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FEATURES

人気パーティー「trackmaker」に見るクラブシーンの未来

複雑化と細分化の果てには、真っ白な未来がある。

Mixmag Japan | 25 February 2019

複雑化と細分化の果てに…。

SOUND MUSEUM VISIONで開催されている人気パーティー、「trackmaker」。ここではあらゆる種類のダンスミュージックが鳴らされ、さながら細分化した音楽シーンをそのまま可視化したような、そんな趣がある。昨年12月29日にパーティーとして3rdアニバーサリーを迎えたが、その裾野は広がってゆく一方で、どんどんカオスになってゆく。DJだけでなく、シンガーもいればラッパーもいるし、打ち込みのLive Setを主体とするアーティストも散見される。本稿では、当日の模様を振り返ると共に、クラブシーンの現在と未来について考える。

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SIRUP

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VaVa

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YUC’e

もちろん、それはオーディエンスにも反映されている。たとえば「WELCOME TO ACID HOUSE」と書かれたパーカーを身にまとう人が、YonYonがかけるKendrick Lamarの「HUMBLE.」やchelmicoの「Love Is Over」を聴く場面に度々出くわすのだ。もはや現在のファッションや音楽に方程式めいたものはなく、個々人の趣味嗜好が尊重される。シーンを概観する上では大変分かりにくい時代であるが、方程式がないのであれば立式は自在である。自由に着飾れば良いし、好きな音楽を聴けば良い。これまでの定型が通用しない状況はすなわち、自分たちの手で再構築できるということでもあるのだ。

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GAIA(VISIONのメインフロア)のDJたちのプレイにも、そのようなカオスは見受けられた。先ほど名前を挙げたYonYonのDJを今一度振り返る。「HUMBLE.」でオーディエンスを引き込んだのち、彼女は怒涛のビート攻めに打って出た。4つ打ちに終始することなくアブストラクトに展開し、ヒップホップを中心としたビートミュージックを追究。TENG GANG STARRの「Dodemoii」、SeihoとKid Fressinoによる「Cherry Pie」、Ciaraの「Level Up」を繋いでいった。この3曲だけで様々な音像が立ち現れる。後日話を聞くと、この時のプレイ内容は「場面」であったそうだ。他のDJがあまりにも4つ打ちをかけるものだから、自分は違うことを。それを直前に決めたらしい。以前より彼女はハイブリッドなタイプのDJであったが、ここへ来てそれが確固たるスタイルとして完成しつつあるようだ。まさしく、カオスな時代のプレイヤーである。

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YonYon

そしてもうひとり、この日は時代を象徴するDJがいた。GAIAのラストを飾ったokadadaだ。すべての音楽がフラットな状態にあると仮定したとき、それは他ならぬDJの腕の見せ所なのである。文字通り、“聴かせる”のだ。それは単純に良い曲を選ぶことを意味しない。ドロップのタイミングや曲を聴かせる順番、フロアの状況を加味し、最適解を導いてゆく。

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okadada

その能力にかけては、彼は天賦の才能を持っている。どんな曲をかけてもクールに仕上がるし、“フロアライクでない”トラックですらも彼の手にかかればたちまちダンスミュージックになってしまうのだ。楽曲の魅力を最大化するだけにとどまらず、新たな魅力まで見つけ出す。この日のDJで言うならば、中村佳穂の「きっとね!」。いや、確かにこの曲にはダンスミュージックとして解釈できる要素はあるが、これをハウスチューンの中に放り込む意外性は特筆すべきだ。リスナーとしてのテンプレートを華麗に覆された瞬間であった。

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朝5時半ぐらいのokadadaとYonYon。この日の閉演時間は5時の予定であった。

そしてクロージングの時間を大幅に過ぎ、okadadaが最後にプレイしたのはEVISBEATSの「ゆれる」。なかなか帰らない客に向かって、半ば面倒くさそうに、それでも半ば嬉しそうに、音楽を放り投げた。当然ながら「ゆれる」をかける予定はなかったはずだが、それでもまるで映画のエンディングのような感慨があった。完璧なストーリーテリング。

EVISBEATS feat. 田我流 – 『ゆれる』

“音楽不況”だとか“クラブに人が来ない”だとか言われているけれど、この状況を見ているとむしろ「これから」な気がしてくる。音楽もクラブシーンも、まだまだ面白くなれるはずだ。複雑化と細分化の果てには、真っ白な未来がある。

VISIONから出ると、渋谷はすっかり朝だった。


text_Yuki Kawasaki

■ trackmaker
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3月1日(金)
@ 渋谷 SOUND MUSEUM VISION
<イベント詳細>
trackmaker

 

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