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Squarepusher 【インタビュー】 「いなくなってしまった親友に対する感謝の贈り物として…」

原点回帰の真相

Mixmag Japan | 17 February 2020

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昨年30周年を迎えたUKの老舗レーベル〈Warp Records〉。日本でも3都市を巡るアニバーサリーパーティが開催されたが、その中心にはもちろん、看板アーティストであるSquarepusherことトム・ジェンキンソンがいた。自身の楽曲を使いまくった圧倒的ドリルンベースセットを展開し、フロアを狂宴へと導いた。今年も4月から名古屋を皮切りとするジャパンツアーに繰り出すことが決定している。

それに先駆けて、彼は1月31日に新作アルバム『Be Up A Hello』をリリースした。原点回帰的でレイヴィーなプロダクションが耳を引き、まさしく昨年のアニバーサリーパーティで披露されたドリルンベースに寄った内容である。その予測不能性は紛いなき“Squarepusher節”と言えよう。今回のインタビューでは、原点回帰の真相を中心に話を聞いた。


‐ 前作の『Damogen Furies』とは真逆の方向に行った印象があります。当時使用していた自作のソフトウェアも今作ではすっかり出番を失い、アナログ機材を多用されていますよね?

Squarepusher: そうだね。今回はフィジカルなシンセサイザーであったり、ミキサーやエフェクト・ユニットを使ったよ。ひとつひとつの機材を配線で繋いでいった。と言っても、すべてがアナログ機材ではなくて、デジタルも混ぜて使ったけれども。で…確かにそれは、Squarepusherとしての前作『Damogen Furies』でやったこととはまったく正反対なわけだ。あのアルバムは今回とは違って、ほぼすべてと言っていいくらいソフトウェア内で実現されたものだったからね。そんなわけで、今作『Be Up A Hello』はそれに対する反動でもあるよ。

Squarepusher – 「Vortrack」

‐ 2010年代のあなたは、何かを試すようなアプローチを取っていたようにも感じています。マシーンによって演奏される『Music For Robots』をリリースしたかと思えば、2017年にはShobaleader Oneで人力エレクトロニック・ミュージックに挑みました。今作にそれらの経験は反映されていますか?反映されているすれば、どのように反映されているでしょうか?

Squarepusher: 色んな側面があるんだ。そのひとつの側面から話をすると、今作に収録された音楽を生み出すのに、“音楽的なハードウェアを使用する手法に戻ろうとしていた”ということが言える。その上で、つい最近パイプ・オルガン向けに書き下ろした楽曲を収めたアルバム『All Night Chroma』をJames McVinnieと共作でリリースしたんだ。その流れで、僕はアナログな機材を用いた創作に立ち返りたいと非常に強く感じた。その「機材」というのは、自分がエレクトロニック・ミュージックを書き始めた頃に、かつて90年代に自分が使っていた、そういう音楽機材に近いものでね。あの頃にほぼ近い機材を使ってやりたい、そう思ったわけ。Shobaleader Oneに関して言えば、あれはまた別物で、あそこでの僕は“バンド”として機能している。でも、根本的な部分ではどれもみんな関わり合っているんだよ。どれもが僕にとっては大切だし、かつ、やる価値があるものと思える。

James McVinnie and Tom Jenkinson – 「Voix Célestes」

‐ ひと口に“回帰”と言っても、このアルバムはかなり局地的かつ具体的な印象を受けます。ざっくりした“90年代”ではなく、はっきりとあなたが辿ってきた音楽的な道筋が見えるといいますか。

