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MIXMAG

BUDXTOKYO Day3 【レポート】

Warehouseでカルチャーが交差する日。Day3

8月29日~31日まで、CROSS DOCK HALL HARUMI(勝どき)にて開催された、「BUDXTOKYO(バドエックストウキョウ)」。この記事では最終日(Day3)の模様をレポートする。Day1、Day2の様子は以下からご覧いただきたい。

BUDXTOKYO Day 3

Good Vibes.
最終日のレポートに入る前に、ある人物について触れておきたい。3日間にわたって本イベントでビジュアルインスタレーションを展示した、グラフィックデザイナーのGUCCIMAZE。彼のグラフィティの存在感も、来場者の記憶には強く刻まれたことだろう。今や世界中のアーティストから熱視線を注がれる彼は、BUDXTOKYOでも重要な存在であった。イベント終了後には彼のドキュメンタリーも公開され、これまで語られることが少なかった素顔が明らかになっている。なお本作のサウンドトラックは、3日目にDJとして出演したMars89が担当した。
最終日は土曜日であったため、イベントも早くからスタートする長丁場であった。初日と2日目のトークセッションはそれぞれ1回ずつであったが、この日は3回。「日本におけるカルチャーメディアの未来」、「日本人によるミュージックビデオの変革史:過去、 現在、 そしてこれから」、「世界的パイオニア・Tigaと日本が誇るレジェンドアーティスト寺田創一が語る、 インディペンデントレーベルの運営」。いずれも興味深い内容であった。本稿でもトークセッションから振り返りたい。
BUDXTOKYO
L→R 武田 俊、五十嵐弘彦(lute)、尾田和実(FUZE)
「ファンダムのアプローチの形は、“啓蒙的であること”、“帰属的であること”、“排他的であること”の3つに大別できる」
カルチャーメディアの「lute」の代表を務める五十嵐弘彦と、FUZEの事業統括プロデューサーである尾田和実がメディアの未来について語った。モデレーターを務めたのは、編集者で文筆家の武田 俊。 シーンのニッチ化・細分化を前提にした上で、話は展開された。その現状を踏まえ、ファンダムやファンベースの人気がエンタメ界を席巻しているという。そこで重要なのがアプローチの手法であり、それは大きく3つに分けられる。“啓蒙的であること(アイコニックな存在)”、“帰属的であること(独自のカルチャー)”、“排他的であること(ストーリーの共有)”…。ビリー・アイリッシュやネットミーム、Netflixなどを例に交えながらセッションは展開された。いずれの話にも共通するのは、スモールマスに響くスモールなビジネスを出発点としているところであった。考えてみればクラブカルチャーはネットミーム的であり、長い独自のストーリーを共有するNetflix的な側面がある。以前より排他的であった夜の文化は、ここへ来て様々なベクトルに機能するのかもしれない。そんなことを思ったトークセッションであった。
L→R 林永子(映像ライター)、ゆう姫、ショウダユキヒロ(NION)、関根光才(NION)
「Animation」のMVが完成したとき、本当にすごいものができたなって思った。

ゆう姫

Young Juvenile Youth

先鋭的な映像とエッジの効いた音楽でシーンを先導する、Young Juvenile Youth(以下、YJY)。そのMVを手掛けたショウダユキヒロと関根光才(共にNION所属)らと、同ユニットのヴォーカルを務めるゆう姫が映像制作の背景について語り合った。NIONが手がけた「Animation」や「Slapback」など、作品のリファレンスや当時の状況などが語られてゆく。YJYの映像作品の中でも特に広く知られている「Animation」は、ゆう姫にとっても分水嶺となったMVらしい。「このMVが完成したとき、本当にすごいものができたなって思った。撮影している最中はどんな作品になるのか想像もつかなかったんですけど、みんなが私を遠くまで連れて行ってくれた」。

