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ULTRA JAPAN 2018を再考する。RESISTANCEで起きた“縦ノリ”は―。

地殻変動は起きている。

Mixmag Japan | 30 November 2018

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すっかり世間は冬の装いである。振り返ると今年の夏はダンスミュージックシーンにおいて重要な出来事が多々あったように思う。フジロックのUNFAIRGROUNDに、ソニックマニアのelrow、そしてULTRA JAPANのRESISTANCEステージの台頭。このステージに関してはULTRA JAPANの開催初期から存在していたが、いよいよその存在が認識され始めているように思う。「セカンド・サマー・オブ・ラブ」に代表されるレイヴカルチャーが、かつての形を変えながらリヴァイヴァルしている。

この記事では、今年のULTRA JAPAN(主にRESISTANCE)について振り返ろう。そこで起きたのは、平成最後の夏の地殻変動――。


最初に、今年のメインステージの様子から述べたい。

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トリビュートの意味があったAviciiを除くと、今回のULTRA JAPANのメインステージで最もかかったのはカルヴィン・ハリスの『One Kiss』(Remix含む)ではなかろうか。

Calvin Harris, Dua Lipa – 『One Kiss』

2010年に入ってから凄まじいスピードで成長した「EDM」だが、細分化する速度も尋常ならざるものがあった。2010年代前半、音源のみの売り上げが軒並み下がる一方、このジャンルだけは右肩上がりを続けていた。しかしながら、いつの時代もスターシステムには「消費」という大きな代償がつきものである。より多くのアイデアを求められるプロデューサーたちは、様々な領域からアイデアを引用するようになった。そうしてEDMは細分化していったのである。

Kygo, Selena Gomez – 『It Ain’t Me』

いくつか例を挙げるならば、Kygoを筆頭としたスローテンポなトロピカルハウスの台頭。さらには、アーミン・ヴァン・ブーレンのトランス回帰。彼らの音楽は広義では“横ノリ”とまとめられよう。限りなく縦ノリのマナーであったEDMにおける、重要な変化である。シーン変革の中心地は間違いなくここだ。これについては先日Webで公開されたソニックマニア「elrow」のインタビューで、DARUMA & JOMMYが詳しく語っているのため、そちらを参照していただきたい。

で、それらの勢力が確認されるよりずっと前から、ストイックにテクノやハウスによる“横ノリ”を追求していたのがRESISTANCEステージであった。

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冒頭で述べたRESISTANCEステージの変化をはっきりと認識したのは、1日目の昼下がり。石野卓球の出番の時であった。日本を代表する、圧倒的な技量と知識を誇るテクノマエストロ。この日のベストアクトはジョン・ディグウィードとニコール・マウデイバーのB2Bであったが、海外のDJも含め対抗できていたのは石野卓球だけではなかろうか。

そんな彼のDJのとき、メインステージから若いオーディエンスが流れてきて「縦ノリ」でテクノを聴いていたのである。確かにフェス仕様のミックスではあったが、それでもエッジの効いた選曲であった。BPM127前後で展開し、最後は『DayLights』でまとめ上げる。

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ノリ方など些細なことのように思われるが、重要な兆しは意外なところに現れるものだ。“石野卓球クラスのDJ”という条件付きではあるけれど、テクノがEDMを聴く層にも訴求できるポテンシャルが垣間見えた瞬間である。「ダンスミュージック」の大きな括りで考えたとき、近年最も多くのファン数を抱えていたのは、やはりEDMだ。そして現在、そこが細分化した。一部のクラスターがテクノやハウスに流れてくる様子が、視認できる程度に具体化してきたのである。

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左:ジョン・ディグウィード 右:ニコール・マウデイバー

さらに面白いのは、ディグウィードやマウデイバーもしっかりこの流れにリンクしていること。出音からレベルが違ったこの2人も、音としての「アシッド(TR-303)」を採用していた。いや、彼らの場合(特にディグウィード)は回帰と言うべきだろうか。彼らがティーンエイジャーの頃には「アシッド」のアイデアは既にあったが、それが今の若いプロデューサーの間で急速に支持を集めている。たとえば日本では、tofubeatsが今年リリースしたアルバム『RUN』に収録されている「YOU MAKE ME ACID」。この曲に限らず、彼はここ最近のDJでもTR-303的なトラックをミックスに使っている。

これはほんの一例で、現在世界中で“アシッドな音使い”が幅を活かせている事実がある。しかも、世代問わず同時多発的に。昨今のテクノの勃興の中でも特に顕著なキーワードが「アシッド」だろう。今年Mixmagでもアシッドハウスについての特集をアップしたので、ぜひこちらもご確認いただきたい(定義はやや広め)。

そしてそんな現行テクノを表舞台に引き上げたMVPのひとりは、何といってもニーナ・クラヴィッツだろう。ULTRA JAPAN 2018、3日目のヘッドライナー。つまり今回のRESISTANCEステージの大トリ。今や彼女の人気はアリーナクラスだが、鳴らす音は極めてレフトフィールド。BPMはアベレージ135前後(ちなみにMAX時は150)で、時折トランスを挟みつつ、ハードコアなテクノを展開。特に終盤のミニマルに畳みかけてくる流れは圧巻であった。

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迎合する気配など微塵も見せず、ひたすら硬く速いビートを紡いでゆく。それで初見のEDMヘッズを骨抜きにするのだから恐れ入る。ナンバーワンDJがナンバーワンDJたる所以を証明し、2時間ステージに君臨し続けた。参考動画として今年のTomorrowlandの様子をご紹介しよう。

Nina Kraviz | Tomorrowland Belgium 2018

冒頭では“リヴァイヴァル”という言葉を使ったが、実はもっと新しい動きかもしれない。いずれにしても今回のULTRA JAPANは、時代の動きを感じる刺激的なものであった。今のシーンには、明日どうなっているかも分からないスリルがある。まさに、「セカンド・サマー・オブ・ラブ」の時のように。その不確実性こそが、何より面白いのだ。


text_Yuki Kawasaki

■ ULTRA JAPAN 2018
2018年9月15日~17日
@東京 お台場Ultra Park
<公式サイト>
https://ultrajapan.com/ja/

 

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