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SPECIAL

The Culture Clash – DJから紐解く世界のカルチャー DJ Fulltono 【インタビュー】Part.2

シカゴゲットーからジュークまで、シカゴ・カルチャーを伝道する

Mixmag Japan | 5 March 2020

高速足技ダンスの後ろで流れている
得体の知れない複雑なビートが欲しくて

Part.1より続く

― ところで、JUKE(ジューク)とは、どういうものになるのでしょうか。

Fulltono: ざっくり言うとシカゴハウスの中でも〈Dance Mania〉というレーベルのゲットーハウスと呼ばれる音楽が進化してできたものです。DJ FunkやDJ Deeonなどに影響を受けた人たちの作る音がどんどんBPMが早くなって、ジュークになっていった。BPMが160に到達したのは1999年とか2000年で、そこからさらに高速化するのではなく、ビートが複雑化していった。それがフットワーク。フットワークはジャンルの名前ではなく、ダンスのスタイルのことを言うんですけど、シカゴには、ジュークで踊るダンスのスタイルがいくつかあって、その中でも足技に特化したのがフットワーク。ダンスバトルをやるので、ダンサーたちが気に入るような曲を作るようになったから、ああいう歪で複雑なビートになっていったんです。で、それがシカゴだけで楽しまれていたという。

―ジュークの音源は頻繁にリリースされていた感じなんですか?

Fulltono: オーソドックスな4つ打ちビートのジュークは2000年代からリリースされていました。デトロイトのDJ Godfatherが〈Juke Trax〉というレーベルを作って、そこからリリースされていました。しかし、現在のジューク・フットワークのような複雑なビートはリリースされず、シカゴだけで流通していたんですよ。Youtubeでしか聴くことができなかったんです。高速な足技ダンス(シカゴフットワーク)の後ろで流れている得体の知れないその複雑なビートが欲しくて欲しくて。2010年代に入ってからようやく世界が注目し始め、リリースされるようになりまして、そこから自分もDJでかけるようになっていったんです。

―ジュークの魅力とはなんだと思いますか? フットワークはシカゴにしかないオリジナルのダンスだと思います。

Fulltono: 間違いなくダンスミュージックの革命だと思います。大きいグルーヴの中に細かいグルーヴを差し込んでくる部分が魅力です。しかし、シカゴのダンサーに向けた音楽なので、クラブのお客さんが聴いて踊れるものばかりかというと必ずしもそうではありません。

―ジュークのDJをするとき、現場はわけていますか?

Fulltono: そこも葛藤があって。もちろん、あのダンスカルチャーごと日本に広めたいというのはあるんですけど、僕が活動してきたのは日本のクラブシーンなので、ジュークが持つダンスミュージックとしてのポテンシャルを日本のクラブでどう機能させるかということの方が興味があります。

BPM160までいくんですけど、
ジュークを飛び道具には考えてない

―Fulltonoさん自身は、日本のクラブでジュークをかけてみようと思ったとき、どのようなミックスに仕立てあげようと思ったんですか?

Fulltono: まず、ジューク(Juke/Footwork)以外の現行ジャンルで160BPMのダンスミュージックが、まったくと言って良いほど存在しなかったんです。ハウスやテクノ(120~140BPM)とドラムンベース(170~175BPM)の間がすっぽり抜けてるんです。日本で認知させるなら、まず160BPMに慣れてもらうことが第一優先で、とくかくプレイし続けました。なるべくパーティーのカラーに近い雰囲気のジュークを選ぶ感じで、例えばヒップホップのパーティーに呼ばれてもヒップホップはかけず、ヒップホップにマッチしそうなジュークをプレイする。パーティーの中で徐々に溶け込ませる感じを意識してやっています。ジュークを飛び道具みたいには考えていないですね。

―BPM160は、踊るとなると、かなり早いと思います。だから1/2でリズムをとるしかないみたいな。ですが最近は世界的にもBPMがあがってきていて、145~160あたりをかけるDJもでてきています。早さのカテゴリーの中にジュークは入っていると思います

