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FEATURES

YOHEI ISHIJIMA 【インタビュー】 「“Will”は、意志でもあり未来」

再出発と再始動によせてーー。

Mixmag Japan | 15 July 2020

ISHIJIMA, DJ ISHIJIMA, YOHEI ISHIJIMA, mixmag

クラシックをルーツに持ち、幼少の頃よりヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノ、エレクトーンに親しんできたプロデューサー / DJのYOHEI ISHIJIMA。DJを始めたのが15歳の時だから、そのキャリアは実に20年を超える。現在ではパラレルキャリアとして、DJ活動のほかにITと教育を主とする会社を経営している。

2018年には豊洲PITにてメディアアートフェスティバル「未来東京」を開催し、海外からRichie HawtinやAlva Notoらを招聘した。クラブイベントのオーガナイザーとしても活躍しており、渋谷のCONTACTでは人気テクノパーティ「ACCUTRON」を主催している。これまでにLen FakiやLoco Dice、DubfireにPan-Potら豪華なラインナップを実現してきた。

そして今年2020年――。彼は名義をISHIJIMAからYOHEI ISHIJIMAに変更し、かつて自身が立ち上げたレーベル〈Algorithm Music〉を再始動させた。ニューシングル「WILL」もリリースし、明らかにこれまでとは違うフェーズに移行しようとしている。DJと会社経営の二束のわらじを華麗に履きこなしたまま活動を続ける彼の目には、一体何が映っているのか。近年の足跡を振り返るとともに、これからの話を聞いた。


― 子どもたちによるプログラミング・音楽・歌舞伎がフュージョンした「東京花火大祭」、Richie HawtinやAlva Notoらを招聘した「未来東京」、Contactでの「ACCUTRON」の開催など、近年は怒涛の活躍をされています。ご自身で振り返ってみて如何ですか。

YOHEI ISHIJIMA(以下、ISHIJIMA): 「東京花火大祭」は、子どもたちが“プログラミング制御をした花火をあげる”というプログラミング教室の発表会のつもりでやったんですが、しかし予定の1.1万人よりも10倍以上の人が訪れてしまい、翌日にニュース番組に取り上げられたり、中国のテレビに取材されたり、とても認知度が上がりました。その結果、行政からは怒られましたが…。また、「未来東京」でも、子供たちのプログラムイベントは並行して行っておりました。どちらも2020年小学校プログラミング必修化という教育のあり方が大きく変わるのを、僕は歴史上に一度しかないことだと捉えて、それを実行したつもりです。子どもたちからはポジティブな反響があり、またやりたいと言われますが、実際のところ全くお金が残らなかったんですね。この1年半は本当に“怒涛”という表現が適切だと思います。1日に何都市も訪問したり、毎日の会議の数が5件を超えていたり、よく自分で我慢できたなと思います。そしてご存知の通り、ダンスミュージックは音楽のプログラミングにより制作されています。日本はダンスミュージックの基礎となったドラムマシーンTRシリーズを開発した国ですが、結果的にヨーロッパやアメリカで席巻しているツールとなりました。僕はもうそんなに若くないので、今の子ども達にプログラミングの楽しさのきっかけを教えることで未来に貢献できるんじゃないか? そう思って活動しています。

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― 2019年にリリースした楽曲は50曲を超えるとの事ですが、Algorithm Musicとして再始動するに至った経緯についてお伺いしたいです。

