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MIXMAG

BUDXTOKYO Day1 【レポート】

Warehouseでカルチャーが交差する日。Day 1

8月29日~31日まで、CROSS DOCK HALL HARUMI(勝どき)にて「BUDXTOKYO(バドエックストウキョウ)」が開催された。本イベントは、「バドワイザー」が2018年から開始し、今後輝ける才能を後押しすべく世界中で開催しているクロスカルチャーパーティ「BUDX(バドエックス)」の東京版である。たとえば今年4月に行われた「BUDX Paris」では、Kevin SaundersonMaceo Plexらが出演した。その他の地域でもグローバルに活躍するスタープレイヤーと、気鋭ローカルアーティストが集う。

BUDXTOKYO Day 1

Good Vibes.
BUDXTOKYO
左: 藤代冥砂 右: 村田大造

「なかったことにしたくなかった」

「今後はそれぞれの価値観や表現が何よりも重要になってくる」

さて、まずはトークセッションの模様から振り返りたい。登壇者は、写真集『90 Nights』を会場内で展示する写真家・藤代冥砂と、90年代から東京のクラブカルチャーシーンの中核を作り上げてきた村田大造。
『90 Nights』とは文字通り、90年代の東京のクラブシーンを写し出したものである。当時の圧倒的な熱量と生々しさが、モノクロの写真によって記録された。本作を出版した動機について、藤代はこう語る。

「なかったことにしたくなかったんです。その思いだけが、この一冊への力でした。エネルギーに溢れていた90年代のクラブシ-ンを誰かに伝えようと思ったとき、何も記録がなかったんです。であれば、その役割は僕がやってみようかなって」
BUDXTOKYO
会場に展示されていた『90 Nights』の一部
「ところで、大造さんが初めてクラブ(西麻布のピカソ)をオープンさせたのって21歳の頃ですよね。なぜその年齢で実現できたんですか?」

藤代の問いに、村田はこう応答する。「若いのにできたわけじゃなくて、若いからできたんです。何も分からなかったから、シンプルに考えることができた。僕がクラブを運営し始めた80年代半ば~90年代の最初の頃は景気も良かったし、当時の自分のような若い連中でも道を作れたんです。それから、“自分の他に自分と同じようなことをやっている人がいなかった”っていう点では、冥砂さんと一緒ですね」。

現在彼は渋谷のContactSOUND MUSEUM VISIONを運営しているが、フロンティア精神に変化はない。

「今ってニュアンスや方向性は違うけど、90年代の頃と似ている気がするんです。思いの強さや個性が重要視される時代というか。だから、今後はそれぞれの価値観や表現が何よりも重要になってくると思います」。
BUDXTOKYO
わずか30分弱のトークセッションではあったが、2人の背後に流れる長大な時間の流れは感じ取れた。

Mura Masa VS ハードコア・ヒップホップ

1日目のヘッドライナーは、ロンドンを拠点に活動するMura Masa。23歳の若さでありながら、彼をプロデューサーとして信頼する声は非常に多く、A$AP RockyDesiignerなど、ヒップホップシーンからのラブコールが相次いでいる。もちろん母国のグライム畑からも注目されており、最近ではOctavianslowthaiと組んでいる。

そんなわけで、彼を迎え撃つ日本勢もヒップホップシーンから精鋭たちが集まった。ANARCHYを主宰とするレーベル「1%(ONE PERCENT)」の面々が、Mura Masaの前に立ちはだかる。

