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NEWS

【連続インタビュー Part1】 Mars89 × 1TA – Trilogies Edition –

我々はなぜ「遺す」のか、そして「ベースミュージック」とは一体何だったのか。

Mixmag Japan | 28 March 2022

Mars89, Mars89 インタビュー, Mars89 Trilogies, mixmag

まん延防止等重点措置(まん防)の影響により、2月~4月の約2か月にわたり渋谷のContactで開催されているマンスリー・レジデント企画「Trilogies」。2月度はMars89をレジデントDJに迎え、彼と深い繋がりがあるレベルミュージック / システムミュージック界隈から多数のアーティストが集結した。まん防発令前、2月11日のepisode 1は、ブリストル・ミュージックのプラットフォーム〈BS0〉のスペシャルエディションと、故・飯島直樹が経営していた「DISC SHOP ZERO」のトリビュートイベントとして行われた。飛んで3月25日(金)のepisode 2は、Golpe MortalやKrikor、「Protest Rave」に関わりのあるMari SakuraiやMiru Shinodaらが招聘され、奇祭「Death Disco」として開催された。

今回のインタビュー企画はラストを飾るepisode 3(4月1日に開催)に先んじて、Mars89が改めて各回のキープレイヤーと対談するものだ。episode 1から1TA(BS0 / Bim One Production)、episode 2からMari Sakurai(SLICK)、episode 3から解放新平(melting bot / Local World)が登場し、各々が追求する諸々について談義した。まずはepisode 1に登場した1TAとの対談をお届けする。我々はなぜ「遺す」のか、そして「ベースミュージック」とは一体何だったのか。

Mars89 × 1TA(BS0 / Bim One Production)

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左: 1TA 右: Mars89 BS0: ブリストルを中心としたサウンドとカルチャーをここ東京に浸透させるべく活動するパーティ & コレクティブ。2017年の7月より、同パーティの番外編「BS0xtra」がContactで始動した。2年前に急逝した、DISC SHOP ZEROの店主・飯島直樹も同コレクティブの中心人物だった。

― 他のメディアでも度々聞かれていることだと思うのですが、まずはBS0のコンセプトから改めて教えていただければと思います。

1TA: 名前はUKのブリストルの架空の郵便番号に由来していて、その街の音楽だけじゃなくカルチャーを日本の中で体現してゆくというのが目的ですね。世代の関係性から生まれてくるものや価値観を、BS0的な視点で提案しています。ローカルの価値観って東京だけじゃなくて他の都市にもあると思うんですけど、そういった共通するであろうコミュニティ観をウチらなりに凝縮して、音楽を通じて発信するというのがBS0の考え方です。

Mars89: 僕も最初はBS0やDISC SHOP ZEROのお客さんでしたね。DJとして関わるようになったのは、平日のContactでやってる「BS0xtra」が始まった段階です。関係者の方々とは他のパーティでそれぞれ一緒になったりしてましたけど。

1TA: 初めてMarsと演ったのはBS0の2回目か3回目じゃなかったっけ?

Mars89: そうですね。Ishan Soundが来た回なので、3回目(2016年11月開催)だったと思います。

― BS0の役割が多角化していったのは、最初から意図されていたことなのでしょうか? 今仰ったBS0xtraに加え、2017年には「BS0radio」もスタートしています。

1TA: 毎回思い付きで行動してますね(笑)。ZEROに行って飯島さんと雑談している中で、「これってもしかして自分たちでできるんじゃないか?」って出てきたアイデアを試行錯誤しながらやってみるっていう。だから消えてる企画もたくさんあるんです(笑)。その中でラジオとxtraが残ってるって感じですね。他にはジンを作ったり。

Mars89: ジンは飯島さん個人でもやってましたよね。

1TA: そうそう。振り返ると、アイデアを提案する場所としては、やっぱりお店(DISC SHOP ZERO)の存在はデカかったと思いますね。レコード屋はコミュニティとしての機能もあったと、お店がなくなってからより痛感します。いろいろな人がZEROに来てましたし、あの店がなかったらMarsとも繋がってなかったかもしれない。また別の機会に接続していた可能性はありますけど、音を通じてっていうのはZEROじゃなきゃあり得なかったと思います。

Mars89: D.I.Y精神のある文化系のコミュニティだったのも僕としてはありがたかったですね。例えるなら2pacやThe Notorious B.I.G.のようなギャングスタ系じゃなくてNative Tonguesみたいな(笑)。

1TA: ウチは組合みたいなノリだし、上下関係とかないもんね。ジャンルとして色んなところに触手が伸びていたのも良かったかもしれない。

Mars89: そうですね。僕もZEROで買ってた音源はニューウェイブとかパンクのような、今の自分のルーツになった音楽が多いです。

― ライターの私から見ても飯島さんは本当に偉大な発信者だったと感じますが、お二人が最も影響を受けたのはどのような部分ですか?

