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SPECIAL

okadada -Epoch Making-【Interview】 Part.2

新時代を己で切り開くDJ、okadada に聞く2010年~2020年

Mixmag Japan | 6 February 2020

Part 1より
― ちなみに、今のダンスミュージックシーンをどう思いますか?

okadada: 良いんじゃないでしょうか、というか、昔からシーンって言葉は使い方が難しいと思ってます。あってないようなもんだし。自分が見えている範囲ではこういう感じ、ってことしか言えないんですけど、自分が好きなのはコミュニケーションの幅が広い世界というか、閉じていない世界なんですけど、その中でここ最近はローでダークな空気感がある感じはしていますね。はしゃいでいる感じはもういいよね、それよりダークなムードがしっくりきてる、みたいな。前はチル・ウェイヴとか、EDMとか上から下まで基本祝福する感じがあった一方で、倦怠と絶望みたいなところもあったと思うんですよ。絶望というより、虚無感というか。それが表に出てきた形ですね。それがどこから来ているかというと、怒りだと思うんですよ。みんな悲しいから、集まって慰め合ったり怒ったりして、昇華するのが美しいというか。

— 怒りですか……全体的にその感じはしていますね。

okadada: それとカリスマ欲求が強いというか、今はかなり崇拝型。フロムの『自由からの逃走』っていう本があってその中に、「人は自由になりたいと言うけれど、支配されたいという欲望も同じくらいある」っていう考え方があるんですけど。基本的には誰かに支配された方が楽、でも支配され過ぎると自由になりたくなる、その引っ張り合いだということなんです。俺も何においても、そうだなと思っていて。だから「仏像と教祖」っていう話をよくするんですけど、仏像は拝む側が拝みながら、その仏像の来歴や霊験あらたかさに意味を勝手につけて、それをそれぞれが拝むことによって、集合意識としてそれをいいものにみんなでしていく。それって日本のアイドルカルチャーに似ているなと思っていて、だからアイドルが人気だった時代は、良くも悪くも自由が希求されていた。だけどそれがずっと続くと自分で基準を決めるのが辛くなってきて、そのうち導いて欲しいと思い始めるんですよね。生き方を指導してくれる欲求が教祖的になっていくんですけど、2015年くらいから、またその感じが来ているなって。そういえば、自分が10代の頃は細木和子が流行っていたし、今はメンタリストみたいのが結構出てきているなとか。
絶望というより、虚無感というか。それが表に出てきた形ですね。それがどこから来ているかというと、怒りだと思うんですよ。

okadada

— okadadaさん自身は、崇拝的な部分って持っていますか?

okadada: 俺は正直どちらかというと、崇拝するの苦手なんです。自分は多様性の信奉者だと思うんですけど、「多様性」って超大変だし維持するのが難しい。生きる上でのコストもかかるし、問題もありすぎる。あと人間本来の形かって言われたら、かなり無理があるし。普通に考えれば白黒つけて生きた方が楽だし、コーヒーもいいけど、紅茶もいいよね、とか言ってたらそんなん何も面白くないじゃないですか。でも例えそうだとしても、俺は多様性を担保しておきたいし、生活もそれで成り立っているから、平均台からずっと降りられない感じですよね。

― 白黒はっきりさせないで、グレーな部分に太鼓判を押すことって、確固とした自分がいないと難しいのかなと思ったりしますが。

okadada: なんか自分が好きなことやっているときに「ほんまか、オマエ!」って言っているのが結構好きなんですよ。自分が信じているその音楽は、本当にそんなにいいもんなのかって。自分の好きなものの中に、自分の嫌いなものも絶対に含まれていると思うから、そこを無視するなって。俺はクラブミュージックとか、そういう全般が好きだったりするんですけど、いいことばっかりじゃないのは明らかじゃないですか。ヒップホップっていうものが好きだと思うけど、いくらでも嫌な部分も言える。本当の自分の欲求とか自我ってなかなか分からないというか、あってないようなものなような気がしてて。「自分探し」より「自分なくし」の方がいいと思っていて、好みとか思想なんて「なくそう」とするくらいがちょうどいいバランスかなと思ったりしています。で、確信は持てないなら、継続的に変化し続けるしかない。その変化それ自体が自分と思うしかないし。しんどいっちゃしんどいんですけど、そっちのが結構やばいものが待っているような気がするんですよね。

