BICEP – 「APRICOTS」
北アイルランドのベルファスト出身で現在はロンドンを拠点に活動するマット・マクブライアーとアンディ・ファーガソンから成るユニット、Bicep。今やグローバルに活躍するアーティストとして各所からラブコールが絶えない彼らが、2021年1月に最新アルバム『Isles』をリリースすることを発表した。それに先んじて、リードシングル「Apricots」のMVが公開。
2年に及ぶ制作期間を費やした『Isles』は、2017年のデビューアルバム『Bicep』から表現力を発展させ、さらにベルファストで過ごした若き日から10年前にロンドンに移るまでの間に彼ら自身の人生と音楽活動に影響を与えてきたサウンド、経験、感動をより深く追求しており、その期間に彼らが触れてきた音楽の幅広さが、アルバムの極めて多彩な音を形成している。ふたりとも、ヒンディー語の歌声が遠くの建物の屋上から聞こえてくることや、ブルガリア語の合唱曲の断片が通りすがりの車から耳に届いてくることや、ケバブ屋で流れるトルコのポップソングの曲名がわかるかもしれないとわずかに期待しながらShazamを起動することが楽しかったと述べる。一方で、故郷を離れて過ごす時間は、自分たちが島を渡り今の場所にたどりついたことについて、より深く考える機会にもなった。
ベルファスト出身者であるふたりにとって、島や地域社会、そしてアイデンティティーについて語ることは、言葉以上のより切実な意味を含んでいる。このアルバムのプロジェクトが始動する前まで、こうしたテーマは彼らにとって、あまり話したくない人生の側面であった。
「自分たちにとって、どうにも推し量ることのできない題材だった」とマットは言う。「僕たちは信仰を持っていないけど、それぞれに異なった宗教的背景があった。最初のころはずっと、僕たちにそういう話をしてほしいっていう期待があったけど、自分たちは気が乗らなかった。ダンスミュージックの好きなところのひとつは、そうした話題から解放されて自由になれることだと常に感じていた。ダンスミュージックは中立の場所を用意してくれるんだ。あのころの僕たちには当たり前すぎて、それがどれほど大きな意味を持つのかを理解できていなかったと思う」
『Isles』は、こうした背景を掘り下げるきっかけになるかもしれない。北アイルランドについて述べるとき、他の地域ではありきたりで扇動的な語り口が幅を利かせているが、それとは異なるやり方がある。それは、事実を基にさまざまな経験を扱い、音楽が架け橋となりうる、あるいはなり得ない隔たりについて深く考えるということだ。
「クラブに足を踏み入れると、正反対の立場にいる人たちが歩み寄って、抱擁を交わしていた」そう言ってアンディは、ベルファストで多大な影響力を持つナイトクラブ、シャインの名前を挙げる。そこはふたりが音楽を学んだ場所だった。「次の週になれば、彼らは仲間たちと一緒に大騒ぎをしていた。そこはどこよりも安全な場所だと感じられた。普通に考えれば、どこよりも危険な場所だったはずなのに」
『Isles』は、国内盤CD、輸入盤CD/LP、カセットテープ、デジタルでリリースされる。国内盤CDには解説が封入、ボーナストラックが収録。また、輸入盤LPは通常のブラックに加えて、限定のピクチャー盤、さらには国内盤CDと同内容のボーナストラックが収録された3枚組のデラックス盤が発売される。
■ Bicep 『Isles』
RELEASE: 2021.01.22
LABELS: Ninja Tune
Tracklist:
1. Atlas
2. Cazenove
3. Apricots
4. Saku (feat. Clara La San)
5. Lido
6. X (feat. Clara La San)
7. Rever (feat. Julia Kent)
8. Sundial
9. Fir
10. Hawk (feat. machìna)
<日本版リリース詳細>
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11475
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