Squarepusher: 僕は去年、大の親友のひとりを亡くしたんだ。彼は90年代初期に僕と散々一緒に音楽を作った、そういう奴で。学生時代の友人で、本当によく一緒に過ごしたよ。…その友情の基盤の多くを占めていたのは、僕たちが共有していた音楽愛だった。ただ仲良しだっただけではなく、音楽を一緒に聴いた仲だったね。もちろん他の友人たちも含まれていて、みんなで遊びに繰り出しては、音楽を聴きにライヴ他のイヴェントに行ったり、クラブに一緒に出かけたんだ。だけど、中でも彼と僕は特に仲が良かった。だから、「この音楽ハードウエアをどうやって操作すればいいんだろう?」と、ふたりであれこれ取り組んでいたわけ。というのも、当時はエレクトロニック・ミュージック制作向けの機材が自分たちの手に入った、ごくごく初めの時期だったから。友人は機材のテクニカルな側面にとても興味を抱いていたし、だから僕と彼は、色んなアイディアを話し合って長い時間を過ごしたんだ。それこそが僕の原点だよ。90年代初めの、1992年か1993年頃にとても大きな役割を果たした経験だったんだ。彼が亡くなったのは、本当に、大変悲しい出来事だった。で…それがあったゆえに、僕はこの作品を、実に喜びに満ちた、なんというか、彼を祝福するものにしたい、そう思わされたんだ。かつ、彼と僕が一緒にやったことも肯定するような。というわけで、今回はこうした古い機材に回帰したんだね。その中には、90年代に僕が彼と音楽をやっていた時に使っていたものも含まれている。だからある意味、僕は彼に捧げるレコードを作ろうとしていたんだ。それを、いわば彼に対する感謝の贈り物として、ポジティブな形でやろうとしていたっていうわけさ。

Squarepusher – 「Nervelevers」

‐ 現行シーンの動向などは全く関係がなかったんですね。サウンドプロダクションでなく、「手法」で友人を祝福したと…。しかし音色としては不穏なところもありますよね。アルバムの最後を締めくくる「80 Ondula」のダークなプロダクションも相まって、本作には示唆的な印象も受けました。それはまるで、ディストピア映画のサントラのような…。

Squarepusher: なるほどね。でも別にテーマ性や何かを想定して、というものではなかったな。あの曲は、僕がある音色に魅了されて作られたものなんだ。ヤマハの「CS-80」というキーボードを使ったんだけど、それを使うと鳴らせる音があって。初期に発売されたアナログのポリフォニック・シンセサイザーなんだけど、非常に洗練されたサウンドを出せてね。で、“サントラ的”というのはある意味で正解だ。というのも、この楽器は著名な映画音楽家が使用したことでよく知られていてね。たとえば、有名どころではVangelisとか。彼が担当した『ブレードランナー』のサントラでは、CS-80が多用されているんだ。で、この機種にはリング・モジュレーターっていう機能が備わっていてね。文字通りサウンドの振幅をモジュレート(変調)するものなんだけど、サウンドをメタリックな性質にコントロールできるんだ。というわけで、僕はまず、そのリング・モジュレーターを使って大きな響きの和音を鳴らすところから始めたんだけど、それをやるとコードが一種アトーナル(無調)になるというか、ピッチが聞き分けられなくなる。それでも、力強いコードであるのは確かなんだけど。「80 Ondula」は基本的にはそこからスタートたんだよね。サウンドであれこれ実験するところから始まった曲なんだ。

‐ 必ずしもサウンドとコンセプトは一致しないわけですか。劇伴と言えば、あなたは2018年にCBeebies(日本で言うEテレ)の「Daydreams」にも楽曲を提供しています。こちらはかなり祝祭的なニュアンスが強いですが、『Be Up A Hello』と関連はありますか?

Squarepusher: どうだろうな。自分では、あのプロジェクトはSquarepusherの音楽としては認識されにくいのではと思っている。でも僕の音楽をよく知る人があれを気に入るかどうかは問題でなく、機会として重要だった。“Squarepusher”という名の下に既にかなり広いレンジが存在しているんだし、何かを提示するベストな方法は何だろう?っていうのは、見極めるのが難しくもあってさ。で、それはむしろコマーシャル面での問題みたいなものであって。で、その手の商業的な懸案事項は、スタジオでの僕は一切気にしちゃいない。僕にはどうでもいいことだよ。その点が僕に関わってくるのは唯一、レーベルに「さて、これをどうしよう」と相談する時だけだし、彼らにはその作品を最良の形で提示するにはどうすればいいかのアイディアが色々とあるわけで。そこを考えるのは、僕の役割ではないね。そういったことは本当、僕は全く気にしていないから。Squarepusher名義であろうが、トム・ジェンキンソン名義であろうが、マジでどっちでも構わない。僕にとって大事なのは、アイディア面における誠実さ、それに対する熱意、そしてそれらを完全に実現するためのコミットメント。そこだね、一番重要なのは。

Squarepusher – 「Terminal Slam」


Interview_Yuki Kawasaki

■ Squarepusher 『Be Up A Hello』
LABELS: Warp Records

■ SQUAREPUSHER JAPAN TOUR
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イベント詳細

 

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