ISHIJIMA: 僕が運営しているプログラミング教室で毎週土曜日に番組放送があるのですが、依頼したプロデューサーが「毎週番組を放送することはとても大変だ」と言っていたんです。それならば“自分も同じ苦しみを味わうべきだ”と考え、経験したことのないことにチャレンジしようと毎週曲を作り、毎月4曲をリリースすることを決めました。月に4曲のリリースを行うことは自分にとって初挑戦であり、やめておけばよかったと思うこともありましたが、曲を制作するごとに自分自身が目指すところが見えてきたんです。そうして出来上がったのが「Will」でした。スキルとしても、僕は前々から“曲を終わらせること”が苦手だったのですが、それも克服できたような気がしております。…そんな諸々があって、無事に54週分の曲をリリースすることができました。僕は楽曲制作もプログラミングの手法で考えることがあるのですが、そこに今回はいつも以上に意識的に取り組みましたね。自分の考えていることや今の現状の気持ちを、曲としてアウトプットできるようにと。子供達にもアウトプットしろと言っている手前、僕がやらないわけにはいかなかったんです。校長先生ですし。レーベル名を改めたのは、より音楽性を追求し、日本の音楽イメージをテクノに融合することを進めて行きたいからです。

― なるほど。「Will」(意思)にはかなり直接的な意味合いが込められていたんですね。

ISHIJIMA: 実は今まで出していた曲の名前に全く意味がなかったんです。昨年は曲を作る事と出すことが目的だったので。正直に言うと、適当にマネージャーが決めていました。しっかり意味を持たせようと考えたのは、その反動でもあるかもしれませんね。今は素晴らしいプロジェクトメンバーに恵まれ、自分のやりたいことをサポートしてもらえていると思っています。その上で自分が今、何を表現するのか意味を持たせ、言語化したりビジュアライズしていくアイディアが溢れ出てくるんです。昔の自分より少し成長したんだと思います。“Will”は、意志でもあり未来とも言えるのではないでしょうか。未来は意志をなく描けないから、自身の中にWillを持ち、Willを創造していくという思いを曲にしました。ぜひ聴いてください。

「WILL」 (Algorithm Music)
Beatport: https://www.beatport.com/release/will/3005297

― 海外からのリリース名義をYOHEI ISHIJIMAのフルネームにされたその理由を教えてください。

ISHIJIMA: マネジメントからおすすめされたからです。元々、ISHIJIMAという苗字でアーティスト活動を展開していましたが、片手落ちの状態だったと思います。今では自分の中で一番ベストな状況で取り組むことができており、フルネームでもいいのかなと思いました。個人情報の厳しい世の中にフルネームはどうなの?と言われましたが、日本人であることの表明として良いと思っています。たまに、外国人から石野卓球さんやKEN ISHIIさんの苗字にある「石」という文字が一緒なので、「石という苗字はテクノの音楽の一派なのか」と聞かれることが度々あります。今思うと日本人はフルネーム多いですね。

― クラシックがルーツにあると伺いましたが、具体的にはどのように今のスタイルに活かされていますか?

ISHIJIMA: これはよく聞かれますね。僕は3歳からバイオリン、ピアノやエレクトーンを学んでいました。小学生の高学年から作曲、中学からは弦楽四重奏やオーケストラなどのステージにも出ていました。ある日、バイオリンの先生から「マーラーの交響曲5番が好きな君はビオラの方がいいんじゃないか?」と言われ、低い音が好きだった僕はバイオリンからビオラに転身したんです。ビオラはバイオリンと違い、リズムを刻んだり、バンドで言えばベースみたいな役割なんですが、この転身が自分の“テクノミュージシャンとして挑戦したい”という気持ちを生み出したんだと思います。元々JSバッハが好きで無伴奏チェロ組曲はミニマルに聞こえていた僕は、シーケンサーにあるMidiとしてクラシックの曲を見ていて、そこに音を差し替えているんです 。バイオリンの音やピアノの音を入れたりしていますし、そのやり方で日本の音楽も使ってます。

― 90年代リヴァイヴァルと共に台頭してきた高速BPMハードテクノですが、最近は意図的にそこから離れるアーティストも増えているように思います。「Will」を聴くとISHIJIMAさんもミニマルな方面に移行しようとされているのかなと感じるのですが、実際はどのような意図がありますか?