Fulltono: 世界に数多くあるマイナー音楽のひとつではなく、ジュークをダンスミュージックの主要ジャンルの一つとして認知させたいと常に思って今までやってきているので、シカゴハウスやエレクトロとかもかけたくなるし、DJ的にはいろいろなジャンルをかける方がいいんでしょうけど、なるべくどの現場もBPM160でやっていますね。ちなみにKode9も似た考えを持った数少ない理解者です。この前、マンチェスターへ行ったときに、Kode9はグライムとか140くらいからはじめてたけど、2時間セットの内半分くらいは160でした。

―ベースミュージックをプレイする中でも、流れを作っていくんですね。

Fulltono: Kode9のレーベル〈Hyperdub〉もシカゴのアーティストをフックアップしているし。あと、僕がD-Bridgeのレーベル〈Exit Records〉からリリースしたのを聞いて「おめでとう」と言ってくれたんですが、D-Bridgeとは接点がないのか聞いてみたところ、「D-Bridgeはもちろんファンだし、DJを始めたのもドラム&ベースからだった。でも今はドラム&ベースをかけない。フットワークが好きだからなんだ」と言っていて。そのKode9が言う「フットワークが好きだ」という言葉の中にいろいろ込められているなと思いました。ドラム&ベースも好きだけど、160をプレイする人が少ないから広めていきたいという気持ちがあるのかなと。

DJ FULLTONO
Before The Storm」EP

TRAXMAN & DJ FULLTONO
TEKK RISING

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―それすごくいい話ですね。

Fulltono: そうなんですよ。〈Hyperdub〉でもDJ Rashadをフックアップしたじゃないですか。DJ Rashadの死があったからこそ、そのマインドを受け継ぐという気持ちが強いんだと思うんです。現に彼は、DJ Rashadが亡くなってから、ジュークを以前に増してプレイするようになった。少なくともマンチェスター公演の時、僕のDJをオーディエンスがすんなり受け入れてくれたのは、Kode9の功績がめちゃくちゃ大きいからだと思います。もちろんジューク・フットワークの認知度の貢献に関しては〈Planet-Mu〉のMike Paradinasも忘れてはいけませんが。そうだ、ロンドンでKode9主催パーティーに出演したんですが、Mike Paradinasが普通に遊びに来てましたよ。

―Fulltonoさんと、Kode9は同じマインドセットですね。同じようなマインドを持った人たちは他にもいますか?

Fulltono: 他にもいますよ。ポーランドに呼んでもらったのは、まさにそういった繋がりだったし、その後に行ったスロベニアにもコアなファンがいて、規模は小さいんですけど、呼んでくれた。すごく規模は小さいんですけど。

―マンチェスターはどのようなパーティだったんですか?

Fulltono: イギリスのCrack Magazineが主催で、パーティーコンセプトとラインナップは、浅沼優子さんがコンサルタントとして担当されていました。事前予約制200~300人程限定のパーティーで、ベースミュージックが好きな人が集まってる感じでした。ロンドンでやった時は日本人が沢山来てくれてたんですが、マンチェスターのパーティーはアジア人は僕1人だけ。そんな状況で、自分の曲を中心にプレイしました。これまでに何度か海外へ行きましたけど、初めて勝負した感じがしました。これまで勝負できることがあまりなかったんですよ。周りの雰囲気に合わせるしかなかったというか。海外は、2年前に「Unsound Festival」へ行ったのが最初の海外遠征で、あとはパリ、上海、ソウルもやったんですけど、なんかこう戦う武器がないというかそんな感じだったんですけど、今回のヨーロッパツアーで、ようやく自分のスタイルで勝負ができました。この2年で、どんどんプレイの内容が濃くなっています。
―力量を発揮できたんですね。

Fulltono: 自分の思う感じでできたというか、地元でやっているのと近い感覚でプレイできました。テクノとかベース・ミュージック系はヨーロッパが本場というイメージですが、僕がやっている音楽に限っては大阪が最先端で、それが徐々にヨーロッパに浸透してきたというイメージです。

―トラックの制作ですが、リリースはいかがですか?