1TA: 自分は結構付き合いが長くて、BS0を始める10年ぐらい前から繋がってたんです。飯島さんに対して一貫して感じてたのは「パッションがすごい」ってことですね。今でも音楽への執着は見習うところがあります。特に今重要だなと思う一つの点として、“音楽/カルチャーをアーカイブする”という点で。ブログとかSNSのアカウントを20個ぐらい持ってたし(笑)。

Mars89: 僕もその点はだいぶ影響されましたね。BS0 Xtraってイベントやるときに本などを持っていくじゃないですか。そのときに昔のSTUDIO VOICEや、パーティフォトやフライヤーのアーカイブ本なんかを持ち寄るんですけど、それらから影響を受けることがあるんです。自分たちの世代でアーカイブしないと、過去のインタビューや写真から得ているような情報を、今後に伝えられなくなってしまう危機感はありますね。…誰かアーカイブしないの?と思いつつ、でも自分ではやらないっていう(笑)。結構マメな人じゃないとできないんですよ。

1TA: 飯島さんはマメの鬼みたいな人だったからね。

Mars89: ちょっとした物でもすぐ手作りするじゃないですか。あれが本当に凄いと思います。飯島さんみたいに物事をちゃんと記録できる人はシーンや時代にとってもかなり重要だなと。

1TA: 最近はデジタルプラットフォームにアクセスすれば誰でもすぐに情報を得られますけど、デジタルは何かの拍子に全部ぱっと無くなっちゃうことがあるんですよね。今ロシアに住んでいる人たちがまさにそうだと思うんですけど、今までグローバルに行き来していた通路を突然遮断されてしまう場合もありうるわけで。そういうときに過去を振り返れるものがあると、今の状況を見失わずにいられる可能性がある。ウクライナの情勢に限らず、“存在が消失してしまう”という場面を最近よく見かける気がします。

Mars89: ハードウェアで残すってことですよね。映画なんかでも、配給会社が変わって権利関係がぐちゃぐちゃになった結果、ストリーミングで配信されないケースもありますし。そういうときにハードで持ってるとすぐ観られるんですよね。僕はSFをよく読むんですけど、ポストアポカリプス系の話でも本やレコードは残ってるんですよ。そのときの心情や気持ちの部分って、文章や写真で残ってないと後から作られちゃう可能性があるんですね。それこそ戦争が終わったあとに、国家や大きな機関によって無かったことにされる場面は、これまでの歴史を振り返っても珍しくないじゃないですか。出兵する人の手記や残された家族の日記みたいな、暮らしに根付いたものから全く違った側面が見えたりとか。

1TA: 音楽やカルチャーはそういう役割を担ってきたとも思うんです。チェルノブイリの原発事故が起きた時とか、あの時の状況を歌にしたアーティストは多いですし。そういう作り手はあの周辺に住む人たちだけじゃなくて、各国にもいました。BS0のカルチャー観はそういうものに近いかもしれません。それぞれの問題や疑問に対して、それぞれの立ち位置で考えるっていう。

― まさしくブリストルでいうところの“Think Local”であると。

1TA: そうですね。そういう意味では、BS0を語る上で欠かせない人がSmith & MightyのRob Smithという人なんですけども、彼が3.11以降来日したときにちょうど日本で反原発のデモがあったんです。もちろんギグもあったんですけど、彼はそのデモにも参加してたり。BS0が憧れるブリストルの彼が、僕らに連帯してくれたことが嬉しかったし。我々としては音楽も生活の一部なので、どれも地続きなんです。Massive Attackも、今のウクライナについて積極的に発信してたり。

Mars89: そこの価値観が一致しているとやっぱり信用できるというか、同じ世界に生きている安心感があります。それは飯島さんもそうだし、DJ NOBUさんもライターの河村さんもそうですね。「デモに行く」みたいに行動が伴っていると、その人が普段やっていることの強度も高まるような気がします。というか、本来は政治も含めた生活と音楽を分けるのは難しいと思いますね。UKやブリストルのアーティストも、自分たちの生活の中で生じるアクションを曲にしている場合だってありますし。

1TA: 自分が好きなレゲエの話で言うと、2014年の段階でロシアのクリミア侵攻のことを歌っていたアーティストがいたり。日本でボーっと生きていても、音楽を通じて知らされることは多いと思います。ニュース的な側面もあるというか。

Mars89: Peter Toshの「No Nuclear War」とか、冷戦の頃は反核の曲も多いですよね。

Peter Tosh – 「No Nuclear War」

― 今年出たBurialの『Anitdawn』からも政治的なニュアンスを感じます。

1TA: あのアルバムにリズムがほとんどないのは、まさしく「今」を映し出していると思う。コロナ渦以降、家に居る時間が増えれば仕方ないと思いつつ、この2年間でシステムミュージックを体感する機会は本当に減ったと感じます。

Mars89: ケビン・マーティン(The Bug)もずっとアンビエントを作り続けてますもんね。まぁ、彼の場合は低音もめちゃめちゃ出てますけど。

1TA: そうだね(笑)。彼にとっては必要な要素だろうね。

― それはつまり、ベースミュージックにも変化があるということなのでしょうか?

