音源を聴いて学んだことですね。自分の温度感で制作した曲は、今作では「Unchained」ぐらいです。元々はトーンが暗めなトラックが好きなんですよ。陽キャな曲は自分のDJでもあまりかけてこなかったんですけど、今回はそこで認められたので自信にもなりました。

― シーンが再開した時が楽しみですよね。Charlotte De Witte辺りが反応してくれそうな気もしてます。

R: だといいですねー。埋もれてしまわないか心配でもあるんです。やっぱり彼女クラスのDJがかけるような曲って最新のものが多いので、よほど記憶に残ってないと難しいだろうなと。かけてくれるといいなぁ。忘れないでほしい(笑)。

― これまでにSecond StateからEPを出したアーティストをざっと並べると、錚々たるメンツですよね。最近で言えばShlomi AberやMichael Kleinが名を連ねています。

R: Michael Kleinは天才ですよ…。自分でも凄い並びだと思います。Amelie LensがブレイクするきっかけのひとつがSecond Stateだったので、自分でもそこは意識しました。“広く認知度を上げるため”というのも、このレーベルからリリースしたかった理由のひとつです。自分のカラーを確立するにしても、それ相応の土俵に上がらないとなかなか難しいですし。

― 日本と海外での認識の差を埋めたいですよね。ずっと言われていることですけど、そろそろ本腰を入れて解決すべき問題だと思います。実はそれが今回のWOVENのテーマのひとつでもあるんですけども。

R: 客観的に見ても異質だと思いますね、日本のクラブカルチャーは。いや、クラブカルチャーだけじゃないか。全体的に、日本にはジャーナリズムが欠けている印象があります。基準が客観的なそのものの良し悪しではなくて、その人のキャラクターや関係性などの“情”の部分にあるといいますか。だから構造的に忖度せざるを得ない。それは日本人の良さでもありますけど、その影響で進むはずのものが進まないって場面を最近よく見るような気はします。私も気付いたのがつい最近なので偉そうなことは言えないんですけど、メディアがアーティストを選出するにしても「既に名の売れてる人をみんながカッコイイと思っているうちにピックアップしよう」みたいな印象があるんです。あまりそこに自分たちの意思を感じなくて。自分もそうだったんですけど、生き残るためには“良い人”を演じなきゃいけないんですよね。

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― Risaさんは何がきっかけで考えが変わったのでしょうか?

R: 特に具体的な何かがあったわけじゃないんですけど、嘘をつかないほうが物事は上手くいくってことが分かってからですかね。ここ1~2年ぐらいの話なんですけど、無理に人間関係を維持しようとか広げようとは思えなくなってきて。忖度をしなければ注目されないんだったら、それはもうしょうがないなって。…でも、そういうスタンスになってからのほうが、色々なところから声をかけてもらえるようになりました。曲作りにもDJにもそれは大きく影響してますね。

― 創作の自由度が上がって、なおかつそれがちゃんと評価されたと。理想的なようですけど、本来はむしろそうあるべきですよね。そういう意味では、最近のRisaさんのミックスを聴いてものびのびプレイ出来ている印象があります。セルビアの〈Music Reactions〉から発表されたミックスを聴きましたが、今また新境地に向かおうとしてませんか?

R: それは確実にありますね。やっぱり私にとっては、『How We Dance Again』のリリースが大きかったんです。次は原点回帰と言いますか、自分が元々持っている感覚で曲を作ろうかなと。そのミックスは、まさにそういう感覚で作ったんですよ。Amotikとか、FJAAKとか、本来私はLo-Fiなテクスチャーの曲を作るアーティストに共感するんです。それで言うと、Dense & Pikaも好きですね。彼らのレーベル〈Kneaded Pains〉からは私もリリースさせてもらったんですけど、本当に嬉しかったです。実はずっと彼らが作るキックを参考にしてるんですけど、なかなか近づけないんですよ。私は普段、いわゆる“ランブリング・キック”を多用してるんですけど、彼らのキックはそれではなくて、テールの部分がすごく独特で。…だから次は新境地というか、本来の私のカラーの曲になると思います。

― 楽しみにしております。次回作の具体的なリリースは決まってらっしゃるんですか?

R: 9月にイタリアのレーベル〈Redrum Music〉からEPが出ます。UKで今一番勢いのあるデュオ、KUSPのRemixを含めた4曲入りなので、ぜひ聴いてみて下さい。


■ GH STREAMING – WOVEN by Mixmag Japan –
2020.08.29
@ Contact Tokyo
<イベント詳細>
https://www.contacttokyo.com/schedule/woven-by-mixmag/

 

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