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REVIEWS

Paula Temple的エンパワーメント

混沌とする時代に響くビート

Mixmag Japan | 31 January 2020

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イングランド・ヨークシャー出身のDJ / プロデューサー、Paula Templeが間もなく来日を果たす。日本でのギグは2017年以来だ。今回は明後日2月1日(土)に渋谷のSOUND MUSEUM VISIONで行われる。90’sリヴァイヴァルの波とBPM高速化の潮流によって、彼女の存在感は3年前から大きく飛躍した。

けれども、彼女の凄みはトレンドとは別のところにあるように思われる。技術者として、そしてアーティストとして、たとえ彼女がテクノを選ばなかったとしても、きっと何かしらの道で活躍していただろう。英国に生まれ、ベルリンに移り、現在はアムステルダムに拠点を置く。そんな彼女の足跡や、いかに。


「Colonized」の圧倒的カムバック

Paula TempleがDJに目覚めたのは、彼女がティーンエイジャーの頃だった。プロデューサーとしてのデビューも早く、2002年にはファーストEP『Speck of The Future』がリリースされる。今でこそ破壊的なまでにパワフルなテクノチューンで有名な彼女だが、当時はややハイファイな音作りを志向していた。

「私が生まれたイングランド北部は保守的な地域だったわ。そこでは“クリエイティブな職業”なんてまやかしの類だと思われていたし、“実のある仕事”こそ真っ当とされていたの。音楽家なんて、まともに取り合ってもらえなかった」。イングランド時代を振り返るとき、彼女は度々そう語る。それでもコンシャスなスタンスは変わらず、自分の音楽が認められないならばせめて子供たちの創造性を育もうと、リーズ在住の経済的困難を抱える少年少女のためにワークショップを開催するのであった。2006年~2013年までの約7年間、彼女は教育事業に精を出すこととなる。しかも、ほぼボランティアで。アルバム制作に時間をかける余裕もなくなってしまい、どんどんプロデュース業から離れていった。

そんな彼女のカムバック劇が展開されるのが、2013年の5月。「“本当にやりたいことが何か?”って自問する日々が続いて、やっぱり私は音楽制作から逃れられないことに気づいてしまったの」。老舗レーベル〈R&S Records〉のオーナーRenaat Vandepapeliereは、大変厳格な審美眼を持っていることで有名だ。その彼をして「この曲を作ったプロデューサーに早く契約書を持っていけ!」と言わしめたのが、Paula Templeの「Colonized」であった。

そこからの彼女は破竹の勢いである。様々なアーティストから曲のプロデュースやRemixの依頼を受け、機材メーカーからは共同開発者・アドバイザーとしてラブコールが絶えない。実際、Allen & Heath Xone K2を中心に据えたセットアップは、もはや彼女の代名詞とも言えるだろう。そこから繰り出されるハイブリッドセットは唯一無二だ。さらにそのセットアップは常に更新されており、昨年あたりからAllen & Heathのアナログミキサーを使用している(冒頭で紹介した動画の手元に注目)。

他のアーティストとの関係性の話もしよう。繰り返すが、彼女とコラボレーションしたミュージシャンは多岐にわたる。Fever RayにPeaches、The Knife…。ジャンルもバラバラだ。

Fever Ray – 「Mustn’t Hurry」

「政治思想が一緒だったの。今の世の中って、あらゆる国・地域が右傾化してるでしょ? 私たちはその流れに立ち向かいたいし、アートや音楽の力を信じてる。私がたまたまテクノで、他のアーティストはそれぞれのジャンルの音楽を作っていた。それだけのことよ。私の音楽を指して、“暴力的である”と表現する人がいるんだけど、本当は人々をエンパワーメントしたいだけなの」。パワフルな音楽の代表格であるThe Prodigyの曲をRemixした背景も、彼女の信条に基づいたものなのかもしれない。

THE PRODIGY – 「Roadblox (Paula Temple remix)」

アメリカではドナルド・トランプが2017年から大統領に就き、イギリスではボリス・ジョンソンが首相の座に就いたばかりだ。気候変動の問題も依然として存在している。問題が山積しているが、誰もその解決の糸口を見つけられないまま時間だけがどんどん過ぎてゆく。ダンスミュージックは往々にして歌詞に意味はない。それゆえに能動的にスタンスを表明することが可能だ。その意味でPaula Templeは今の時代を雄弁に語るアーティストである。言うまでもなく、彼女らと同じ時代に我々も生きているのだ。

最後に個人的にとびきり好きなミックスを紹介したい。

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参考:
GET TO KNOW PAULA TEMPLE
INTERVIEW: PAULA TEMPLE
The Art Of Production: Paula Temple


text_Yuki Kawasaki

■ ALIVE presents REBOOT × TECHVANE feat. PAULA TEMPLE
2020.2.1 (Sat.)
@ 渋谷 SOUND MUSEUM VISION
<イベント詳細>
https://vision-tokyo.com/event/alive-presents-reboot-feat-paula-temple

 

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