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Seimei 【インタビュー】 「キャラの濃さを受け止めてくれるのがテクノの素晴らしさ」

リリースパーティ直前!TREKKIE TRAXの共同主宰者が、ついに自身初のフルアルバムについて語る。

Mixmag Japan | 23 October 2021

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日本が誇るダンスミュージックレーベル〈TREKKIE TRAX〉の共同主宰者にしてA&R、オーガナイザー、DJのSeimeiが、2021年10月にファーストフルアルバム『A Diary From The Crossing』をリリースした。様々な顔を持つ彼だが、その肩書にプロデューサーが新たに加わった。これまでにも共同制作者としてクレジットされることはあったが、最初から最後まで自分ひとりで作ったのは、これが初めての作品となる。

来年で結成10周年を迎えるTREKKIE TRAXは、今や様々なダンスミュージックの一大拠点だ。Seimeiの実弟であるCarpainterはテクノやUKガラージ、andrewはヒップホップやゴム、Masayoshi Iimoriはトラップやダブステップ…。そのほか国内外から多くのプロデューサーがこのレーベルを通過してきた。

そんな中、満を持してSeimeiが選んだのはハードテクノだった。収録されている楽曲はすべてBPM130超え。90年代の影響を色濃く感じさせるハードテクノアルバムは、一体何を語っているのだろうか?

― まずは〈WET TRAX〉からリリースすることになった経緯を教えてください。

S: きっかけはJET SETのチャートですね。毎月レコードをそれぞれ4枚ずつ選んでレビューを書くっていうのを、僕とCarpainterで7年やってるんですけど、その中でWET TRAXを主宰するCallum Magnumの変名プロジェクト“DJ Genderfluid”のEPを取り上げたことが始まりです。それが昨年の8月。そのリリースはWET TRAXから出たものではなかったんですが、彼の音楽性には強く共感しました。僕個人の中で、同じく昨年の夏ぐらいからハードテクノ / ハウスの再評価が始まっていて、彼がWET TRAXを通してやろうとしていることが限りなく近いと感じたんです。このレーベル、トラック数が5つ~6つで構成されるような、シンプルな曲が多いんですよね。大きな展開も2回ぐらいしかない。改めて、「この感覚でダンスミュージックって成り立つよな」って実感できました。それで僕も曲作りに踏み切れたところがあります。

Melleefresh & dj genderfluid – 「I Want You」

― ハードテクノ / ハウスの再評価につながるきっかけは何かあったんですか?

S: DJってフロアのお客さんがどう感じているのかを考えなきゃいけないじゃないですか。僕の場合はプロデューサーとして名乗るよりも「レーベル(TREKKIE TRAX)のA&Rです」と言うことのほうが多いので、よりそう感じるのかもしれません。だから俯瞰してダンスミュージックを考えたときに、ハードなテクスチャーが増えている傾向は無視できなかった。Nina Kravizや、WET TRAXをサポートしているEllen Allienもテンポが速いSetでミックスを作ってますし。Beatportのチャートを見ても、以前からハードな曲が増えているのは分かってました。で、僕も今はそこに照準を合わせたいなと。

― 仰るように、大きなトレンドとしてハードテクノの再評価が始まったのは2010年代後期からですよね。若干のタイムラグがあるのは個人的にも気になってました。

S: 最初はその流れに乗り切れてなかったんですよ。Hector OaksSPFDJVTSSD.DanNene HDax J…。このへんのDJが台頭してきた2010年代って、TREKKIE TRAXとしてフォーカスしていたのはベースミュージックだったんです。(ミニマル)ハードテクノは個人的にもルーツのジャンルのひとつなので、もちろん情報としては追ってましたけど、ベースミュージックをやってる僕が入る余地はないと思っていました。ただ、LSDXOXOのような、ブレイクスもやりつつハードテクノ(ハウス)にもフォーカスするプロデューサー / DJが現れてからは、「そういうやり方もあるんだ」と考えるようになったんです。パンデミックが始まって家にこもっている時に、そういう状況を一気に整理できました。だから「なぜ今ハードに?」に対する答えとしては、“僕のルーツである90年代テクノと、今まで遠かった現行テクノの距離が縮まったから”というのが近いですね。その中でも一番好きなDJはHector Oaks。彼の影響で僕もヴァイナルでミックスするようになりました。

Lobster Theremin〉の音源とか聴いてても、ジャンルの制約が少なくなったと感じるんですよ。かつてこのレーベルはロウ・ハウスを主軸としていたけれど、今は“レイヴ”っていう更に大きな枠組みの中で活動しているというか。だから彼らが今リリースする音源の中にはブレイクスもあればテクノもあるし、もちろん今までやってきたロウ・ハウスもある。DJやプロデューサーとしての経験則が高まった結果、「俺はこっちに行くぜ」って選択ができるようになってるような気はします。

― なるほど。TREKKIE TRAXに限らず、「アーティストがそれぞれ好きなことをやる」って現象が起きていると。

S: そうですね。やっぱりパンデミックの影響は大きいと思います。現場がなくなって、より制作に没頭できるようになった。で、僕も曲を作ってみて改めて感じたことなのですが、プロデューサーにとって「制作」は最も自分のルーツが反映されますね。TREKKIE TRAXのメンバーも、確かに主軸はベースミュージックでしたが、細かく分けるとルーツはまたそれぞれ別だったりします。つまり見方を変えると、各自のルーツにそれぞれ向き合った結果、これまでのTREKKIE TRAXとは違ったベクトルの音楽が出てきているとも言えそうです。そういう意味では、Carpainterの存在も大きかった。あいつは僕よりも早い段階でテクノに向き合っていましたから。TREKKIE TRAXから『Super Dance Tools Vol.1』というアルバムを2020年の1月にリリースしたんですが、この作品の評判が良かったのが励みになりました。

TwitterでもCarpainterさんからの影響は仰ってましたもんね。「Supernova」をリファレンスにされてましたけども、具体的に何かアドバイスはもらってたんですか?

