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SNTS 【インタビュー】「それはつまり、『無関心よりも共感を』ってわけだよ」

ダークテクノの急先鋒による最新フルアルバム、間もなくリリース!

Mixmag Japan | 3 December 2020

SNTS, SNTS インタビュー, SNTS Contact, mixmag

12月4日(金)に最新アルバム『The Unfinished Fight Against Humanity』のリリースが控える、覆面プロデューサー / DJのSNTS。ADEを筆頭としたメガフェスティバルにも招聘されているが、ドイツ出身の男性であること以外素性が知られていない。昨年のADEにおける「Intercell」でPaula Templeと行ったb2bは、いまだに語り草だ。 日本へも度々来ており、直近では2019年の8月にcontactで開催された「Modest」に出演している。

プロデューサーとしても非常にフレキシブルで、これまでにハードなフロアチューンだけでなくビートレスで内省的なトラックも世に放ってきた。そして今回、彼が提示するのは現在の社会の有様を映し出した“ドキュメンタリー”的な1枚である。権威主義や陰謀論がはびこる世の中において、我々にできることは一体何か。怒りと諦観と悲しみが込められた、フロアライクなテクノチューンがここに。


― 初めに、『Unfinished Fight Against Humanity』の制作過程について教えていただけますか?

SNTS: このアルバムの制作は数年前から始めていたんだけど、ギグスケジュールが忙しくてなかなか完成させることができなかったんだ。ツアー中は制作の時間を確保するのが難しくてね。また、僕は自分自身にとても厳しい人間なので、ひとつの曲を完成させるのに時間がかかる方なんだ。プロジェクトがスタートして、予定の時間を超えても完成させられないことも結構あるよ。慎重になり過ぎるのも良くないね。今回はよりフロアを意識した内容にしたくて、エネルギッシュなプロダクションが多めになっている。当初は色んなDJにクラブで使ってもらうことを目的にしていたからね。でもようやく完成したと思ったら、世の中が一変してしまった。皮肉なことにね。

SNTS, SNTS インタビュー, SNTS Contact, mixmag

― あなたほど頻繁にLPをリリースするテクノプロデューサーも珍しいと感じます。シングルやEPで作品をリリースするアーティストが大半な昨今、“アルバム”というフォーマットを選ぶ理由はありますか?

SNTS: テーマ性を提示しやすいんだよ。これまでにリリースした僕のアルバムを振り返っても、やはりコンセプチュアルなところはあったと思う。『The Rustling Of The Leaves』は孤独をテーマにした映画的な作品だったし、『Losing Sight』も全体的にアブストラクトで生々しい質感のLPだった。例に漏れず、『Unfinished Fight Against Humanity』にもある種のテーマ性があって、今回は人間の有り様を問いたかったんだ。僕らの社会は争いごとに慣れきってしまって、その原因はもはや断定不可能。各々の信じる正義が違い過ぎるよ。だから僕は、ある種の問題をひとつの側面から断罪することはもうできないと思ってるんだ。世の中がこうなってしまった理由が、権力欲なのか承認欲求なのか、はたまた性欲なのか生存欲なのか…、僕には分からない。ゆえに今作では事実を並べることしかできなかったんだ。それはすなわち、陰謀論に操られ、好き勝手に相手を罵倒し、あらゆる倫理観が歪められてしまった僕ら人間の姿だ。

SNTS – 「Defence Mechanisms」

― 社会がかつてないほど複雑化しているという話ですね。

SNTS: 具体的には宗教や政治思想のイデオロギーの違いが事の発端だとは思うんだけど、そこまで分かってるのに誰も今起きてる問題を解決できないんだよ。その間に課題の数だけが増え続けるっていう。目の前の人を排除するよりも尊重したほうが簡単なのに、なぜか人間にはそれができない。僕が“分からない”って言ったのはそういう話で。そういう諸々の問題には得てして無関心でいたほうが楽だけど、そうも言ってられないでしょ。まさしく、“Empathy Over Indifference(無関心よりも共感を)”ってわけだ。

SNTS – 「Empathy Over Indifference」

― 「Ego Death」についてもお聞かせ下さい。本作中で最もエネルギッシュで、MVも過激です。他の曲と同じくドキュメンタリー的な側面を持っているとすれば、「Ego Death」は何を反映していますか?

