エレクトロニック・ミュージックのアルバムは、多くの場合、普段の12インチ・リリースと比べて、音楽性を深く掘り下げるチャンスだ。新しいアプローチを試すことや、新しいテーマに触れること、そして新しい音で実験することも可能だ。また、それらを一本の線につなげ、自らのアート性を表現する活動でもある。
2018年は、アルバム豊作の一年だった。画期的なデビュー・アルバムをリリースした新顔もいたし、キャリア・ベストと評されるリリースを放ったベテランもいた。そして、予想外の新機軸に我々をあっと言わせたアーティストもいれば、持ち味を思う存分発揮し、期待通りの傑作をリリースしたアーティストもいた。コラボレーションを通して二つの音を融合させ、新たなサウンドに昇華させた組み合わせもいた。そして、新顔がブレイクスルーをリリースしたことにより注目を浴びた、新たなシーンもあった。
本稿では、5回に渡り、我々が厳選した2018年のベスト・アルバム50選を紹介する。まずは、50-41まで。
50
「7 SHADOWS AND IRON LUNGS」BYRAN CHAPMAN (MONOTONY)
Monotomyから4枚のリリースで高評価を得たBryan Chapmanがデビュー・アルバムをリリース。サブライムで、洗練されたテクノだ。
49
「2012-2017」AGAINST ALL LOGIC (OTHER PEOPLE)
Nicolas Jaarが変名プロジェクトA.A.Lを復活させ、サンプル・ヘヴィな一連のクラブ・トラックをリリース。エレクトロニック界の第一人者から、知的で、エモーティブなシンセが光る一作だ。
48
「WIDE AWAKE」PARQUET COURTS (ROUGH TRADE)
Parquet Courtsは2001年から定期的にアルバムをリリースし続けている。Rough Trade Recordsから放たれた復帰作は、踊れて、笑えて、泣ける一枚だ。ニューヨークの少年たちによる、少し風変わりでたっぷりフィールグッドなロック・ミュージック。
47
「STILL TRIPPIN’」DJ TAYE (HYPERDUB)
シカゴの才能、DJ Tayeが、前衛的なヒップ・ホップ、ラップ、フットワークのブレンドが特徴的な『Still Tripping’』でHyperdubに帰還した。アルペジオの効いたシンセ・ラインとビッグなベースが渾然一体となり、シャープなチューンの集合体が完成。Tayeは既にフットワーク界を代表する才能だったが、このリリースでその立ち位置を不動のものにした。
46
「THEMES」ROMAN FLÜGEL (ESP INSTITUTE)
フランクフルトの伝説が、クラブ志向を離れ、実験的なアンビエントに挑戦した。13トラック中、キック・ドラムが登場する時間は極めて短い。息を呑むような音響の風景画だ。
45
「SOMETHING BLUE」BLOCKS & ESCHER (METALHEADZ)
多作なNarratives Musicレーベルを切り盛りしつつデビュー・アルバムの制作に勤しんだBlocks & Escher。一口で説明しにくい『Something Blue』は、ジャズやクラシックにも触れつつ、邪悪なドラムンベースのアティテュードも盛り込まれた各種ジャンルの集大成だ。
44
「NEON」THE DIGITAL BLONDE (JOOF RECORDINGS)
1988年にデビューしたThe Digital Blondeは、既に20年以上の活動歴を誇る。エモーティブで、オールド・スクールなモチーフにモダンなプロダクション法を融合させたサウンドが特徴的な『Neon』は、誰にも真似できないトランスを生み出すThe Digital Blondeの最高傑作かもしれない。
43
「MURKY MANOR」TAIKI NULIGHT (NIGHT BASS)
私的な音空間の旅路を物語るTaiki Nulightのデビュー・アルバムは、本人曰く「今日に至るまでの人生の音響風景」とのことだ。ガラージ、ハウス、ベースライン。
42
「MOTHER」JENSEN INTERCEPTOR (LONE ROMANTIC)
最新作ではエレクトロ方面を深く追求したMikey Melas。エレガントに、しかしパワフルな10トラック・アルバムだ。
41
「MONSTERS EXIST」ORBITAL (ACP RECORDINGS LTD)
The Orbitalの復活作となる9トラック入りの同アルバムは、テクノにルーツを持つ同兄弟の、より現代的で、多幸感溢れる側面に迫った。
40-31はこちらから。
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