Fulltono: 自分のプロジェクトとしては、ハードミニマルみたいなジュークというコンセプトで、CRZKNY(クレイジーケニー)と、Skip Club Orchestraと一緒に、〈Draping〉というシリーズを1年かけてやっていたんです。毎月、1曲づつ各々が出し合って、1年で1人12曲作る。そういうのが世界にないから日本から作っていこうってことで始めたんです。展開のあまりない昔の90年代テクノをジュークに落とし込むんです。2人とはほぼ同じ年なんですけど、ジュークを知ってからの付き合いなんですが、住んでる場所は遠いけど似たような音楽経験をしてきたようで、同年代だから通じることがあるかなと。それを提示することによって、こういうスタイルの曲が全世界に増えたらいいなっていう期待も込めて。すごく地道な活動なんですけど。

―〈Draping〉はどれも本当に格好いいです。フロアでがっつり聴きたいですね

Fulltono: 頭の中で想像してなっているクラブ「ROKETS」での原体験を再現したというか、BPMは160なんですけど、踊っている感覚はミニマルテクノ。テクノをそのまま速くしただけだとただの早回しテクノになってしまう。キックの数やハイハットの位置をアレンジすれば良い感じのスピード感が生まれる。気づいてる人もいると思うんですが、僕のトラックはほぼ全て、何かの曲をモチーフにして作られています。例えば「Draping 11」や、〈Exit Records〉から出た「Melt In To The Floor」は、1996年にリリースしたSteve Bicknellのアルバム『Lost Recordings』シリーズに入っていたり。
―最後に、2020年は、どのようなことにトライしたいと思っていますか? また、Fulltonoさんから読者の方へメッセージがありましたら、教えてください。

Fulltono: DJをやる上で自分のモットーとして、「DJでプレイしたいけど、この世に存在しないタイプの曲を自分で作ってDJプレイの幅を広げていく」「そしてあたかもそういうジャンルがあるかのように淡々とプレイする」……そういうことをずっとやってるんですが、近年はやりたいことがあり過ぎて困るくらいアイデアが出てきたいます。ゆっくりですがコツコツやっていきますので、それが今後、世界にどう影響していくのか見てていて欲しいです。もちろん僕1人で世界を変えられるものではありませんが、きっかけを作ることくらいはやるかもしれませんので、見守っていただければ幸いです。そして是非、DJを聴きにきてください。

【PROFILE】 京都出身。現在は大阪を拠点に活躍するDJ/トラックメイカー。シカゴハウス、ゲットーテック、ジュークを中心に、オリジナルのトリックプレイを取り入れながらDJプレイ。2008年に、ゲットーテック/ジュークを専門とするレコードレーベル〈Booty Tune〉をスタート。自らの音源に加え、日本のジューク系アーティストの音源をリリース。また、2010年には日本人初のジュークMIX CD「NONSTOP JUKE MIX SOUTHSIDE CONSTRUCTION」を、レーベル〈NODD〉よりリリース。シカゴゲットー、ジューク系のDJが来日をした際は共演を果たすことが多く、これまでにパリ、マンチェスター、スロベニアなどのヨーロッパや、上海、ソウルなどアジア圏でもプレイ。2019年は1年を通じて毎月1枚、ジュークに特化した〈Draping〉シリーズをリリースした。 TWITTER

Text&Photo:Kana Yoshioka

「スプリットEPです。ずっと温存してた曲から数時間でできた曲まで、シカゴハウスへの想いを詰め込みました」 – DJ Fulltono

TEKK RISING

TRAXMAN & DJ FULLTONO

SOMETHINN VOL.33 ~DJ CLENT JAPAN TOUR 2019
IN TOKYO - 2019/10/21 at CIRCUS TOKYO

ジューク/フットワーク・シーンより、伝説的DJ、DJ Clentが初来日
1996年にデビューを果たして以来、シカゴにてジューク/フットワーク・シーンを牽引してきた、DJ Clentが今年10月に初来日を果たし、CIRCUS TOKYO、CIRCUS OSAKAにて開催をされたイベント「SOMETHINN」にてプレイ。ジュークをメインに選曲をした、オリジナルなスタイルを見せてくれた。当日は、DJ Fulltonoも両日出演したほか、東京では、国際的に活躍するシカゴ・フットワーク・プロフェショナルダンスチーム「CREATION GLOBAL」の日本勢も登場。DJ Clentをはじめ、DJたちがプレイするサウンドで熱いフットワーク・ダンスでフロアを沸かせた。 (DJ Clent Inteview間もなく公開)

 

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