ヴァンゲリスによる極上のサウンドトラックから劇中のセリフや音響効果まで、映画『ブレードランナー』をサンプリングした名曲の数々。今回は、後半の10選をお楽しみいただきたい。
TRACE AND NICO
「REPLICANT」
「Replicant」は「Main Titles」とデッカードのセリフをサンプリングしたテックステップ。前回紹介したJeff Millsの曲とは異なり、非常にミニマリスティックなアプローチを取っている。
1998年にIdiosyncratic Recordsからホワイト盤で登場し、B面には使用された『ブレードランナー』の20秒のサンプルが収録されていた。
ZOMBY
「TEARS IN THE RAIN」
こちらもバッティの最後のセリフをサンプリングしたベース・ヘヴィな一曲。Zombyのハードコア・オマージュ作『Where Were U In ’92?』(AKAI S2000とAtarai ST上で走らせた古いバージョンのCubaseだけで作られた)に収録された。
THEO PARRISH
『SOLITARY FLIGHT』
Theo Parrishは、ソウルのレコードから街頭の音まで、サンプリング向けの素材を選択し、自分の特徴的なサウンドに組み込む類まれな能力の持ち主である。
「Solitary Flight」では、1982年にニュー・アメリカン・オーケストラが演奏したヴァンゲリス「Memories Of Green」のオーケストラ版をサンプリングした、壮大で催眠的な10分間の旅。ダスティなドラムスとアナログの温かみで美しいサンプルを包んだ名曲だ。『ブレードランナー』とてダークな側面ばかりではないのだ。
KUEDO
「FLIGHT PATH」
2017年、Boiler RoomにてPlanet MuのKuedoはこう語った:「エレクトロニック・ミュージックを聴き始めた頃には、なんでも『ブレードランナー』というプリズムを通して鑑賞するようになっていた」。
同アーティストが『ブレードランナー』に色濃く影響を受けたと説明するアルバム『Severant』に収録された「Flight Path」は、ヴァンゲリスの「End Titles」のギザギザしたエッジを少し丸め、緊張感を損なうことなくスウィングの要素を添加した一作だ。
VEX’D
「ANGELS」
Vex’dは上に登場したKuedoとRoly Porterによるグループで、2005年にデビュー・アルバム『Degenerate』をリリースした。
「Angels」はバッティのセリフとインダストリアルなベースライン、16小節のグライム的な構成と、UKガラージのドラムパターンを融合させた一曲だ。
THE FUTURE SOUND OF LONDON
「MY KINGDOM」
「My Kingdom」は、伝説的なイギリス人デュオ、The Future Sound Of Londonがヴァンゲリスの「Rachel’s Song」をサンプリングしてピッチを下げたトラックだ。
ロンドンが異世界からの侵略にさらされるMVも含め、『ブレードランナー』のディストピア的世界観に深く影響を受けた作品である。
TANGO
「FEVER」
Moving Shadowの1996年のコンピレーション『Trans-Central Connection』に収録されたドラムンベース曲。映画の背景に流れる環境音がサンプリングされ、轟くようなベースラインと相まって凄まじい効果を生み出している。
Tangoは残念ながら昨年他界したが、色褪せることのないディスコグラフィーは生き続ける。
JONNY L
「MORE LIFE」
Johnny Lは1993年に、前編にも登場した尋問シーンをサンプリングした、バウンシーなサウンドが耳に残るテクノ・トラック「Mother」をリリースした。その2年後にリリースされたこちらの「More Life」は、バッティのセリフをサンプリングしたチョッピーなドラムンベース・トラックだ。
RUFIGE KRU
「MANSLAUGHTER」(PART ONE – RUNNERS EDGE)
Goldieの『ブレードランナー』愛は有名だ。そんなMetalheadzのボスがRufige Kru名義でリリースしたこちらのトラックは、またしてもバッティのセリフをサンプリングした不気味かつ前衛的な一曲だ。
SPECIAL REQUEST
「REPLICANT」
最後に紹介する「Replicant」は、ヨークシャー出身のSpecial Requestによる2017年のトラック。デッカードとレイチェルが再会した時のセリフをサンプリングしている。同アーティストは同年、『ブレードランナー 2049』のトレーラーにも音源を提供している。
前編10選はこちらから。
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