― 悟っているようで、現実主義というか。面白いですね。

okadada: 悟りって言うんですかね、これ(笑)。前に友達に「悟りって得るものではなく、現象として現れるものなんだ」っていう考え方があることを聞いたんですけど、「手に入れる」ではなくて、「浮き上がってくるもの」っていいですよね。自分はDJで年に10秒くらい「あ~、きたきた。この全部わかる感じきた!」みたいなときがあるんですけど、そのなんか全部が噛み合って、それこそ幻が現れたみたいに「人生が完成しかけてます! 」みたいな瞬間がそれに近いのかなって。だけど、それはいつどこでくるかはわからないし、後で気付くんですよね。「さっきのが、そのときだったんだ」って。それに気付いたときは。もう、めちゃめちゃ嬉しいですよ……忘れてるのに(笑)。
— 2019年は、その瞬間みたいなのはあったんですか?

okadada: それだったとは言えるか分からないですけど <86BABIES>ってイベントを、韓国のソウルのCAKE SHOPでやったのが今年1番よかったです。出演者全員86年生まれで、一緒にやったPark DahamくんもTiger Discoも同じ年なんですけど、韓国でやれたことが良かった。一週間くらい向こうに行って、みんなと飲んだり話したりしたんですけど、単に自分が1人で行ってDJをしたというよりは、全体としてやったことにすごく意義がありました。パーティ自体も本当に楽しかったんで、幸福でした。

― 海外でのDJは更に増えてくる感じがしていますが、海外でのDJに興味はありますか。

okadada: アジアでもヨーロッパでも、単純に行ったことのない場所でもっとやってみたいなとは思います。知り合いのDJも行っている人が多いんで、自分もタイミング合えばいいなって。それと今、アジアを見てみたいというのがあります。〈Maltine Records〉のTomadが、ベトナムやジャカルタなど、地元で電子音楽を作っているアーティストと交流をしてイベントをやったんですけど、帰ってきて感想を聞いたら「経済成長というものが存在する、ということが分かりました」と言っていたんですけど、それってすごい分かるなって。自分は33歳なんですけど、日本というか国が調子がいい時代を見たこともなければ、感じたこともない。だから旅行でもいいから、その登り調子の状況を見てみたいんですよね。ただDJで自分がやっていることが、あまりにもドメスティックすぎるんで、DJで行くとしたらどこまで大丈夫かなとは思いますけど(笑)。

今、アジアを見てみたいというのがあります。

— さすがいろいろと考えていらっしゃいますね。まだまだ引き出しがあると思うんですが、他にここ最近気になることがあれば、教えてください。

okadada: いろいろ聴いてますけど、新譜のポップス方面で言うと、Alté(オルテ)っていうナイジェリアの音楽がめっちゃ好きですね。言葉としてはオルナタティヴの略で、ジャンルというかムーブメントやマインドセットみたいなものらしいです。3年くらい前からSpotifyとかで何気なしに、「アフロポップだたら、これと、これと、これがいいなあ」と思って聴いていたら、それがすべてオルテだったんですよ。アーティストで言うと、SANTI(サンティ)、Odunsi The Engine(オドゥンシ・ザ・エンジン)、Lady Donli(レディ・ドンリ)とかなんですけど、パッと聴くと普通にいい雰囲気の現代R&Bみたいな感じなんです。昔からあるワールド・ミュージックの評価の流れって、言ってしまえば植民地主義的なエキゾチズムというか、第三国からきた音楽を珍しがる構図がずっと続いてきたと思うんですけど、オルテはそうではなく、現代の欧米のポップスと比較しても、技術も美意識も並ぶ音楽、なんだったらそれ以上にレベル高いって感じなんです。そしてその中にもちゃんと国のルーツも出ているっていうところがすごく良い。インターネットのおかげで情報が並立になったことで、悪く見えがちなことも多くなってきた中で、良い影響を感じれるっていうのもすごく気持ちいいですね。音圧感もいいし、細部まで美意識が行き届いていて、それで英語で歌っているけど明らかにリズムの取り方とか音色の使い方は全然違う、アフリカだ、みたいな。最近めちゃ気に入っていてDJでもかけています。

— 最後に新年のメッセージをください。

okadada: 今年もがんばります! 楽しんでいくんでと、それだけ書いておいてください!

Text&Photo(People):Kana Yoshioka

Twitter→@okadada
Instagram→okadada

 

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