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MUSIC

RinsagaのデビューEP『輪-Rin-』に見る、日本の歪な“Trap”の形

退廃的渾沌と破壊的創造

Mixmag Japan | 18 June 2020

Rinsaga, 輪, Rinsaga アルバム, mixmag

今年の5月29日にRinsagaのデビューEP『輪-Rin-』がリリースされた。歳の離れた腹違いの二人の兄の影響で、Joy Division、Alice in Chains、Nine Inch Nailsなどに傾倒し、その後10代後半よりヒップホップに開眼し、ラップで詞を書くことから音楽を始めた。本作についても、SoundCloud上では#Trapとタグ付けられている。

Rinsaga – 『突破-T.P.A』

彼は1991年生まれであるが、ここで彼がティーンエイジャーだった時のことを考えてみる。日本国内ではNujabesがカリスマ的人気を誇り、“ジャジーヒップホップ”の存在を様々な垣根を越えて知らしめた。一方でギャングスタ系のラッパーたちへの風当たりは強かったように思う。「USヒップホップは貧困や差別問題に裏打ちされているのだから、そのような問題を抱えていない日本で同じことを実践しても正当性がない」と評価され、当時はそれが多数派で“正論”だった。…まぁ今も少なからずその向きはあるが、当時はそれに輪をかけて冷笑されていた。そもそも2000年代までは海外においてもラッパーの処遇は芳しくなかった。2008年のグラストンベリーにJay-Zがヘッドライナーとしてクレジットされた際、リアム・ギャラガーを筆頭にこのブッキングを批判する声は少なくなかった(ギャラガー本人は“メディアの誇張である”とのコメントを出していたが)。USとUKの間にも違いはあれど、そのグラストンベリーにおいても、今やラッパーがヘッドライナーを務めることに関して議論が起きることはない。わずか10年の間に随分変化したものだ。

翻って、日本は――。2010年代にデビューしたラップグループの中で、ギャングスタのバイブスでもってアリーナクラスの成功を収めたのはBAD HOPぐらいだろう。川崎の工業地帯から頭角を現した彼らの存在は、まさしく「USヒップホップと同じことを日本で実践しても正当性がない」との言説に対する真っ向からのアンサーだった。しかし、その裏で日本のラップ界隈の批評性は、歪な形で展開されていたように思う。

2018年1月に配信されたNetflix制作のアニメ「DEVILMAN crybaby」では、寓話的でディストピアンな世界観の中にラップが登場する。劇中では流行りものとしてでなく、ゲットー地区で響く切実な叫びとして機能している。ラップゆえに散文調であるが、物語に重要な役割を果たす“セリフ”でもあった。

もっと時を進めると、ラップをやりながら“ラッパーのマナーを背負わない”アーティストも現れた。3人組ヒップホップクルーDos Monosのファーストアルバム、『Dos City』(2019年3月)に収録されている「アガルタ」。この曲の中で、メンバーのひとりであるTAITAN MANはこんなリリックを紡いでいる。

パーカー着込んでカルマ負ったふりなら いまだにできやしない だからラッパー文化には決して与しない

Dos Monos – 「アガルタ」

そして、この度Rinsagaがリリースした『輪-Rin-』。もはやラップの定型は完全に壊れた。Miru Shinoda(yahyel)とJan Urila Sas(jan and naomi)を迎えて作られた本作では、インダストリアル / ポストダブステップ / トラップが渾然一体となったサウンドが提示されたのである。リリックは一貫して破滅主義的で、その世界観も含めて“今”が描かれているように思われる。

正当性の無さを指摘された日本のラップシーンは、その問いに真摯に応えている。シニカルな意味も込めて、最後にそう書いておく。


■ Rinsaga – 『輪-Rin-』
Tracklist:
1.窮奇 (Prod. Miru Shinoda)
2.突破 (Prod. Miru Shinoda)
3.快楽 (Prod. Miru Shinoda)
4.叛キ仔 (Prod. Miru Shinoda)
5.渾沌 (Prod.Jan Urila Sas)
SoundCloud
<Bandcamp アルバム詳細>
https://rinsaga.bandcamp.com/releases

 

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