2020年1月号のMixmag(本国版)ではWarp Recordsの30周年を記念し、4種類の表紙(Aphex Twin、Kelela、Flying Lotus、Yves Tumor)を展開した。その際にCover Mixを担当したのが、イタリアはミラノを拠点に活動するLorenzo Senni。つい先日、彼は最新アルバム『Scacco Matto』をリリースしたばかりだ。このミックスを提供した段階では本作の全容は明かされていなかったが、やはり今回も“Pointsillist(点描)Trance”のパイオニアたる内容となっている。トランス、レイヴ、ポップ、さらにはクラシックから参照された様々な要素は、デジタル化され、まるでベンディドットの技法で描いたような世界を構成している。
Lorenzo Senni – 「Discipline of Enthusiasm」
本稿では、アルバムについての詳しい記述はしない。The Cover Mixの内容に焦点を当て、彼の作家性を探ってゆく。彼は今回のミックスを作るにあたり、自身のレコードコレクションの中からWarp作品を選別し、システマチックなアプローチでサウンドを紡いでいった。徹底してビートレス。ミックスはすぐにまとまった。彼のアーティストとしてのバックグラウンドは、DJではなくバンドとLive Setにある。そのため、自身の役割をフロアのためのDJではなく、よりコンポーザーに置いているそうだ。今回彼はミックスのトラックリストを明らかにしていないが、その理由はそこに起因する。
「最近では、ミックスしたアーティスト本人の曲がそこに含まれているかどうかを判断基準にしているリスナーが多い気がするね。最初に言っておくと、僕の曲はこのミックスには入ってない。それでも、これを聴くための時間を少しだけ割いてもらえると嬉しいよ」。
しかしほんの一部だけ、Senniはこのミックスでフィーチャーされているアーティストの名前を教えてくれた。「The Black Dog、Autechre、Aphex Twin、Squarepusher、Kelly Moran、OPN、Clark…」。
「エレクトロニック・ミュージックを制作しているアーティストのほとんどが、Warpからリリースできることを光栄に思っている。間違いなく、特別なことだよ。このレーベルとならば、エクスペリメンタルな音楽をより大きな文脈に投影できるんだ」。Senniは2016年からWarp Recordsに所属している。もちろん、冒頭で触れた最新アルバムも同レーベルから発売された。
■ Lorenzo Senni – 『Scacco Matto』
RELEASE: 2020.04.24
LABELS: Warp Records / Beatink
01. Discipline of Enthusiasm
02. XBreakingEdgeX
03. Move in Silence (Only Speak When It’s Time to Say Checkmate)
04. Canone Infinito
05. Dance Tonight Revolution Tomorrow
06. The Power of Failing
07. Wasting Time Writing Lorenzo Senni Songs
08. THINK BIG
[Bonus Tracks for Japan (BRC-633)]
09. Win in The Flat World
10. The Shape of Trance to Come
Get the latest.
Follow Mixmag Japan on Twitter!
Follow @mixmagjapan