1% | ONEPERCENT

hip hop
BUDXTOKYO

Leon Fanourakis

BUDXTOKYO

WILYWNKA

ANARCHY

トップバッターは弱冠20歳のラッパー、Leon Fanourakis。「1%(ONE PERCENT)」へは昨年加入し、今年の6月にフルアルバム『CHIMAIRA』をリリースした。下腹部を刺激するトラップに乗せ、高速で言葉を紡いでゆくのが彼のスタイルだ。この日は「F9ck it up」から始まり、暴力性すら感じさせるライブを展開。命を削るようにして繰り出されるフロウには往年のパンクロッカーの凄みを感じたし、現行ヒップホップが切り開いた境地が垣間見えた気がした。なお、Leon Fanourakisのショートドキュメンタリーが先日公開されたので、そちらもぜひご覧いただきたい。
BUDXTOKYO
続いて登場したのは、同じく「1%(ONE PERCENT)」に所属するWILYWNKA。前のLeon Fanourakisや後のANARCHYと比較すると、彼の曲はオーガニックでチルな印象を受ける。スローテンポの4つ打ちや、甘いピアノのリフ。「好きにやる」に顕著であるが、シリアスさと緩さを同時に孕むという、一見矛盾するようなテイストが彼の真骨頂に思われる。レゲエ・シーンで活躍するVIGORMAとのユニット“変態紳士クラブ”名義の「好きにやる」も披露されたが、この曲はどこまでも人を前向きにさせてくれる。これぞポジティブバイブス(特にHOOK)。
BUDXTOKYO
さぁ、満を持して「1%(ONE PERCENT)」のボスの登場である。日本のヒップホップシーンにおいて最も成功したラッパーのひとり、ANARCHY。今年の3月にフルアルバム『The KING』をリリースし、その価格に1万3000円の値が付けられたことでも話題を呼んだ。サウンド面でもスタンスでもパイオニアたる彼は、ジャパニーズヒップホップの代表格としてこの上ない存在である。ライブの内容も限りなくフィジカル。五感をフルに使い、全身から絞り出すようにリリックを紡ぐ。時に過激なワードセンス(ex. 「Kill Me」)でオーディエンスを煽り、フロアの熱量を上げてゆく。出番を終えたLeon Fanourakisも再び登場し、更に観客を沸かせた。

ヒップホップ特有のコレクティブ感、ハードコアなスタンス、各々のラップスキルが十二分に発揮されたショウケースであった。「1%(ONE PERCENT)」を通したある種の“日本”を、ここでは示せたのではなかろうか。

Kings

on the stage
BUDXTOKYO
BUDXTOKYO
ヘッドライナーともなると、その存在だけで場の空気を変えることができるが、この日のMura Masaもその類であった。彼に関してはLive Setに馴染みがあるファンのほうが多いかもしれない。けれども、フロアからは「Mura MasaってDJもこんなに上手いんだね…!」と感嘆の声が上がっていた。世界観もストーリー性も兼ね備えた、パーフェクトなDJ Set。
Love$ick」やHAIMの「Walking Away (Mura Masa Remix)」を繋ぎ、「What If I Go?」で最初の盛り上がりを作る。今振り返ると、ここが完全に分水嶺であった。そこからはエネルギッシュなハウスセットが展開される。Karizmaの「Work It Out」にDamiano von Erckertの「Housem III」…。序盤に自分の曲で引き込んでから、怒涛の4つ打ちによってフロアの熱量を上げてゆく。ジャンルの幅広さは言うまでもなく、彼の殊勝なところはそのストーリーテリングっぷりにある。しかも4つ打ちに終始することなく、時にはビートレスな瞬間も訪れた。このセットリストの徹底ぶりは、むしろ普段Live Setを主としていることに起因するように思われた。パフォーマンスの前段階で緻密に内容を計算し、どのように世界観を構築してゆくかを深く追求する。もちろん本流のDJも世界観を持っているが、更に抽象度が高く、そして流動的である。Day 2、Day 3のレポートではその比較もしてみよう。

最後は自身の楽曲である「Lotus Eater」で締めくくり、Mura Masaの物語は幕を閉じた。ヒップホップを基調としながらも、様々なビートミュージックが鳴った1日目であった。
BUDXTOKYO

Mura Masa from UK

■ BUDXTOKYO
日時:2019年8月29日~8月31日
場所:CROSS DOCK HALL HARUMI(東京都中央区晴海4-7-4)
出演:8月29日(木)
【DAY PROGRAM】18:20~ 日本のアンダーグラウンドクラブシーンを振り返る~藤代冥砂『90 Nights』とともに 出演/藤代冥砂、村田大造 モデレーター/吉岡加奈
【NIGHTTIME PERFORMANCES】 出演/MURA MASA (DJ SET)、ANARCHY、WILYWNKA、LEON FANOURAKIS

 

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