ISHIJIMA: 僕は幼少期からミニマルミュージックが好きですから、最初からその流れの中にはいなかったと思っています。そもそも、音楽表現としてあまりジャンルを考えてないかもしれません。 時代はめぐると言うか、トランスが流行り、テクノが流行り、ミニマルが流行りと、ファッションと同じくカルチャーの変遷を表しているんだと思っています。その中で、自分自身が感じたことを今の感覚と技術でアウトプットできればいいなと思っています。

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– 最近、力を入れておられるストリーミングに関する、その意図とその目的についてお聞かせください。特にこだわりの部分や、通常のDJとの違いで注意している点はありますか?

ISHIJIMA: 毎週土曜日に配信を行っています。マネジメントから毎週配信をしようと提案があり、であれば、ヨーロッパやアメリカをターゲティングして自分の認知拡大のために行おうと決めました。プログラミング教育をしている立場ですから、様々なソフトウェアや機材を操れないといけないんですが、実際はとても大変なものでした。特に初回は思わぬエラーがあり、復旧してから配信に1時間遅延するという事故も起こしてしまったのです 。その事故がきっかけになり、“また事故にならないためにどうしたらいいのか?”を改めて検討し、機材も見直して配信に臨んでいます。今はとても安定しており、観覧者数も毎回増えているという状況です。最初の事故が自分としては反省すべき事項であり、初めてFacebookに反省したことを記事として投稿した程ショックでした。配信ではエンジニアが遠隔で手伝ってくれていますが、基本的には機材やコンピューターのオペレーションを自分で行なっており、トラブルは全てひとりで解決しなきゃならないんです。今は、The New Razer Blade Pro 17というゲーミングマシンをメインで使っていて、リッチーにサインをしてもらったmodel1にAntelopeのOrion32や、PushやTRKTORのX1とF1やエフェクターなどから、配信するコンピューターに集約させています。高音質であることを追求していきたいので、今はリアルタイムで伝送損失を確認し、次の改善につなげています。

YOHEI ISHIJIMA ライブストリーミング
Algorithm Live Stream Showcase
毎週土曜: 23:00~02:00
DJ: YOHEI ISHIJIMA (Algorithm Music)
mixmcloud: https://www.mixcloud.com/live/ISHIJIMA/

― 以前お話を伺ったときは「DubfireがDJとして最も共感するプレイヤーのひとり」と仰っていましたが、その時(2018年)と比較して何か変化はありますか?ライブ感の追求というテーマでお話していたかと思います。

ISHIJIMA: DJとは一体何なのか?と考えた時に、曲をかけてミックス中に何もしないことが僕は嫌なんです。色んなパーツは使いますが、自分で作った音やリズムやベースで音を届けたいと思っているので、「リアルタイムにできること」に常にこだわってますね。今ではライブコーディングをしたり、リアルタイムに音をプログラミングしたり、諸々のテクノロジーを使って制御しています。プログラミングの手法を具体的に音楽に落とし込んでるのはその部分ですね。同時にそれこそが、一番の変化かもしれないです。子供たちにプログラミングを教えているからこそ、音楽とプログラミングの関係性を俯瞰的に考えることができるようになった気がします。

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― 最後に、今後の展望についてお聞かせください。

ISHIJIMA: 世界のテクノロジーを体験していると、音楽へのAIが介入してきたり、機械学習を使ってパターン分析したり、音楽とテクノロジーがより密接になっていることが分かります。技術が革新的に変わってきてるんですね。最新のテクノロジーを活用して表現の幅を立体的にしたり、よりリアルタイムに表現したりと進化しています。僕自身がそういった環境で仕事ができているので、新しい表現や解釈を発信していくことが自分にできることだと思っており、プログラミング教室の子供たちのためにもアウトプットし続けていくことを大切にしていきます。また、「すべての人に創るチカラを」というビジョンで活動もしており、少しでも楽曲制作をする人が日本に増えてくれたらいいなと願っています。DJとしては、日本の音楽が独自性をもって発展するための活動を海外でやっていきたいですね。日本のダンスミュージックも、ルーマニアンテクノみたいになれるポテンシャルを持っていると思います。


SYNCHRONICITY (Algorithm Music)
Beatport: https://www.beatport.com/release/synchronicity/3047983
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