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FEATURES

Tobias. 【インタビュー】 「音楽のリテラシーを持っていない人のことが羨ましくなることがある」

「Osutgut Ton Series」第二弾!

Mixmag Japan | 24 June 2020

Tobias., Tobias インタビュー, Ostgut Ton

Photo by © Stefan Freund

ドイツの伝説的プロデューサーFrank Farian(Boney M.)のスタジオエンジニアとして腕を磨いたのち、本格的に音楽制作の道を歩み始めたTobias.ことTobias Freund。彼はひとつのインスピレーションに固執せず、テクノやアンビエント、アシッド、様々なプロダクションに挑戦してきた。表現方法についても多様である。DJ Setだけでなく、Live Setにも果敢に挑み、最近では妻のValentina Berthelonと共に「Recent Arts」と名付けられたオーディオビジュアルプロジェクトにも精を出している。

ドイツを代表するレーベル〈Ostgut Ton〉にはカッティングエッジな作家性を持つアーティストがたくさん所属しているが、Tobias.はその中でも異彩を放つ。彼はいつだって自由なのだ。今年の2月にリリースされた最新EP『1972』ではフロアライクなテクノを聴かせてくれるが、そこには打算や計画性はない。テクノロジーやアートと良好な関係を築いてきた彼だが、その心にあるのは純粋な音楽への愛と好奇心であった。


― Mixmag Japan編集部の間でも、あなたのEP『1972』は大好評ですよ。複雑さと軽妙さの両方を兼ね備えた作品だと感じるのですが、コンセプトは何かあったんですか?

Tobias.(以下、T): 具体的なコンセプトはないんだ。元々はOstgutのためにアルバム制作を始めたわけだけれども、彼らの意向で今年はフルアルバムのリリースはしないことになったんだよ。でも僕は、その代わりにEPを作りたかった。で、どうせ作るならと、作りかけのアルバムの中からベストなものを選んだんだ。元々のアルバムの構想は、僕が子供の頃から集めていた録音テープの断片を集めたようなやつで。そういう既存の音源を、全く新しいサウンドとしてリスナーに聴かせること可能だろうか?と考えたわけだね。でも“新しいサウンドを届けようとする”って意味では、毎回そこにチャレンジしているわけで、それはコンセプトと言うより僕のアーティストとしてのスタンスだね。

― 「Electric Storm」についてお伺いしたいです。アッパーな4つ打ちですが、上に乗っている音については他に例を見ないニュアンスですよね。アイデアはどこから得たのでしょう?

T: イギリスのバンド、White Noiseが大きなインスピレーションだったんだ。タイトルも、彼らが1969年にリリースしたアルバム『Electric Storm』からそのまま拝借したよ。オマージュとして、この曲を捧げたかった。それぐらい今回は彼らの影響が大きい。あのバンドの曲はいつ聴いても新鮮に聞こえるよ。彼らもサウンドコラージュ的な手法を音楽に取り入れてるんだけど、レイヤーの重ね方が独特なんだよね。DAWはもちろん、ハードウェアもろくに存在しなかった時代にあんな音楽を作ってしまうんだから、僕らの立つ瀬がないよ(笑)。主に僕は、声のサンプリングに関して彼らの手法を模倣してみたんだ。悪魔的というか、とにかくダークなニュアンスで音のレイヤーを作ったつもり。

Tobias. – 「Electric Storm」

― 曲の着想を他のアーティストの作品から得ることはよくありますか?

T: そうだね。他のミュージシャンと比べても、僕は音楽そのものからインスピレーションを得ることは多いと思うよ。自分が本当に好きなアルバムのタイトルやアーティストの名前を、自分が作った曲の名前に反映させることもある。「Electric Storm」に限らず、そういう例はこれまでにもいくつかあるね。