S: 1曲できるごとにレビューしてもらってましたね。キックの質感とか全体のバランスとかを中心に。あいつが相談相手として最高なのは、僕とは目指すゴールが若干違うところなんです。だから相談してもまるっきり同じ音楽にはならない。お互いルーツは90年代テクノとか、卓球さんが主催していたレイヴイベント「WIRE」なんですけど、今のアウトプットが少し違うんです。Carpainterは、さっき例に出した現行ハードテクノじゃなくて、どちらかと言えばDance Systemみたいなプロデューサーに近いと思います。

Carpainter – 「Supernova」

― 話は変わりますが、Seimeiさんは以前から場所への思いが人一倍強い印象があります。今作に収録されている「Another Dimension」は渋谷にある同名のベニューを指していますか?リリースパーティが行われるのもこの箱ですし、きっと何か深い意味が…

S: そんなに深い意味はないですね(笑)。初めてこの曲をかけたのがAnother Dimensionで、その時その場にいた人たちが褒めてくれたからっていう…。あとこの曲がトリッピーな内容なので、言葉の意味としても何となく合うなと。…ただ、場所への執着が強いっていうのは本当にその通り。今回のリリースパーティにはTakami(REBOOT / BUZZ×3)さんにゲストDJとして出てもらいますけど、世代や生業を超えられる場所としてクラブはあると思ってるんです。例えば、年齢が大きく離れているSkreamとGoldieが一緒のパーティに出ていたり、Ellen Allienのリミックス盤にニューカマーのHadoneが参加したり、この界隈にはそういった世代を超えた連動が多々見られる。僕らが以前PART2STYLEを呼んで「BASS GORILLA」っていうパーティを開催したのも同じ理由ですね。今回のアルバムはすべてクラブトラックですが、そういう場所への思いは確かにあります。

― 音楽性とは別のベクトルで場所(クラブ)に関する原体験も重要な要素であると。ルーツに向き合うという意味では、先ほどのお話と地続きかもしれませんね。

S: そうですね。さっきも名前を出しましたけど、僕のルーツに「WIRE」は大きく関係していて。クラブミュージックをちゃんとしたサウンドシステムで聴いたのは、このイベントが初めてだったんです。「WIRE」ではアーティストの出番が回って来ると、そのDJの名前がライブを始めるタイミングでモニターに表示されるんです。で、名前の横に拠点としている街が明記される。Jeff Mills(Detroit)とか、Ellen Allien(Berlin)みたいな感じで。あれがなんか、めっちゃ好きだった(笑)。今言われて思い出したんですけど、そういう原体験は確実に僕の軸になってます。

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― 思えばアルバムのタイトルも“A Diary From The Crossing”ですし、まさしく場所は大きなテーマだったように思われます。

S: イメージとしてはハチ公前のスクランブル交差点(crossing)でしたね。曲を作ってるときはそんなふうに感じませんでしたが、1曲目の「Don’t Bend My Life」のタイトルは街への思いから来てます。コロナのせいでベニューは経営が危うくなるし、仕事を失う人も出てくるし、自分が主催していたイベントも飛ぶし…。大切なものがどんどん無くなっていくことに対する怒りがありました。さっき言った「BASS GORILLA」も、パンデミックの煽りを受けて閉店してしまったLounge Neoで開催させてもらったパーティでしたし…。だから本当に、このアルバムは精神的にも身体的にも場所由来だと思います。

― 歌詞がないゆえの豊かさと言いますか、テクノにはまさに怒りのような強い感情を表現できる機能性がありますよね。

S: まさに。さっき僕が挙げたDJの名前を考えても、みんなそれぞれ大事にしていることが違うと思います。みんなキャラが濃いですよね(笑)。時代がそうさせているのかもしれないけど、クィアなアイデンティティを持つ人もいれば、パンクなマインドを持つ人もいる。様々なキャラクターを受け止めるだけの器のデカさがテクノにはあるんじゃないですかね。僕が好きな90年代テクノはそういうカラフルな側面を持っていましたが、今のテクノにもその素晴らしさはあると思います。それはシーンの傾向やトレンドを超えた、普遍的な面白さだと感じますね。

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― アルバムを制作したことで、A&Rやオーガナイザーではない立場から俯瞰できるようになったこともあるかと思います。その上で、今後の展望をお聞きしたいです。

S: もっと曲を作りたいです。やっぱり反応があると嬉しいですね。これまでにもレーベルの作品に関する感想をA&Rとしてもらってたんですが、より直接的にフィードバックのありがたみを感じます。コロナ禍で辛いことが山ほどありましたけど、プロデューサーとして音楽に接することができたのは数少ない幸せのひとつでした。そしてこの感覚はA&Rとしてアーティストと関わる上でも大切にしたいです。

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Text_Yuki Kawasaki

■ Seimei 『A Diary From The Crossing』
Format: Digital / Stream
Label: WET TRAX
Tracklist:
1. Don’t Bend My Life
2. Kaleidoscope
3. Log In Log Out
4. Another Dimension
5. Clap Your 808
6. Wanna Make You Dance
7. HABK
8. Blizzard
9. Minimaxima
<リリースURL>
http://hyperurl.co/pthp59

 

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