Young Juvenile Youth / Animation

リファレンス先としてミシェル・ゴンドリーらの名前が挙がるなど、映像ファンが話を聞いて膝を打つ場面も多かったのではないかと思う。アーティストが自分の作品を語りながら現在や未来の話を展開するとき、かくも我々は期待に胸を躍らせるのであった。
L→R 横田信一郎(Far East Recording)、寺田創一(Far East Recording)、Tiga(Turbo Recordings)
「その時に上手くいった方法が、次も上手くいくとは限らない」

「他人のマネをしようとすると、レーベル運営は絶対に失敗する」
トークセッションのラストを飾ったのは、Tigaと寺田創一が語る「インディペンデントレーベルの運営」である。両者共にレーベル運営に関して20年以上のキャリアがあるベテランだ。

「30年レーベルを続けていけても、いまだに分からないことだらけです」と語るのは、Far East Recordingを主宰する寺田創一である。「リリースが上手くいったからと言って、次も同じ方法で上手くいくとは限らない。ジェットコースターみたいに乱高下が激しいですね」。
BUDXTOKYO
「インディーレーベルの難しいところは、予測不能なところだよね」。Turbo Recordingsを運営するTigaもこれに応える。「他の人のマネをするわけにもいかないし。レーベル運営にありがちだけど、上手くいかないから他所がやっている方法をマネすると絶対に失敗するんだ。そもそもインディーレーベルの運営はビジネスにはならないんだよね。もちろんそれは大した問題ではなく、大事なのはレーベルの運営を“素晴らしいビジネス”だと思い込まないことなんだ」。

大変参考になる話であったので、詳細は以下の動画を参照していただきたい(日本語字幕非対応)。
上の動画の最後でTigaが日本について語っているところをピックアップする。

「ひとつだけ言わせてほしい。僕のレーベルを語る上で外せないのが、実は日本なんだ。小さい頃から、僕は日本の物が大好きだった。プラモデルも作ってたし、タミヤなんかは重要なインスピレーションの源だよ。パッケージや文字のフォント、それからロゴ…。すべてがレーベル運営の礎になってる」。この話を聞いてからTurboのロゴに改めて目をやった。本当に、タミヤのそれとそっくりであった。
最終日のNIGHTTIME PERFORMANCESも豪華なラインナップが構成されいる。ジャンルこそバラバラであったが、いずれもストイックなサウンドを鳴らすアーティストが晴海に集った。

Banger

Louder Than A Bomb
BUDXTOKYO

Young Juvenile Youth

BUDXTOKYO

Mars89

石野卓球

Tiga

トップバッターは、先ほどトークセッションにも登場したゆう姫擁する、YJY。現場の良さは、何と言っても音響だ。イヤホンから聴こえてくる音圧とは違い、低音が内臓まで響いてくる。この日のYJYのパフォーマンスは、まさしく音響の存在を強く感じられるものであった。
トークセッションでも話題に上がった「Slapback」などの代表曲はもちろん、今年リリースされたばかりの新曲「Darkroom」も披露された。アブストラクトなビートだけでなく、テンションの高い4つ打ちも随所で鳴っていた。その意味でも、「Darkroom」は確かにYJYのパフォーマンスハイライトのひとつであったように思う。当然個人的な好みもあるだろうが、妖艶なシンセの響きと、先述した現場独特の低音の鳴りが強く印象に残っている。BUDXのレッドライトがとても良く似合っていた。
BUDXTOKYO
二番手は現在の東京クラブシーンのライジングスター、Mars89。2016年にEP『East End Chaos』をリリースして以降、国内外から注目を集めている。今年はパリで行われたUNDERCOVERのコレクションの音楽を担当し、EDC Japanにも出演した。先日渋谷で彼が主催した「プロテストレイヴ」も約1000人が参加し、大成功を収めている。気が早いが、彼を2019年のMVPに推す声も少なくないだろう。BUDXTOKYOでは、レイヴさながらのBPMが激しく上下するセットが組まれた。
序盤から飛ばしていた。RadioheadのBloom(Blawan Remix)がかかる頃には、BPMは130を超えていただろう。上の動画で言うと06:30前後だ。インダストリアルかつストイック。Batuが主宰を務める「TIMEDANCE」に代表されるような硬質なニュアンスと、Call SuperがDJで見せる柔軟性を持ち合わせている印象がある。実際この日はRomansoffの「Graded (Ploy Remix)」をかけていた。PloyとはTIMEDANCEの代表選手である。Ben UFOやObjektなど、「Hessle Audio」の面々が世界中で待望されているが、Mars89も間違いなくその世界線にいる。BUDXのように“ローカルアーティストを世界に向けてピックアップする”意識の高い場で彼を見られたことは、非常に意義深い。
BUDXTOKYO
日本のドメスティックなテイストと海外のテクノ文脈を折衷し、常にシーンに旋風を巻き起こすDJ、石野卓球。この日も電気グルーヴ名義の「Wire Wired, Wireless」をプレイしながら、Zombie Nationの「Kernkraft 400」するなど、随所に卓球節が散見された。フロアの熱量としても3日間で最大だったかもしれない。特にDead Or Aliveの「You Spin Me Round」がかかった時の盛り上がりは、さながらのフェスのようであった(実際フェスなのだが)。
BUDXTOKYO
絶えずアップデートし続けるのが彼の凄さで、彼は今夏、中国の新鋭バンド“STOLEN”のデビュー盤『Fragment』にリミックストラックを提供した。名を「Chaos (Takkyu Ishino’s Denki an Dis Remix)」という。この日はこの曲もプレイされた。原曲のストイックさを活かしつつ、主旋律のリフレインはいかにも石野卓球らしい。この曲をプレイするためのセットリストなのではないかと思うほど、この日のミックスにも馴染んでいた。