Mars89: そもそも前提として「ベースミュージック」とは何か?みたいな問いはずっとあります。最近はサウンドシステムミュージックとベースミュージックがイコールとして語られてしまっている印象があって。

1TA: 分かる。これは持論ですけど、元々はレゲエに「ベース・カルチャー」ってワードはあったのですが「ベースミュージック」ってフレーズが浸透し始めたのはおそらくFunction 1やVoidに代表されるスピーカーが有名になってきたあたりな気がする。スピーカーの機能性の向上と共にある低域がよりフォーカスされたサウンドを表現するための呼び方が「ベースミュージック」だと感じるんですが、低音が強調された音楽ジャンルって昔からあったよなぁと。

Mars89: Function 1って全帯域の音が強めに出るイメージがあるんですけど、システムミュージックは“可聴域以下の音圧でどれだけ内臓を揺らすか”みたいなところがあるような気がしていて。つまり、「ベースミュージック」は普通に耳で聞こえる範囲の低音を指しているように感じるんです。ダブステップがアメリカに渡ってEDMやブロステップになっていく過程で、そういう音に変容していった印象があります。

1TA: 自分がこれまで体現してきたものはサウンドシステムミュージックだと思ってます。まぁそう考えてゆくと、マイアミベースはベースミュージックなのか?とか色々な問いが出てきますけど…。

Mars89: あれは強いていうなら、カーステレオ向けベースミュージックじゃないですか(笑)。UKのカルチャーが強く影響しているような感じではないですよね。で、今言われている「ベースミュージック」は、発展していった背景や文脈が違うもの同士を一緒くたにカテゴライズしてしまっている気はします。だから、僕も“ベースミュージックのDJ”と括られるとピンと来ないんです。BS0やDISC SHOP ZEROで扱われていた音楽も、そもそもベースミュージックだと思っていなかったですし。僕がブリストルのアーティストから影響を受けている点は、音の質というよりDIY感ですね。例えば〈Young Echo〉なんかは、自前でテープやジンを出して常に新しいことを自分たちの手でやり続けています。

1TA: そういったシステムミュージック側からの目線だと、システムで音を鳴らせる場所がどんどん減っている気はしますね。コロナ禍の影響もありますけど、その前から減り続けてる気がする。僕が20歳ぐらいのころは代々木公園でもシステム積んで音出せてたんですけど、石原慎太郎が「2016年に東京でオリンピック開催を目指します」と言ってから一掃されてしまって。街の記憶を奪われる感覚って言うんですかね、そういうのをずっと感じてます。

Mars89: それこそ2020年のオリンピックに向けて宮下公園の周辺が開発された結果、色々な人や場所が排除されましたもんね。そして公がアクセスしにくい「公園」や「横丁」という名の、横丁ではない何かができてしまった。行政だけでなく、巨大資本によっても街を奪われていくという現象の象徴のような感じがしました。そういう意味では、街中で定期的に開催している「BS0xtra」の存在は大きいと感じます。本やコーヒーを出しつつ、エデュケーションや社交の場が一定頻度で実現し得るのはカルチャーにとっても有意義ですよね。僕としては場の中のそういう存在は音楽と同じくらい重要だと考えていて、飯島さんが草の根運動的に耕してきたものもそこに現れていると思います。

― 最後に、今回のインタビュー企画の共通質問としてMarsさんのお相手である1TAさんにお聞きしたいことがあります。未来に期待していることがあれば教えてください。

1TA: やっぱり文脈を大事にしたいですね。世代を超えてサウンドで繋がるカルチャーの継続。期待というか、自分たちがやっていかなきゃいけないことですね。理想を言えば、全国各地の盆踊りの会場にでかいサウンドシステムが常に設置されるのが当たり前の世界になってほしいです(笑)。そもそもサウンドシステムのカルチャーって本質的には盆踊りと差がないはずなので、できないことはないと思うんですよね。

Mars89:渋谷のハロウィンとかも、もはや渋谷区のお祭りみたいなものだから街の真ん中に巨大なサウンドシステム置いてガンガンに鳴らしたいですね。スクランブル交差点で爆音が鳴ってれば、若者もトラックを倒すどころじゃなくなるはず。

1TA: それができれば、もうBS0も完結だよね。「ありがとー!!」みたいな(笑)。


Interview_Yuki Kawasaki

■ Trilogies -Mars89- episode 3 NEW DAWN
2022.04.01 (Fri.)
@ Contact Tokyo
OPEN 22:00
<イベント詳細>
https://www.contacttokyo.com/schedule/trilogies-mars89-episode-3-2/

■ 1TA – 「Sex, Drugs, and Riddims」Mix CD
Black Smoker Recordsより発売中!
<配信リンク>
https://linktr.ee/1TA
Disc Shop Zero Archieve Project始動!
詳細はBS0、またはDSZインスタグラムにて情報を更新

 

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