SNTS: 確かにこの曲はアルバムの中でも特別な1曲だ。サウンドが激しさのピークに達した時、突如ギターの音が現れる。それが新たな幕開けというか、開放的なモチーフになればと思ったんだ。そこでリスナーが新たな自己を発見し、様々なしがらみから解放されてほしい。…だからまぁ、事実を並べただけじゃなくて、祈りのような気持ちもあったかもしれないね。そしてもちろん、そのベクトルは自分自身にも向けられている。

SNTS – 「EGO DEATH」(年齢制限があるためYouTubeでのみ視聴可能)

― あなたはパンデミックに関係なくマスクをつけてプレイしていますが、そのスタイルはあなたの作家性に由来するものですか?

SNTS: いや、音楽には関係ないよ。単純に僕がシャイなだけ(笑)。注目されながら人前で何かやることに耐えられない。活動初期のころはマスクなしでギグに挑んだわけだけれど、死ぬほど緊張した。マスクや衣装で身を覆うと、気持ちが楽になるんだよ。僕は孤独で内気な人間だけど、愛を与えたり感じたりするのは好き。人付き合いって難しいよね。

― 匿名性があなたの作品に影響したことはありますか? 姿や正体を明かしていないからこそ、実験的なアルバムを制作できるなどは…。

SNTS: それは無いかな。むしろ逆だね。“マスクをしてるダークテクノのプロデューサー”っていうキャラクターが出来てしまって、匿名性を感じたことはないんだ。むしろマスコットっぽく見えてるからこそ、他のアーティストよりも振り幅が小さいとすら感じてるよ。正直それに関しては、本当に自由なスタンスが許されているアーティストを見ると羨ましいとすら思う。作品の汎用性を持つことこそが、すべての芸術家が目指すべきものなんじゃないかな。

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― あなたはSNTS Recordsと Sacred Courtの2つのレーベルを所有しておりますが、何かコンセプトがあって使い分けているのでしょうか?

SNTS: Sacred Courtを立ち上げたのは、才能あるアーティストをフックアップしたかったからなんだ。才能あるプロデューサーやDJは広く知られるべきだし。2016年に創立して以来、インダストリアルなテクノから実験的なサウンドまで様々な作品をリリースできたと思ってるよ。パンデミックの前に何度か「Sacred Court Night」を開催したんだけど、いずれも素晴らしかった。実は2020年にも予定していたんだけど、来年こそできるといいな。

― ヨーロッパではまたもやロックダウンが行われると聞きました。ドイツやUKのクラブですらも経営が危うくなっているという噂が、日本にも届いています。あなたの周りのご状況はどうですか?

SNTS: やっぱり大変だよ。法律や政治家に支配されているような気持になるけれど、そうならざるを得ない状況なのが苦しいよね。クラブやライブハウスを閉めているのはオーナーの力不足じゃないのにさ。一刻も早くこの騒動には過ぎ去ってもらいたいよ。というか、音楽や映画や演劇は、こういう時こそ必要だよな。ドイツに生まれた人間として言うけど、人間には芸術が不可欠だね。

― あなたは度々日本を訪れていますが、この国にどういう印象を持っていますか? 私は昨年の8月に渋谷のContactで行われたパーティにおりましたけども、あなたのギグは最高でした。

SNTS: ありがとう!常々移住したいと思うぐらいには日本が好きだよ。魔法のような国だと思ってる。圧倒的な食文化に建築物、素晴らしい歴史と文化。すべてに魅了されている。日本でのギグはどれもよく覚えているよ。DOMMUNEでの経験も刺激的だったし、僕の過去最高のパフォーマンスは大阪でやったDJだし。実家の小さな部屋で粛々と音楽を作ってた僕が、日本でギグをやれる日が来るとは思わなかったよ。また行けるといいね。


Interview_Kimya Khayat, Yuki Kawasaki
Edit_Yuki Kawasaki

■ SNTS 『Unfinished Fight Against Humanity』
2020.12.04 Release
Label: SNTS Records
Tracklist:
1. An Era Of Absurdity
2. Bacchanalia
3. Temporary Pleasure
4. Defence Mechanisms
5. Repressive Society
6. Ego Death
7. Power In History
8. Judged By Uncertainty
9. Empathy Over Indifference
10. Hopeless
Bandcamp

 

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