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MUSIC

ミックスに聴くテックハウスの変遷

プーラからプラヤデンボッサまで、今年のダンスフロアはテックハウスが制覇した。これまでの道のりをミックスを聴きながら振り返ろう。

Mixmag Japan | 14 November 2019

(PAGAN/1998年2月)
TERRY FRANCIS『ARCHITECTURE』

(END RECORDINGS/2000年4月)
MR C『SUBTERRAIN 100% UNRELEASED』

「80年代に”RIP at Clink Street”と”The Dungeon”が登場してテックハウスが生まれたんだ」と2000年に語ったのは、DJに転向したShamenのラッパーにしてクラブ・オーナーでもあるMr. Cだ。「名前を付けるまでは、誰も存在を意識してなかった」。決定打となったは、1995年にLayo PaskinとMr. CがロンドンにオープンしたThe Endでのことだった。ハウスはフィルターにまみれ、テクノはチューンというよりループに近くなっていた当時、中立地帯の登場が待たれていた。ジャンルが大いに繁栄した時期でもあるので、Mr. Cのセットはダークな雰囲気を醸し出しつつも、上記の2リリースはいずれもめまいがするような輝きを放っている。

“fabric”よりもずっと前、90年代後半のロンドンの土曜、月一レギュラー”Wiggler”ではTerry Francisがレジデントを務めた。とあるライターは、その様子を「世界で最高のエクスタシー・ミュージックのリズムに乗って、1000人のいかれポンチがアシッド・テッドのように踊る」と表現した。そんなFrancisのファースト・ミックスCD『Architecture』(ちなみに1999年に第二弾が出ている)は、血液がシャンパンになってしまったような感覚に陥る。Simon Reynoldsによると、「何もかもキラキラと美しくて、まるでエクスタシーを決めた後のようだ」と形容した。夜から朝にかけて気持ちよく滑空させる狙いで作られたミックスは、いまだにその効力を失っていない。

2000年に、Mr. Cはテックハウスを「女性にとってはテクノで、男性にとってはハウスだ」と形容した。「セクシーで、ベースラインもあって、官能的だ」。The Endではイベント”Subterrain”を仕切っていた。同イベントの流れをくむミックスCDを制作するにあたり、Mr. Cは多数の友人にオリジナル曲の提供を求めた。Gene FarrisやDerrick Carterのようなシカゴ系から、Dave AngelやNathan ColesのようなUK系まで、あらゆるアーティストが楽曲を提供し、決定的な一里塚的ミックスが誕生した。

(GET PHYSICAL/2006年5月)
DJ T. 『BODY LANGUAGE VOL. 2』

2000年代の中盤には、ミニマリズムがベルリンのクラブを席巻していた。その影響もあり、ベルリン発のこちらのミックスは鋭く尖り、輪ゴムのようなベースラインと、音と音の隙間がスリリングな内容だ。DJ T.のセレクションは、Audio Soul Projectの「Reality Check」から心を溶かすHeiko Vossの「I Think About You (DJ Koze remix)」まで、大量のクラシックスを収録。

(MINISTRY OF SOUND/2006年10月)
CAJMERE VS GREEN VELVET『SESSIONS』

Beatportのテックハウス・チャート・トップ100には常にGreen Velvetの名前を見つけることが可能だ。シカゴ人のCurtis A Jonesは、同名義や、Cajmereの名義30年近くリリースを重ね、自身のレーベルであるCajual(よりクラブ系)やRelief(よりハードな作品)はテックハウスの範囲を定義するのに貢献した…すなわち、弾けるようなミニマリズムと、鋼のような表層、しなやか、かつ堅牢なサウンドである。持ち前の斬新なフックと遊び心のあるノイズの活用も、テックハウスの系譜に爪痕を残した。このダブルCD(1枚はCaj名義で、もう1枚はVelvet名義である)ミックスには、彼の最上が詰まっている。90年代の楽曲が多いが、他の時代からも選曲されており、今日、Elrowでかかっても確実にクラウドのハートを鷲掴みにするだろう。

VISTA CLUB/IBIZA (2012年6月)
​PACO OSUNA 『ELROW OPENING PARTY』

テックハウスの隆盛に最も貢献したパーティを選ぶとしたら、”Elrow”だ。2010年にイビザのVista ClubでキックオフしたElrowブランドは、その後急成長を遂げた。2017年には、24カ国以上で、132ものイベントを手がけた。テックハウスは常にElrowの中心にあり、信頼の厚いレジデントDJの数も2桁に上る。完成型よりは原型であり、グルーヴは騒々しく波を打つ。最後のアカペラだけ無視すれば、極上のエクスペリエンスだ。

VILLAGE UNDERGROUND/LONDON (2013年3月)
​DIRTYBIRD PLAYERS 『MIXMAG LIVE』

テックハウスを米国に広めたのはDirtybirdクルーのポピュリスト的なエスプリだ。EDMを卒業したキッズに、テクノよりはもう少し楽しい雰囲気のサウンドを求める層をかっさらった。Catz ’N Dogzが担当した最初に1時間は、Paul JohnsonやDoug Lazyのクラシックスをバウンシーに再調理した内容だ。中間を受け持ったVonStrokeは、テンポもスタイルも幅広く、Breachの代表曲「Jack」でピークを迎えるものの、ドラムンベースやFrank Oceanにも嬉しい寄り道をする。3時間のミックスを締めくくるのは、Eats EverythingとJustin MartinによるB2Bだ。このミックスに登場するお茶目なヴォーカル・サンプルやエフェクトの数は、実に、数えきれない。

BBC RADIO 1 (2019年8月)
​MAYA JANE COLES & ANDREA OLIVA 『ESSENTIAL MIX』

本年のEssential Mixには、ハイブリット感の高いハウス/テクノ・セットに加え、実に多くのテックハウス・セットが登場した。Maya Jane Colesによるこちらのセットも例に漏れず、心地よく泡立ち、当人のNocturnal Sushine名義のトラック「Foundation」をEjecaがリミックスしたトラックで大団円を迎える。一方のAndrea Oliviaは、ハードにうねるベースラインとアップリフティングなヴォーカルに傾倒し、Cassiusの「99 (Tim Green remix)」でPhilippe Zdarにも敬意を表しつつ、テックハウスが存在したが、まだ名前を持たなかった頃の名曲、Xpansions「Move Your Body」のShadow Childによるリミックスにたどり着く。

 

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