Wandl – 「Double Exposure」
Dorian Conceptやokmalumkoolkatも音源をリリースする鬼才のためのプラットフォーム、〈Affine Records〉。彼らはヒップホップやR&Bに対しても、アヴァンギャルドで実験的なアプローチを日夜試みている。音楽の都ウィーンを拠点としており、Dorian Conceptのような秀才も集まってくるわけだ。
例に漏れず、今年26歳を迎えるWandlもそのキャリアは既に10年を超える。つまり、彼の初リリースは15歳の頃だったのだ。5歳でバイオリンを始め、12歳の時には音楽制作用のソフトウェアに触れていた。彼がグローバルな注目を得るまでにそれほど時間はかからず、EP『Far Way Home』(2014年)をリリースした時は19歳だった。〈Affine Records〉と繋がりを持ったのもその時である。
そして先日10月2日、彼は同レーベルから2枚目となるフルアルバム『Womb』を発表した。これまで同様、エクペリメンタルなR&Bが主流だが、今作はさらに陰鬱で冷たいニュアンスに仕上がっている。“抑圧された感情”、“孤独の中に見出された自由”、“望まない社会的承認”といった要素が連なり、アルバム全体を暗いトーンが覆っている。最後を締めくくる楽曲はヨーデルがモチーフだが、一般的にイメージされるそれとは大きくかけ離れている。
ニューノーマル――。社会が危機に直面し、エコシステムが変わらざるを得ない時は、いつだってそのような粗野でグロテスクな言葉が世の中を埋め尽くす。彼が抱える「現在」に対して抱える闇そのものが、本作で具現化された。しかしそれは社会に対する攻撃ではない。その矢印は我々に向けられている。この悲しみへの共感として。
Wandl – 「Altbautraum」
■ Wandl 『Womb』
Label: Affine Records
Format: Download / Stream
Tracklist:
1. Under My Skin (Live in Amsterdam)
2. Helpless
3. Double Exposure
4. Altbautraum
5. Centric City
6. Under My Skin
7. One For The Dead
8. Mommies
9. Requiem (Erkennung)
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