今、日本語ヒップホップが何度目かの盛期を迎えている。PUNPEEや5lackが日本語ラップの針を進め、KOHHがインターナショナルなシーンに殴り込みをかけた。テレビ朝日の「フリースタイルダンジョン」も盛況である。
けれども、そのどれにも該当しない才能がいた。荘子 it(Trackmaker/Rapper)・TAITAN MAN (Rapper)・没(Rapper/Sampler)からなる、3人組 HipHop ユニット、Dos Monos。
Dos Monos – 『in 20XX』
The Avalanchesよりも雑多で猥雑、それでありながら圧倒的にインテリジェント。狡猾なまでのビートメイクとサンプリングはどこかBrainfeeder(Flying Lotus主宰のレーベル)の面々を思わせる。完全に最先端。
「満を持して」、という言葉がここまで似合うクルーもそういないだろう。DATSやyahyelとの共演、各クラブイベントへの出演、昨年はサマーソニックへの出場権をかけたコンテスト「出れんの!?サマソニ!?」にも出場し、「SAPACE ODD賞」を獲得した。シーンの地下で地道に活動を続けていた彼らだが、この度アメリカのレーベル<Deathbomb Arc>と契約が決定した。Deathbomb ArcにはDeath GripsやJPEGMAFIAなど、メインストリームで勢いのあるトラップとは一線画す、独特なヒップホップを表現するアーティストが揃う。HPの質感(サイバーパンクとハリボテ感が両立したような)を見る限りでは、Dos Monosとの相性も良さそうだ。
以前は『in 20XX』の他にも何曲かネットに転がっていたはずだが、今は消去されている。今回の契約で再スタートを切るということなのだろう。もしかしたらそれらの楽曲も新録している最中なのかもしれない。続報を楽しみに待ちたいところだ。
地下に潜っていた才能がついに動き出す。思えば今年はThe Avalanches(フジロック)もBrainfeeder(ソニックマニア)も日本へやってくる。何か宿命めいたものを感じるが、これが気のせいでないことを祈りながら、今はこの奇妙で知的なビートに身をゆだねる。
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