― 本作ではソフトウェアのプラグインでなく、実際にハードウェアを使って制作されたそうですね。こちらについても詳しくお聞きしたいです。

T: 基本的なプロセスとして、まずは自分が所有するエフェクトユニットやドラムマシンを鳴らしてみる。ループさせたり歪ませたり、あらゆる方法を使って音の鳴りを検証するんだ。で、ひとしきり固まってきてから加工して、微調整しながら曲の組み立てを行ってゆく。自分の頭の中で鳴ってる音を再現するのは、ハードウェアのほうが都合が良い。自分のさじ加減で直感的に操作できるからね。最近ではソフトウェアも使ってるけど、それ以前は本当にハードウェアだけだった。エフェクトユニットやドラムマシンでジャムってると何かしらできる。そういうプロデュースの仕方だったね。僕はキーボーディストではないから、その2つの機材でどこまで出来るかが重要だったんだ。

― 機材の方法論に関しては、あなたがサウンドエンジニアとして働いていた時代に培ったものなのでしょうか? そしてエンジニアだった過去は、今のプロデュースにも影響がありますか?

T: 間違いなく関係してるだろうね。けれども、それに関しては僕はある種の“呪い”だとも思っていて。音楽のリテラシーも機材の知識も全く持っていない人のことが、たまに羨ましくなるんだよ。彼らは音楽をフラットに考えることができるわけで、僕らにはないチャンネルが頭の中にある可能性があるんだ。この機材はこういう性能で、この音楽ジャンルの成り立ちはこうで…とは考えない。すべての意味を理解していないほうが、独創的な発想に繋がることだってあるんだよ。……でも僕はもうそこには戻れない。疑いの余地がなく、僕はギークな人間だ。僕がどのようなものに影響されたかも言語化できるし、あるべき場所に適切な周波数を置くことに安心感を覚える。曲が完成するたびに達成感はあるけれど、その都度暗い気持ちが一瞬だけ頭をかすめるんだ。

Tobias. – 『1972』

T: 話は戻るけど、作品だけでなくミュージシャン自身から影響を受けることもあるよ。現在はチリを拠点に活動するAtom™(生まれはドイツのフランクフルト)とは一緒に音楽を始めた仲なんだけど、彼からも多大なインスピレーションをもらってる。彼が作る作品はどれも素晴らしいし、一緒にLive Setをやっていても楽しい。彼のプログラミングは何と言うかな…、とても人間的なんだよ。僕らがやっているような音楽は無機質なものに思われがちだが、彼の場合はそうではない。僕はそれがとても好きなんだね。

― Live Setはあらかじめ具体的にセットを計画しておくのですか?

T: ある程度、ね。ただし大部分はベニューやオーディエンスに依存するから、インプロビゼーションのための余白は常に残してあるよ。しかし考えてみればそれもサウンドコラージュの考え方に近いかもしれないなぁ。音と音の組み合わせというか。ライブを進めてゆく上で構成されてきたグルーヴに、どんどんパーツを足してゆく感覚だ。

― あなたはテクノロジーとの付き合い方にも非常に長けている印象があります。2014年に受けたTelekom Electronic Beatsのインタビューでは、「テクノロジーが最大のインスピレーションだ」とも仰っています。その考え方は、自身がイノベーターであると自覚することによって至ったものなのでしょうか?

T: いや、そうは思わないね。もちろん、テクノロジーと音楽の関係性は常に探求しているよ。音楽は僕の楽しみのためだけにやっているのであって、誰かのアイドルになろうとか、そういう考えは全く持っていない。その延長線上で評価されるならそれは嬉しいけど、イノベーターって立場ではないな。それは僕の役割じゃない。

― 最後に、発表できる範囲で今後のリリース予定などを教えてください。

T: 実はもう完成しているアルバムがあるんだけど、それは僕が好きな80年代のバンドのカバー曲を集めたものになってるんだ。10曲ほど収録される予定だよ。このアルバムには4、5人のシンガーが参加してるんだけど、早くみんなに聴いてもらいたいよ。いずれの曲も1977年~1983年の間に作られたものなんだけれども、この5年間はエレクトロニック・ミュージックを語る上で非常に重要な期間だったんだ。もちろん、僕がアーティストとして成長する上でもね。Cabaret VoltaireやThrobbing GristleといったUKのバンドを聴いていた時期だ。最もシンプルな機材を使って音楽を始めた実験的なインダストリアル・バンドこそ、僕にとって重要な存在だった。


Interview_Kimya Khayat
Edit_Yuki Kawasaki

■ Tobias – 『1972』

Tobias.
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Ostgut Ton
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Bandcamp

 

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