日本と韓国、ベッドルームとパーティーフロア、アンダーグラウンドとメインストリーム…。様々なシーンの懸け橋として活躍する、DJ / プロデューサーのYonYon。彼女の音楽プロジェクト「The Link」の第二弾、『Mirror(選択)』が公開された。向井太一との共作『Period(過程)』に続く本作は、やはり二面性を強烈に打ち出した快作である。
YonYon, SIRUP – 『Mirror (選択)』
音楽表現において「使える言語が二つある」事実は、我々が思うより遥かに有用なのかもしれない。『Period(過程)』では男女間の微妙な差異について、そして本作『Mirror(選択)』ではSNS以降のアイデンティティの在り方を描いた。インターネットと対峙し、飲み込まれにそうになる人々を「鏡」のモチーフを使って表現するのはプリミティブでありながら核心を突いている。「鏡の向こうハイデガー」は凄まじいパンチラインだ。フォロワーの数(他者の評価)がその人の価値を決定してしまう現在、「その人の現実に対応することが出来るのはその人のみである」と述べたハイデガーを引っ張ってきたのは慧眼である。ヒップホップ的に言うと、YonYonなりの時代に対する“アンサー”なのだろう。
ちなみに、参照元を広く取るところは彼女のスタイルであり、DJからもそれが窺える。1カ月前にSoundCloud上で公開されたミックスも、「廃墟」をイメージしたと言う。
ベッドルームでもフロアでも機能しそうなミックスだ。「The Link」は日本と韓国を繋ぐプロジェクトだと銘打たれているが、彼女の射程はもっと広く、そして長い。
まだ二発目だが、このプロジェクトとYonYonが持つ潜在能力の高さを思い知っている。
■ Mirror(選択)
アーティスト:YonYon×SIRUP
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