近年におけるアジアの音楽シーンの活況ぶりは明白であるが、そこに日本の至宝が関与している状況が大変喜ばしい。むしろ今こそ、我々が石野卓球の才能を再発見する時なのかもしれない。

STOLEN / Chaos (Takkyu Ishino's Denki an Dis Remix)

さて、大トリを飾るのは、「インディペンデントレーベルの運営」について大いに語っていたTigaである。カナダのモントリオール出身の彼は、トークセッションで非凡な知性と深い日本への深い愛を示した。フロアはまさしく相思相愛。あくまで個人的な好みであるが、3日間におけるDJとしてのMVPは彼であったように感じている。
“techno set”と銘打たれているが、実際はもっとレンジの広い内容であった。エレクトロあり、テックハウスあり、テクノあり…。時にミニマルに攻めながら、ラストに向かってドラマチックに展開していった。圧倒的、起承転結。ラスト30分は仕事を忘れ、フロアで踊り狂ってしまった。超一流とはかくも恐ろしい。いや、彼のスマッシュヒットナンバー「Bugatti」がかかった辺り(18:00ぐらい~)で、もう心は完全に彼のミックスの虜であった。
ラストスパートのエンジンがかかった箇所を具体的に言うと、Unklevonの「Searching 4 Power」がかかった辺り(1:05:05前後)だろうか。この時間帯から既に別れが名残惜しかった。あと5時間ぐらい続いて欲しい。

最後にAudionの「Mouth to Mouth」がかかったとき、1日をもう一度最初からやり直したいとすら思った。余談だが、「Mouth to Mouth」のBoys Noize Remixは前日にMijaもプレイしている。

BUDXTOYOのラストプレイヤーにしてはあまりに“残酷”で、最高のDJであった。絶対にまた会いたい。彼が去った後フロアに漂っていた残熱は、次回まで覚えておこう。

Tiga from CA

■ BUDXTOKYO
8月31日(土)
【DAY PROGRAM】 1. 日本におけるカルチャーメディアの未来
出演/五十嵐弘彦、尾田和実 モデレーター/武田 俊
2. 日本人によるミュージックビデオの変革史:過去、 現在、 そしてこれから
出演/ゆう姫(Young Juvenile Youth)、関根光才、ショウダユキヒロ
3. 世界的パイオニア・Tigaが語る、 インディペンデントレーベルの運営
出演/Tiga、寺田創一
【NIGHTTIME PERFORMANCES】 Tiga、石野卓球、YOUNG JUVENILE YOUTH、Mars89

 

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